ドル円、上下しつつも方向感を見出せない展開。米小売売上高と米当局者発言に注目
〇ドル円、株価の底堅い動き、米金利上昇に米国時間朝方にかけて一時129.62まで反発
〇その後はNY連銀製造業景気指数の不冴えと、米長期金利の急低下に129.10レベルに下げる
〇ユーロドル、欧州株堅調と仏中銀総裁のユーロ安牽制発言に米国時間に一時1.0443まで反発
〇ドル円、上下に振れを伴いつつも結局方向感を見出すには至らず
〇引き続きテクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズもドル円上昇材料多い
〇本日米小売売上高、鉱工業生産等の指標、FRB要人発言要注視
〇本日の予想レンジ:128.25ー129.75
海外時間のレビュー
週明け16日(月)のドル円相場は上下しつつも方向感を見出しづらい展開。@中国における新型コロナウイルスの感染拡大(中国政府によるゼロコロナ対策に伴うロックダウンの長期化懸念)や、A上記@を背景とした中国経済の失速懸念(昨日発表された中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、中国4月固定資産投資は軒並み市場予想を大幅に下回る冴えない結果)、Bアジア株の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、アジア時間午前にかけて、安値128.71まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C黒田日銀総裁による「金融緩和を粘り強く継続する」との発言や、D日経平均株価の底堅い動き、E米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、一時129.62まで反発しました。もっとも、アジア時間朝方に記録した高値129.63をバックに伸び悩むと、F米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲11.6、予想15.0、前回24.6)の冴えない結果や、G上記Fを背景とした米長期金利の急低下が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/17午前5時05分現在)では、129.10前後で推移しております。
週明け16日(月)のユーロドル相場は底堅い動き。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、AフィンランドやスウェーデンによるNATO(北大西洋条約機構)への加盟申請観測(ロシアと北欧の地政学的リスクに発展する恐れ)、B中国経済の失速懸念(リスク回避のドル買い圧力)が重石となり、アジア時間午前にかけて、安値1.0389まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C欧州株の底堅い動きや、Dフランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBはユーロの実効レートを注視している」「弱過ぎるユーロは物価安定の目標に反する」とのユーロ安牽制発言、E米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数の冴えない結果、F上記Eを背景とした米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0443まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/17午前5時05分現在)では、1.0431前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は上下に振れを伴いつつも結局方向感を見出すには至りませんでした(129.63→128.71→129.62→128.99→129.05)。但し、ダウンサイドに複数のテクニカルポイントを控えていること(5/12に急落した際にも一目均衡表基準線に下支えされる形で急反発→下値の堅さを再確認)や、強い買いシグナルを示唆する三役好転やパーフェクトオーダーが継続していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(下値余地は限定的。目先は、5/9高値131.36と5/12安値127.51を起点としたフィボナッチ半値戻し129.43や、フィボナッチ61.8%戻し129.88を試すシナリオを想定)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(米FRBは景気よりもインフレ抑制を重視するスタンスを見せているため、連続50bp利上げ+バランスシート圧縮方針は変わらない見通し)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢(黒田日銀総裁は昨日も「金融緩和を粘り強く継続する」と発言)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、
C資源価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(原油高→貿易赤字拡大→経常収支の赤字転落懸念→構造的な円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、本日は米4月小売売上高や米4月鉱工業生産に加えて、投票権を有する米当局者の発言(パウエルFRB議長、セントルイス連銀ブラード総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、クリーブランド連銀メスター総裁)に注目が集まります。このところの冴えない米経済指標を受けて市場参加者の目線が低下しているため、米経済指標については、市場予想を上回るポジティブサプライズにむしろ注意が必要と考えられます(米経済の先行き不透明感後退→米ドル高の展開に要警戒)。また、米当局者より足元の株安や米経済指標の鈍化にもかかわらず、インフレ抑制を優先するタカ派的な姿勢が見られる場合にも、米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円には上昇圧力が加わりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:128.25ー129.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2022.05.17
ドル円見通し ドル高緩み130円台回復へ進めず、4月28日と5月9日のダブルトップ感を引きずる(22/5/17)
午前序盤129.63円をつけてからいったん128.68円へ下落、夜に129.61円まで戻したものの戻り高値切り上げへ進めずに失速して129円割れを試す状況となっている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2022.05.16
米株の動きを注視、基本はレンジ取引か(5/16夕)
週明け16日の東京市場はドルが小安い。一時ドル買いが進行するも上値は限定的で、そののち反落に転じている。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。