ドル円、リスク回避ムード再燃で大幅下落。低調な米小売決算を受けて米株急落(5/19朝)

18日(水)のドル円相場は大幅下落。

ドル円、リスク回避ムード再燃で大幅下落。低調な米小売決算を受けて米株急落(5/19朝)

ドル円、リスク回避ムード再燃で大幅下落。低調な米小売決算を受けて米株急落

〇ドル円、米小売り決算不冴え等からの米株急反落を受け、米国時間に安値128.01まで急落
〇ユーロドル、株安、フィンランドやスウェーデンによるNATO加盟の正式申請等に1.0475まで急反落
〇ドル円、テクニカルのドル買い地合い崩れておらず、ファンダメンタルズもドル高トレンド継続材料残る
〇リスク回避局面では「円」「ドル」双方が選好され、ドル円相場の一方的な下落は想定しづらいか
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:127.25ー128.75

海外時間のレビュー

18日(水)のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値129.54まで上値を伸ばすも、前日高値129.77をバックに伸び悩むと(一目均衡表転換線や21日移動平均線がレジスタンスとして続伸を阻むと)、@シカゴ連銀エバンズ総裁による「中立水準に達するとFRBは25bpの利上げに移行する可能性がある」とのややハト派寄りの発言や、A米ゴールドマン・サックス社による2022年の中国GDP予測の下方修正(+4.5%→+4.0%)、B米4月住宅着工件数の冴えない結果、C米国経済のリセッション入りに対する警戒感の高まり(インフレ加速を背景に米小売大手ウォルマートやターゲットの決算が冴えない結果)、

D上記Cを背景とした米主要株価指数の急反落(米ダウ平均株価は一時1140ドル超の急落)、E米金利低下に伴うドル売り圧力(安全資産の米債買い→米10年債利回りは3.00%から2.88%へ急低下)、Fリスク回避の円買い圧力(円ショートの巻き戻し)、Gイエレン米財務長官による「強いドルは他国にとって懸念材料」との発言などが重石となり、米国時間午後にかけて、安値128.01まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/19午前4時00分現在)では、128.16前後で推移しております。

18日(水)のユーロドル相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0564(5/11以来、約1週間ぶり高値圏)まで上値を伸ばすも、21日移動平均線に続伸を阻まれると、@フィンランドやスウェーデンによるNATO(北大西洋条約機構)加盟の正式申請(ロシアを巡る地政学的リスクの拡大懸念)や、A欧米株の急反落、B上記Aを背景としたリスク回避のドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0475まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/19午前4時00分現在)では、1.0478前後で推移しております。尚、昨日はフィンランド中銀レーン総裁や、スペイン中銀デコス総裁、エストニア中銀ミュラー総裁、オランダ中銀クノット総裁などからタカ派的な発言が相次ぎましたが、ユーロ買いでの反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は一時128.01まで急落するなど、5/12以来、約1週間ぶり安値圏へと値を崩しました。但し、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や、移動平均線のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドが成立しているため、テクニカル的に見れば、地合いは崩れていないと判断できます(足元の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目。売り一巡後の反発リスクに要警戒)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(パウエルFRB議長は5/17に、「インフレ低下に確証が得られなければFRBはさらに積極的な行動を検討する必要がある」と発言するなど、インフレ抑制を最重要視するスタンスを再強調)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C資源価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(構造的な円売り圧力)など、ドル高・円安トレンドの継続を意識させる材料が残っています。

また、昨日は、米小売大手の冴えない決算を背景に、「米インフレ加速→米金融引き締め→米経済のリセッション入り懸念→米主要株価指数急落→リスク回避の円買い」の波及経路が見られましたが、リスク回避局面で選好される通貨は「円」だけではなく「米ドル」も対象となるため、ドル円相場の一方的な下落は想定しづらいと考えられます(米ドルと円の綱引き状態になりやすい)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(アジア時間帯は欧米株急落の流れを継いでリスク回避の円買いが続く可能性が高いものの、海外勢参入後は徐々に底堅さを見せ始めると想定)。尚、本日は米5月フィラデルフィア連銀景況指数、米4月中古住宅販売件数、米4月景気先行指数などに注目が集まります。米景気のリセッション入り懸念が高まる中、市場参加者の目線が下がっているため、市場予想を上回った際のポジティブサプライズに注意が必要でしょう(安値圏での突っ込み売りは避けたいところ)。

本日の予想レンジ:127.25ー128.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、リスク回避ムード再燃で大幅下落。低調な米小売決算を受けて米株急落

ドル円日足

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