ドル円、急落後に急反発するなど下値の堅さを再確認。米CPIがメインイベント(6/10朝)

9日(木)のドル円相場は急落後に急反発。

ドル円、急落後に急反発するなど下値の堅さを再確認。米CPIがメインイベント(6/10朝)

ドル円、急落後に急反発するなど下値の堅さを再確認。米CPIがメインイベント

〇ドル円、急上昇の反動、上海の一部ロックダウン再開報道に欧州時間朝方に133.20まで急落
〇売り一巡後は、米長期金利の上昇、対ユーロでのドル買い波及で134.45まで持ち直す
〇ユーロドル、ECB理事会後1.0774まで瞬間上げするも米国時間午後にかけ1.0611まで急落
〇材料出尽くし感からの利食い売り、欧州スタグフレーション懸念、米金利上昇等が背景
〇ECB、資産購入プログラム終了、次回7月0.25%利上げ方針を決定
〇インフレ鎮静化しない場合には9月にさらなる大幅な利上げの可能性も示唆
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズもドル買い円売り材料多い
〇本日米5月CPI要注視、本日の予想レンジ:133.50ー135.50

海外時間のレビュー

9日(木)のドル円相場は急落後に急反発。アジア時間朝方にかけて、高値134.54(2002年2月以来、約20年4ヵ月ぶり高値圏)まで上値を伸ばすも、心理的節目135.00をバックに伸び悩むと、@急ピッチなドル高・円安の反動売り(利食い売りや新規の逆張り)や、A中国上海市の一部区域で新型コロナウイルス対策のロックダウンを再開するとの一部報道(市場心理悪化)、B本邦輸出時と思しき実需のドル売りが重石となり、欧州勢参入後に、安値133.20まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは3.06%へ急上昇)や、D翌日の米5月消費者物価指数を控えたポジション調整、E対ユーロでのドル買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6/10午前5時30分現在)では、134.45前後まで持ち直す力強い動きとなっております。

9日(木)のユーロドル相場は乱高下のあと急反落。注目されたECB理事会では、@資産購入プログラム(APP)の7/1付けでの終了決定や、A次回7/21理事会での25bp利上げ方針、B中期インフレ見通しが現状維持or悪化する場合には次々回9/8理事会でより大幅な利上げ(50bp)が適切となる可能性があることの地均し、Cインフレ見通しの上方修正(2022年予想は前回3月時点の5.1%から6.8%に上方修正)、DGDP見通しの下方修正(2022年予想は前回3月時点の3.7%から2.8%へ下方修正)、EラガルドECB総裁による「インフレは当面は望ましくない水準に高止まりする」「インフレリスクは主として上方向」「次回7/21理事会で主要金利を25bp引き上げる意向」「9月にも主要金利が再び引き上げられる可能性がある」とのタカ派的な見解が示されました。

これらを受けて、ユーロドルは瞬間的に高値1.0774まで急伸する動きとなりましたが、心理的節目1.0800をバックに伸び悩むと、F急ピッチな上昇に伴う反動売り(利食い売り)や、Gタカ派なECB理事会を受けた欧州経済の下押し懸念(スタグフレーション懸念が燻っている中での利上げ方針決定→欧州経済の先行き懸念再燃→欧州株下落→ユーロ売り)、H材料出尽くしに伴うユーロロング解消の動き、I米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0611まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/10午前5時00分現在)では、1.0615前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時134.54まで急伸するなど、2002年2月以来、約20年4ヵ月ぶり高値圏へと続伸しました(高値更新後に一時133.20まで急落する場面が見られましたが、米国勢参入後に134円台前半へと急反発するなど下値の堅さを再確認)。ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み上抜けしていることや、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークが全て成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(次のターゲットは心理的節目135.00および2002年1月高値135.18)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの継続姿勢(米FRBが6月・7月に続いて9月以降も大幅利上げを継続するとの見方→米長期金利に上昇圧力)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢(黒田日銀総裁は金融緩和の継続姿勢を強調→円安容認観測→円売り)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C日本とその他各国との金融政策の方向性の違い(米国のみならず、英国・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・メキシコ・チリ・ポーランド・マレーシア・ペルー・フィリピン・ハンガリー・韓国などが金融引き締めスタンスに転換。昨日はECBもタカ派転換→日本とのその他各国との名目金利差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高)、D資源価格上昇に伴う構造的な円売り圧力(貿易赤字拡大→経常収支悪化→円売り)など、ドル買い・円売りを連想させる材料が揃っています。

こうした中、本日は今週のメインイベントでもある米5月消費者物価指数(日本時間21時30分発表)に注目が集まります。市場予想(前月比+0.7%)を上回る結果となれば、「インフレがピークアウトしつつあるとの期待感後退→インフレ懸念再燃→米FRBによる更なるタカ派傾斜リスク再燃→米長期金利急上昇→米ドル高」の経路でドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日は5・10日のため、日本時間9時55分に予定されている公表相場決定にかけてのドル不足=ドル買いフローにも注意が必要)。

本日の予想レンジ:133.50ー135.50

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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