ドル円見通し 5月12日夜安値からの底上げ基調続くが130円手前で足踏み(22/5/18)

ドル円は5月17日夜に129.77円を付けて5月16日に二度つけた129.60円台序盤から戻り高値を切り上げた。

ドル円見通し 5月12日夜安値からの底上げ基調続くが130円手前で足踏み(22/5/18)

ドル円見通し 5月12日夜安値からの底上げ基調続くが130円手前で足踏み

〇ドル円、5/17夜129.77到達、129.60台序盤から戻り高値切り上げる、130円届かず上値は重い
〇米長期債利回り上昇、クロス円全面高がドル円押し上げ要因に
〇米4月小売売上高は堅調、NYダウ3連騰、10年債利回り2.99%で終了
〇パウエル議長積極利上げ姿勢、エバンズ総裁は政策金利を中立水準2.25〜2.50%に戻すこと支持
〇129.06以上での推移中は129.77超えから130円台前半を目指す上昇を想定する
〇129.06を割り込む場合は下げに入るとみて、128円台中盤を試すとみる

【概況】

ドル円は5月17日夜に129.77円をつけて5月16日に二度つけた129.60円台序盤から戻り高値を切り上げた。17日深夜に129.06円まで下げたものの129円割れを回避し16日安値128.68円から17日午前安値128.81円へと底上げしてきた流れを維持した。
5月17日はNYダウが米小売統計堅調と中国の感染抑制規制の緩和見込み等から3連騰となり、株買い債券売りで米長期債利回りが上昇したが、ドルストレートではリスクオンを優先してユーロやポンドなどが上昇したためにドル円はクロス円全般の上昇による円安と米長期債利回り反騰による押し上げで確りした印象だ。

【米小売堅調、ダウは3連騰、米長期債利回りは上昇】

5月17日に米商務省が発表した4月の小売売上高は前月比0.9%増で市場予想と一致し、3月の1.4%増(速報の0.5%増から大幅上方修正)を下回ったものの4か月連続のプラスだった。自動車・同部品を除くと0.6%増で市場予想の0.4%を上回った。3月が速報の1.1%増から2.1%増へ大幅上方修正されたため3月からは鈍化となっているが堅調な状況を維持している。
米連銀が発表した4月の鉱工業生産指数は前月比1.1%上昇となる市場予想の0.5%を上回り3月の0.9%上昇から伸びが加速して4か月連続の改善となった。設備稼働率は79.0%で3月の78.2%を上回り4か月連続の改善だった。
堅調な小売売上高や中国の感染拡大が収まる傾向を見せて長期にわたったロックダウンの解除への見込みが報じられたことも重なり、NYダウは前日比431.17ドル高と上昇し、先週末から3連騰となった。ナスダック総合指数も321.73ポイント高と大幅上昇して5月12日安値以降の戻り高値を切り上げた。

一方で株買い債券売りと米経済指標の堅調さを見て米長期債利回りは総じて上昇した。指標の10年債利回りは前日比0.10%上昇の2.99%で終了、5月9日に3.2%をつけて昨年来最高水準に達したところから5月12日の2.82%まで大幅低下が続いたところから切り返しに入っている印象だ。30年債利回りも前日比0.08%上昇の3.18%、2年債利回りは0.13%上昇の2.71%へと大きく上昇した。
米長期債利回りが上昇したことでドル円には押し上げとなったが、ドルストレートでは株高によるリスク選好感を背景に先週まで大幅下落が続いてきたユーロやポンドなどの買い戻しが優勢となり、クロス円の全面高も円安感を強めてドル円を支えた。

【米パウエル議長、積極的利上げ姿勢を強調】

米連銀のパウエル議長は17日に、「歴史的な高インフレが明確に低下しなければ一層積極的な利上げに踏み切る可能性がある」「インフレ抑制が圧倒的に必要だ」と述べた。5月3-4日開催の前回FOMCにおいてパウエル議長は6月と7月のFOMCでも0.50%利上げを検討する姿勢を強調したがインフレの高止まりと深刻化への警戒感から積極利上げ姿勢は堅持されているようだ。
先週発表された米4月CPIは前年同月比8.3%上昇となり伸びは鈍化したが40年ぶりの高水準にあり、ウクライナ戦争とロシア制裁が今後に及ぼす影響次第ではさらに深刻化する可能性もあるところだ。支持率が低迷しているバイデン政権にとってもインフレ抑制が最重要であり、米連銀も0.75%利上げのような超大幅利上げにはならないとしても0.50%ずつの利上げがしばらく続く可能性が高い状況だ。

