ドル円、心理的節目134円を突破し、2002年2月以来の高値圏へ急上昇(6/9朝)

8日(水)のドル円相場は大幅続伸。

ドル円、心理的節目134円を突破し、2002年2月以来の高値圏へ急上昇(6/9朝)

ドル円、心理的節目134円を突破し、2002年2月以来の高値圏へ急上昇

〇ドル円、米国時間朝方にかけて2002年2月以来約20年4ヵ月ぶり高値134.48まで急伸
〇米長期金利上昇、黒田日銀総裁のハト派発言、134.00突破に伴う仕掛け的な動き等が背景
〇ユーロドル、ユーロ圏1QGDP改定値の良好な結果、ECBの引き締め観測に1.0748まで上昇
〇ドル円、わずか2週間で8円12銭急騰、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、本邦経常収支悪化等ドル買い材料多い
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:133.25ー135.25

海外時間のレビュー

8日(水)のドル円相場は大幅続伸。アジア時間早朝にかけて、安値132.57まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@株式市場の堅調推移(日経平均株価の上昇)や、A上記@に伴うリスク選好の円売り圧力、B米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは2.95%から3.03%へ急上昇)、C原油価格上昇に伴う円売り圧力(本邦貿易赤字の拡大懸念→構造的な円売り圧力)、D黒田日銀総裁による「日銀は緩和継続で経済を支える必要」「金融緩和はまだ半ば。完全に成功していない」とのハト派的な発言(円安牽制発言が出なかったことに対する安堵感)、E節目134.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、F本邦輸入企業と思しき実需のドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、2002年2月以来、約20年4ヵ月ぶり高値となる134.48まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/9午前5時10分現在)では、134.25前後で推移しております。

8日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。@欧州経済を巡る先行き不透明感(スタグフレーション懸念)や、Aドイツ4月鉱工業生産(結果0.7%、予想1.0%)の市場予想を下回る結果、B米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0672まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C6/9に予定されているECB理事会を控えたポジション調整や、Dユーロ圏第1四半期GDP改定値(結果5.4%、予想5.1%)の良好な結果、EECBによる利上げ観測(市場ではECBが9月までに計75bpの利上げに踏み切るとの見方が台頭→欧州債利回り上昇→ユーロ買い)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0748まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/9午前5時10分現在)では、1.0715前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時134.48まで急伸するなど、2002年2月以来、約20年4ヵ月ぶり高値圏へと上昇しました(5/24に記録した直近安値126.36をボトムに、わずか2週間で8円12銭もの急騰劇)。ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線など)を軒並み上抜けしている他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークが全て成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(2002年1月高値の135.18が射程圏内)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの継続姿勢(米FRBが6月・7月に続いて9月以降も大幅利上げを継続するとの見方が再燃)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢(黒田日銀総裁は3日連続で金融緩和スタンスの継続を強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、

Cクロス円上昇に伴う円売り圧力(米国の金融引き締めに追随する形で、英国・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・メキシコ・チリ・ポーランド・マレーシア・ペルー・フィリピン・ハンガリー・韓国などが利上げ実施→日本とその他各国との金融政策格差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高)、D本邦経常収支悪化に伴う構造的な円売り圧力(昨日発表された本邦4月経常収支は原油先物価格の上昇などを主因に前年同月比55.6%減の5011億円)など、ドル買い・円売りを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(米金利上昇と米株上昇が組み合わされば、心理的節目135.00の大台突破もあり得る展開)。

尚、本日はECB理事会が予定されており、資産購入プログラムの終了決定と、次回7月会合での政策金利引き上げの地均しが予想されています。声明文やラガルドECB総裁記者会見で大幅利上げの可能性が強調される場合には、「ECBによる大幅利上げ観測再燃→欧州債利回り急上昇→日欧名目金利差拡大」の経路で、「ユーロ円上昇→ドル円連れ高」の展開に波及する恐れもあるため、本日海外時間はECB理事会後のドル円・クロス円上昇に特に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:133.25ー135.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、心理的節目134円を突破し、2002年2月以来の高値圏へ急上昇

ドル円日足

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