ドル円、高値更新後に急反落。パウエルFRB議長の慎重な発言を材料視(6/16朝)

15日(水)のドル円相場は高値圏から急反落。

ドル円、高値更新後に急反落。パウエルFRB議長の慎重な発言を材料視(6/16朝)

ドル円、高値更新後に急反落。パウエルFRB議長の慎重な発言を材料視

〇ドル円、アジア時間の高値135.60から米国時間にかけ133.55まで急落
〇FOMC通過に伴う材料出尽くし感、パウエル議長の今後の利上げ幅に関する慎重発言が背景
〇FOMCでは政策金利を0.75%引き上げ、インフレ2%への引き下げを強くコミット
〇パウエル議長は「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」と発言、過度の利上げ観測後退
〇ユーロドル、ECBの臨時理事会開催による金利低下に1.0359まで急落後米金利低下で戻す
〇ドル円テクニカルな下落余地は乏しいか、ファンダメンタルズもFRBタカ派スタンス継続を確認
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:132.50ー134.50

海外時間のレビュー

15日(水)のドル円相場は高値圏から急反落。アジア時間朝方にかけて、約23年8ヵ月ぶり高値となる135.60まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@米FOMCを控えた警戒感(イベント前のポジション調整→米長期金利低下→米ドル売り)や、A日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、B日銀による金融政策調整への警戒感(日本国債先物の急落を受けて日銀が金融政策調整に追い込まれるとの思惑)、C米FOMC通過に伴う材料出尽くし感、DパウエルFRB議長による「0.75%の利上げが一般的になるとは予想しない」との慎重な発言が重石となり、米国時間午後にかけて、安値133.55まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/16午前5時00分現在)では、133.65前後で推移しております。

尚、注目された米FOMCでは、DFF金利誘導目標を1.50%ー1.75%へ75bp(一度に75bpの利上げが決定されるのは1994年以来)引き上げることや、E声明文で「誘導目標レンジの継続的な引き上げが適切になると見込む(anticipates that ongoing increases in the target range will be appropriate)」「委員会はインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている(The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective)」とのタカ派スタンスが強調されたこと、F経済見通しの下方修正(2022年末時点のGDP見通しは前回3月時点の2.8%から1.7%へ下方修正)、G物価見通しの上方修正(2022年末時点のPCE見通しは前回3月時点の4.3%から5.2%へ上方修正)、H政策金利見通しの上方修正(2022年末時点のFF金利予測・中央値は前回3月時点の1.9%から3.4%へ上方修正)が示されました。

また、その後のパウエルFRB議長記者会見では、I「FOMC参加者はインフレの上昇リスクを認識」「インフレ動向は今回の大幅利上げを正当化」「2%の物価目標に向けて一心に取り組む」「利上げ継続は適切」などインフレ抑制に向けた強いコミットメントとタカ派スタンスの継続が示された一方、J「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」「7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる公算」との慎重な発言も見られました。市場では上記Hを背景に直後はドル買いで反応しましたが、一巡後は上記FGを受けたスタグフレーション懸念の高まりと、上記Jを背景とした過度な利上げ観測の後退がドル売りを誘う形となり、ドル円は乱高下しつつも最終的に下落する展開となっております。

15日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。@米FOMCを控えたポジション調整を背景に、欧州時間朝方にかけて、高値1.0508まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、AECBが臨時理事会を開催し、南欧諸国の国債利回りが急上昇への対応策としてパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券の再投資に柔軟性を持たせる方針を表明したことや、B上記Aを背景に欧州債利回りが急低下したこと、C米FOMCにて75bpの利上げが実施されると共に、政策金利見通しが上方修正されたこと等が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0359(5/13以来、約1カ月ぶり安値圏)まで急落しました。しかし、5/13に記録した約5年4カ月ぶり安値1.0350(2017年1月以来の安値圏)をバックに下げ渋ると、DパウエルFRB議長による「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」「7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる公算」との慎重な発言や、E上記Dを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは昨日記録した3.49%から3.32%へ急低下)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6/16午前5時00分現在)では、1.0460前後まで持ち直す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は一時135.60(1998年10月以来、約23年8ヵ月ぶり高値)まで上値を伸ばすも、米FOMC通過後に、133.55まで急落する展開となりました。但し、チャート形状を見ると、ローソク足が全てのサポートラインを上回っている他、強い買いシグナルを示唆する三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドも成立しており、テクニカル的に見て、下落余地は乏しいと判断できます(足元の下落は材料出尽くしに伴うポジション調整で長期化しない可能性大。上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目であり、一巡後は早期に上昇トレンドに回帰すると整理)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの継続姿勢(米FOMCを受けて米FRBのインフレ抑制へのコミットメントと連続利上げの継続方針を再確認。

パウエルFRB議長は75bpの連続利上げにやや慎重な姿勢を滲ませましたが、前回、前々回同様、インフレデータ次第で考え方が180度変化する可能性もあるため油断は禁物)、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢(日銀は金融緩和の継続スタンスを強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差に着目したドル買い・円売り)、C日本とその他各国との金融政策格差(円独歩安)など、ドル買い・円売りを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(引き続き米長期金利と米主要株価指数を睨みながらのボラタイルな相場展開を想定。またアジア時間は円債市場の動向にも要警戒。海外時間は米5月住宅着工件数や米5月建設許可件数、米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数などの米経済イベントに注目)。

本日の予想レンジ:132.50ー134.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、高値更新後に急反落。パウエルFRB議長の慎重な発言を材料視

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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