ドル高の調整続くか、米指標や株価に注目(週報7月第1週)

先週のドル/円相場は、ドルの上値も重い印象。週央には一時137.00円をつけ、再び年初来高値を更新するも勢いは続かなかった。

ドル高の調整続くか、米指標や株価に注目(週報7月第1週)

ドル高の調整続くか、米指標や株価に注目

〇先週のドル円、137.00まで一時到達、年初来高値更新するが134円台へ急反落
〇週末発表の米経済指標悪化で米長期金利が低下、ドル売り・円買いが優勢に
〇ECBフォーラム討論でパウエル氏は強気発言、G7声明も実質的なドル高容認スタンス
〇景気減速懸念がドル高の足かせに、米経済指標や米株の動きを注視
〇今週は米6月ISM非製造業総合指数、同雇用統計、6月FOMC議事録要旨公表予定
〇今週のドル/円予想レンジは133.50-137.00、136円レベルが目先の抵抗

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルの上値も重い印象。週央には一時137.00円をつけ、再び年初来高値を更新するも勢いは続かなかった。

前週末は、ドイツでG7サミットが開幕するなか、出席者による二国間協議なども相次ぎ観測されていた。なお、ドイツに向かった岸田首相から「為替の急激な変動には注意が必要」とする円安けん制発言が聞かれていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は135.15-20円で寄り付いたのち、週央にかけては緩やかな右肩上がり。2円程度上昇した137.00円まで一時値を上げている。しかし高値示現後にはドルが急反落。完全なる「行って来い」から100%以上の戻しをたどると、一気に134円台へ。そののち週末には、やや小戻した135.25円レベルで取引を終え、週末NYは越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ロシア情勢」と「米金融政策とファンダメンタルズ」について。
前者は、合計3日間実施されたG7首脳会議で、ロシアへ厳しい内容ばかりが取り沙汰される格好となった。「ロシア産の金の輸入禁止」を中心とした対ロシア制裁強化とともに、「必要な限りウクライナを支援する」とした声明を発表。また、ウクライナのショッピングセンターに向けたロシア軍のミサイル攻撃について、「戦争犯罪にあたる」などとした共同の非難声明を別途発表している。そうした一連措置に、当事者であるロシアのみならず中国も反発したことが明らかになった。一方、それとは別に日韓などを招き、拡大版のNATO首脳会議が開催され、ロシアを事実上の「敵国」認定している。

対して後者は、週央に実施されたECBフォーラム討論が注目を集める。パウエルFRB議長とラガルドECB総裁、ベイリー英中銀総裁らが勢揃いした会合で、そのなかパウエル氏は「米国経済はかなり強い」、「金融引き締めに十分対応できる状況にある」、「行き過ぎるリスクもあるが、それよりも大きなリスクはインフレを沈静化するための行動が足りないこと」などと強気発言を連発していたという。一連のパウエル発言が好感され、前述したドル/円相場の137円到達の主因となっていた感もあるが、週末にかけて発表された米経済指標が予想外の数字となり、米長期金利も低下。それを受け、為替市場も一転してドル売り・円買いが優勢に。

<< 今週の見通し >>

中期スパンのドル高基調は続いているものの、ドル/円は6月29日に137.00円を示現したのち短期的な調整局面入りした。もっとも、これまでにも幾度となくダマシも観測されており予断を許さず、ドルの再上昇などにも一応の注意が必要だろう。137円を超えれば、再びドルの上値は青天井状態に。2000年代初となる140円に向けたドル高進行があっても不思議はない。
改めて指摘するまでもなく、日米金利差が拡大傾向にあるなか、パウエルFRB議長は先週「我々はドルの水準に責任を負わない」とコメントしていた。またG7も声明で、「既存のG7為替レートに関するコミットメントを再確認する」と明記するなど、実質的なドル高容認のスタンス。つまり、いつドル高・円安が再燃しても不思議はない状況だ。ポイントは、ドル高の足かせとなっている性急な米利上げなどによる景気減速懸念で、それを見極めるうえでも週末の雇用統計など発表される米経済指標、ならびに米株の動きには週間を通してしっかりと注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円週足は、先週も陽線引け。これで5週連続の陽線になったが、実体部は先々週の30ポイントに続き、先週はわずか10ポイントほどと、ほぼ寄り引き同時線と言ってもよい内容だった。ドル上値追いの勢いが一段と低下していることは間違いない。
ただ、問題はドル高の調整方法。価格ではなく時間調整になると考えており、仮に調整がさらに進展してもドルの下値はかなり堅いイメージだ。その下値メドは、まず6月23日の134.27円。下回っても同16日の131.49円まではとどきそうにない。

今週は、6月のISM非製造業総合指数や同雇用統計などの米経済指標が発表されるほか、6月に実施された米FOMCの議事録要旨が公表される見通しだ。また、週末にかけてはG20外相会議も予定されるなど、週間を通し材料盛り沢山。予断を許さない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、133.50-137.00円。ドル高・円安については136円レベルが目先の抵抗として育ちつつある。抜ければ先週示現した年初来高値137.00円を目指す展開か。
対してドル安・円高方向は、6月23日安値134.27円が最初のサポート。ちなみに、ほぼレベルは同16日安値131.49円を起点とした上げ幅の半値押しにも合致する。割り込めば61.8%押しの133.60円がテクニカルポイントに。

ドル高の調整続くか、米指標や株価に注目

ドル円日足

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