米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について
NY時間6月15日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。(東京時間では2022年6月16日木曜日夜中未明)
今回の市場予想は以下の通りになっています。
( 1 )政策金利(6月15日 8時30分現在の予想)
現在のFFレート「0.75%〜1.00」⇒0.50%利上げし「1.25〜1.50%」
(レンジは下限1.25〜1.50%{上限1.50〜1.75%}で、一部は0.75%の利上げを予想)
エコノミスト予想は中央値で50ベーシスの利上げ予想になっています。注目点としては、
@ 今回もFOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、利上げ幅の議論は50ベーシスが基本となっています。そして次回7月も0.50%の連続利上げを想定しています。
A 市場は先週金曜日のCPI高止まり、昨日のPPIもコアが高止まりで、今後のCPIも高い傾向が続くとし、今回会合で75ベーシス利上げ期待に変わっています。下記(3)のCME Fedwatchでは、今回0.5%利上げ予想は皆無、0.75%利上げが98.6%、同1%が1.4%になっています。
B FRBの中立金利が2〜2.5%(4月15日のNY連銀総裁、今回のシカゴ連銀総裁)としている委員や、また年末までに2.5%へ引き上げ(SF連銀総裁)などが多数を占めている一方、市場はFedwatchを見ると3.50〜4.00%までの利上げが大多数です。この突っ込み過ぎている状況がどうなるかを見る必要があります。今回ドットプロットがでる予定ですので、市場とFRB委員の違いをどこまで埋められるのかを注目します。
C 債券や為替相場から見ると、現状0.75%利上げを織り込む動きになっていますが、もし0.50%利上げになった場合、一度ドル売りになるか、次回7月会合までの持ち越しと取るかも注目されます。
D ここまでの金利高とインフレで、購買力が落ち、特に住宅関連の数値悪化が予想されています。株式市場はリセッション懸念を織り込む動きを見せ始めており、この辺りのFOMC内議論も見る必要がありそうです。
以上が予想される項目と思われます。
( 2 )前回5月FOMC会合での議事要旨
FOMC議事要旨の一部抜粋
(金融市場の進展と公開金融市場調節)の項目のみ
最初に、米国内の金融政策期待の議論に目をむけた。3月のFOMC以降、FRBでのコミュニケーションが、予想された以上に緩和策からのより早い撤去を示唆していると受け止められ、その結果、FFレートの進路に対する期待が著しく持ち上げられた。今回の会合では、FFレート先物が約50ベーシス上げの政策金利を意味していた。公開市場デスクの調査回答では、その結果に対し平均80%の可能性を選択していた。またデスクの調査回答の中間値は、今後2回の会合で目標レンジを50ベーシス上げ、来年央までには更に125ベーシス上げを予想していた。結果、目標レンジの予想中間値は3.13%でピークとなり、前回調査よりもかなり高くなっていた。市場参加者は、引き続き経済見通しや先々の引き締め度合いに関しては著しく不確実性が高いと注記している。この不確実性は2023年末に、目標レンジに対する回答者の平均確率分布に反映されている。
{資産縮小に関する項目は略}
次に米国の金融市場の進展に関する議論に目を向けた。金融市場はこの期間、著しく引き締まった。国債のイールドは曲線全体に上昇し、主に実質金利の一段の上昇を反映している。長期の民間借入金利もまた上昇し、30年間の固定住宅ローン金利は5%を越えここ10年間では一番高い水準である。株価指数はネットベースで、この期間大幅に下落して終わった。これらの指数は、期間の始めにウクライナ戦争でのテールリスクの低下予想で上昇したが、その後は一層下がった。それは米国の金融政策引き締めの中で先行き経済見通しに関する警戒が増したと伝えられている。ドルは、幅広い貿易加重平均でこの期間約2%上昇した。より長い目で見ると、多くの金融情勢指標で測った金融状況は、年初以降歴史的に大きく引き締まっている。
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
( 3 )CME Fedwatch
市場は前回5月上旬時点の予想から一段と利上げ加速に傾いています。年内には大多数が3.50〜4.00%までの利上げ予想になっています。
(5月2日時点:今回)
(6月14日時点:今回)
( 4 )最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)
6月4日 メスター・クリーブランド連銀総裁 「インフレ低下しなければ9月会合でも0.5%
の利上げを支持、低下の証拠あれば0.25%の利上げ支持」
6月2日 ブレイナードFRB副議長「一番の課題はインフレ低下」「時間経過とともに経済が ある程度冷えると予想」
6月2日 デイリー・SF連銀総裁 「政策金利を中立にする必要ある」「年末までに2.5%に引き
上げたい」
6月2日 ブラード・セントルイス連銀総裁「現在の米国マクロ状況はインフレを巡り、FRBの
信頼性を圧迫」
6月1日 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年、インフレが大幅に低下する可能性」
「利上げに対する市場の反応は歴史的にも大きかったので、一時停止も良いアイディア」
5月31日 ウォラー・FRB理事 「今後数回の会合で0.50%利上げを支持」
5月24日 ジョージ・カンザスシティ連銀総裁「政策金利は8月までに2%前後になると予想」
5月20日 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁「もし長期的を見ればFRBは積極的になる必要
ある。」「ソフトランディングを成功させる確率は分からない」
5月19日 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「6月と7月に0.50%の利上げを望む」 「今年のGDP成長率は3%前後を予想」
5月18日 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年末までに金利を中立水準まで引き上げたい」
「2〜2.5%の範囲が中立と見られる」
5月18日 パウエル・FRB議長「必要であれば中立以上に金利引き上げを躊躇しない」 「多数のメンバーが今後2回の会合で0.50%の利上げ支持」
下記はドル円の週足チャートです。ドル高が一段と進展しており、当面どこまでの上値があるかを見たいと思います。今年3月上旬から急激に上げたドル高サポートラインA(=138円00銭)があります。5月中旬に一度このサポートを下抜けているので、完全なドル高トレンドにはなっておらず、現状はAに向かってドルの強さを探る展開にいます。この手前に1998年10月の高値B(=136円50銭)があり、Bを越えた場合にはA方向トライとなります。更に一段上には1998年5月と9月の実体部分の高値C(=139円00銭)が控えています。時間経過でA>Cになるので、数ヶ月先はAを目安にした方が良いと思います。
一方、Aのサポートは一度切っているので、上値が重くなれば下押しの可能性を含んでいます。この場合にはまずD(=134円41銭)の窓埋めになります。更にこれを下回った場合は3回目で上抜けたE(=131円30〜35銭)、次いでAを切った時の底値126円36銭が下値ポイントになりそうです。尚、昨年初からのドル高トレンドF(=115円70銭)とG(=121円00銭)があり、将来深い押し目があった場合には目安となります。今日のFOMCは乱高下が予想されますので、大きな節目を見ておきたいと思います。
(2022年6月15日11:00、1ドル=135円18銭円)
オーダー/ポジション状況
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