米シカゴ連銀のエバンズ総裁も17日に「インフレ率を2%の目標に戻すには政策金利が中立水準をいくらか上回る必要がある」とし、中立水準の「2.25〜2.50%へ迅速に戻すことを支持する」と述べた。米セントルイス連銀のブラード総裁も17日に「米経済は今後少なくとも18か月はトレンドを上回るペースで拡大を続け消費支出も堅調に推移する」とし、「今後数回のFOMCで0.50%の利上げを続けることはインフレ抑制に向けて良好な計画だ」とした。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月12日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りした。5月16日は129.60円台序盤で売られたものの底上げ基調を維持しているので12日夜安値を起点とした強気サイクルによる上昇期を継続しているが、130円に届かず上値の重さも見られる。
5月17日夜反落時の安値129.06円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとして18日の日中から19日夜にかけての間への下落を想定するが、その後の切り返しで5月12日夜安値以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとする。また129.06円割れを回避して5月17日夜高値超えから続伸に入る場合は17日午前安値を起点とした新たな強気サイクル入りとして高値形成期が19日から23日にかけての間と想定する。

60分足の一目均衡表では5月16日以降を129円割れを買い戻されつつ130円に届かない揉み合いで推移しているため遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが、17日午前からは先行スパンを上回る状況を維持しているので、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んで前後凡そ10ポイントの範囲で揉み合い推移だが、40ポイント台では買われているのでまだ上昇余地ありとし、次の60ポイント超えからは70ポイントを目指すとみる。ただし40ポイント割れへ低下する場合はいったん下げに入るとみて20ポイント台へ向かう流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月17日深夜安値129.06円を下値支持線、17日夜高値129.77円を上値抵抗線とする。
(2)129.06円以上での推移中は129.77円超えから130円台前半を目指す上昇を想定する。130.50円以上は反落注意とするが、クロス円全般の上昇が続く場合及び米長期債利回りの反騰継続なら高値試しへ向かいやすい状況と考える。
(3)129.06円を割り込む場合はいったん下げに入るとみて128円台中盤(128.70円から128.30円)を試すとみる。128.50円以下は反発注意とし、129.06円を割り込んだ後に12日夜安値以降の高値を更新するところからは新たな上昇期入りとして130円台前半試しへ向かうとみるが、高値更新へ進めないうちは19日の日中にかけても安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/18(水)
G7財務相・中銀総裁会議(独、5/20日まで)
10:30 (豪) 1-3月期 賃金指数 前期比 (10-12月 0.7%、予想 0.8%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 0.3%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -1.7%)
13:30 (日) 3月 設備稼働率 前月比 (2月 1.5%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 1.1%、予想 2.6%)
15:00 (英) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 7.0%、予想 9.1%)
15:00 (英) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 5.7%、予想 6.2%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前月比 (3月 1.0%、予想 0.5%)
15:00 (英) 4月 小売物価指数 前年同月比 (3月 9.0%、予想 11.0%)

18:00 (欧) 4月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 7.5%、予想 7.5%)
18:00 (欧) 4月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 3.5%、予想 3.5%)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数・年率換算件数 (3月 179.3万件、予想 176.5万件)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数 前月比 (3月 0.3%、予想 -1.9%)
21:30 (米) 4月 建設許可件数・年率換算件数 (3月 187.3万件、予想 181.2万件)
21:30 (米) 4月 建設許可件数 前月比 (3月 0.4%、予想 -2.7%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省20年債入札
29:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

5/19(木)
休場、トルコ
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.75%)
07:45 (NZ) 1-3月期 生産者物価指数 前期比 (10-12月 1.4%)
08:50 (日) 4月 通関貿易収支・季調前 (3月 -4124億円、予想 -1兆2019億円)
08:50 (日) 4月 通関貿易収支・季調済 (3月 -8998億円、予想 -1兆4598億円)
08:50 (日) 3月 機械受注 前月比 (2月 -9.8%、予想 3.8%)
08:50 (日) 3月 機械受注 前年同月比 (2月 4.3%、予想 3.3%)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 1.79万人、予想 3.00万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 4.0%、予想 3.9%)

17:00 (欧) 3月 経常収支・季調済 (2月 208億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前月比 (2月 1.9%)
18:00 (欧) 3月 建設支出 前年同月比 (2月 9.4%)
20:30 (欧) 欧州中銀 理事会議事要旨
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 17.6、予想 17.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.3万件、予想 20.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 134.3万人、予想 132.0万人)
21:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (3月 577万件、予想 562万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -2.7%、予想 -2.6%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (3月 0.3%、予想 0.0%)
25:00 (欧) ヴェスターガー欧州委員、ホルツマン・オーストリア中銀総裁講演
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札


注:ポイント要約は編集部

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