ドル円見通し 1円超えの急落調整を解消、日足は長い下ヒゲ陽線で上昇基調継続(22/6/10)

日足は1円幅を超える長い下ヒゲを付けたがわずかに陽線となり、6月3日から5連騰となった。

ドル円見通し 1円超えの急落調整を解消、日足は長い下ヒゲ陽線で上昇基調継続(22/6/10)

ドル円見通し 1円超えの急落調整を解消、日足は長い下ヒゲ陽線で上昇基調継続

〇ドル円、6/9午前134.55へ上昇するも高値警戒感から6/9日夜133.17へ下落、1円を超える急落
〇しかし米長期債利回りの上昇基調、ECBの7月利上げ開始発表により、深夜134円台を回復
〇6/10早朝には6/9午前高値に迫り急落幅をほぼ解消、日足は5連騰で上昇基調継続
〇ECB、7月の次回理事会で0.25%の利上げ方針を決定、ユーロドルは乱高下
〇米10年債利回りは上昇基調維持で3%台、米株価は下落
〇134.70超えからは、135円台中盤(135.30から135.70)を目指すとみる
〇133.80割れからは133.17試しとするが、底割れ回避で133.80を超えるところからは上昇再開とみる

【概況】

ドル円は6月9日午前に134.55円へ上昇して8日夜高値134.47円をわずかに超えて2021年1月6日安値102.57円以降の最高値を更新したが、連日の大上昇に対する高値警戒感から利益確定売りに押される展開となり9日夜には133.17円へ下落、午前高値からは1円を超える急落となった。
しかし米長期債利回りの上昇基調は継続、ECBも9日夜の理事会で7月からの利上げ開始を発表したことで主要国中銀による金融引き締め化と金融緩和から抜け出せない日銀との姿勢の差が再認識されて深夜には134円台を回復、10日早朝には9日午前高値に迫り急落幅をほぼ解消した。
日足は1円幅を超える長い下ヒゲを付けたがわずかに陽線となり、6月3日から5連騰となった。連日のように前日比で1円前後規模の上昇を継続してきたことでの高値警戒感が調整安を招いたが、早々に切り返したことで5月後半からの上昇基調を維持している印象だ。

【ECBは7月から利上げ開始】

欧州中銀(ECB)は6月9日の定例理事会で政策金利をゼロで据え置いたが。量的緩和策を7月1日に終了し、7月21日の次回理事会で0.25%の利上げをする方針を全会一致で決定した。利上げ開始となれば2011年以来11年ぶりの引き締めとなる。また9月以降も追加利上げをするとし、インフレ状況次第では9月に0.50%の利上げもあり得るとしたが、基本的には緩やかな利上げの継続とした。
ユーロ圏のCPI上昇率は5月時点で8.1%となったが、ECBは2022年の物価上昇率予想を6.8%として3月時点の5.1%から大幅上方修正し、経済成長率については3月時点の3.7%増から2.8%増へ下方修正した。
ラガルド総裁は定例会見で「インフレは暫くの間は望ましくないほど高い水準が続くと予想する」とし、「9月以降は緩やかだが持続的な利上げが適切だ」と述べた。また「ウクライナ侵攻はユーロ圏経済に深刻な影響を及ぼし先行きは極めて不透明」としたが、政策金利目標となる「中立金利の議論は行わなかった」とした。

ECB政策発表直後にユーロドルは乱高下となり総裁会見開始からいったん1.0773ドルへ上昇したものの5月31日高値1.0786ドルには届かず、必ずしも大幅利上げへ前のめりな状況ともいえないとしてイベント通過感から戻り売り優勢となり政策発表前の水準を割り込み10日早朝には1.060ドル台序盤へ失速した。
ドル円としてはユーロドルの上昇局面ではユーロ円の反騰による押し上げとなり、ユーロドルが反落した局面ではドル高感の回復として上昇継続という反応となった。

【米10年債利回りは3%台を維持、NYダウは大幅反落】

6月9日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の3.05%、30年債利回りは0.01%低下の3.17%、2年債利回りは0.04%上昇の2.82%となった。
10年債利回りは7日から3.06%前後に抵抗感のある状況だが終値ベースでは5月26日に2.70%まで下げたところからの上昇再開基調を維持しており、5月9日に付けたパンデミック発生以降の最高値3.20%へ徐々に迫っている。また2年債利回りは5月11日につけた2.86%に迫り、終値ベースでは5月3日の2.78%を超えて昨年来の最高値としている。
ドル円としては米長期債利回りの上昇基調及び日米金利差拡による上昇基調の環境は変わらない。今晩は5月の米消費者物価上昇率の発表があるが、市場予想では前年比が8.3%で4月と同水準の高止まり、前月比は0.7%で4月の0.3%から加速とみられている。またコア指数の前年比は4月の6.2%から5.9%へ鈍化し、前月比も0.6%から0.5%へとやや鈍化すると見込まれている。予想より強い数字の場合は米連銀による大幅利上げの継続感が強まりドル円を一段高に押し上げる可能性もあるとみる。

6月9日のNYダウは前日比638.11ドル安と反落、ナスダック総合指数も同332.04ポイント安と下落した。ダウは5月20日に30635.76ドルまで下げて1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の安値としたところからいったん戻していたが、33000ドル台序盤で上値が重くなり、金融引き締めによる景気減速への懸念から戻り売り優勢となって下げた印象だ。
9日夜に発表された週間新規失業保険申請件数は22.9万件で前週の20.2万件から悪化して市場予想の21.0万件を上回った。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月9日午前に高値を更新したところから1円を超える急落となり、その後に下落幅をほぼ解消する反騰となったため、9日午前高値を直近のサイクルトップ、6月2日夜安値から5日目となる9日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日午前から16日午前にかけての間への上昇を想定する。
6月9日夜安値割れを回避するうちは上昇余地ありとするが、9日夜安値を割り込む場合は底割れによる弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月9日夜の下落時に遅行スパンが悪化したものの先行スパン上限が下支えとなりその後の反騰で遅行スパンは再び好転しているため、遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は先行スパン転落からとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月8日夜から9日午前への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから下落したが、9日夜に40ポイント到達から60ポイント台へと切り返してるのですでに反騰入りとみて70ポイント台回復を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.80円を下値支持線、134.70円を上値抵抗線とする。
(2)134円以上での推移中か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇基調の継続とし、134.70円超えからは135円台中盤(135.30円から135.70円)を目指すとみる。米CPI発表への強気反応が見られるなどで急伸の場合は136円に迫る可能性もあるとみる。
(3)133.80円割れからは9日夜安値試しとするが、底割れ回避で133.80円を超えるところからは上昇再開とし、133.17円を割り込む場合は下落期入りとみて来週前半への下落で132円前後へ向かう流れと考える。

【当面の主な予定】

6/10(金)
アジア安全保障会議(6/12まで)
10:30 (中) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 2.1%、予想 2.2%)
10:30 (中) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 8.0%、予想 6.4%)
21:30 (米) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 0.3%、予想 0.7%)
21:30 (米) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 8.3%、予想 8.3%)
21:30 (米) 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 0.6%、予想 0.5%)
21:30 (米) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 6.2%、予想 5.9%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大消費者信頼感指数速報値 (5月 58.4、予想 58.0)
27:00 (米) 5月 月次財政収支 (4月 3082億ドル、予想 -1200億ドル)



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