ドル円、約20年ぶり高値更新後に急反落。本日は米当局者とバイデン大統領発言に注目(5/10朝)

週明け9日(月)のドル円相場は高値更新後に急反落。

ドル円、約20年ぶり高値更新後に急反落。本日は米当局者とバイデン大統領発言に注目(5/10朝)

ドル円、約20年ぶり高値更新後に急反落。本日は米当局者とバイデン大統領発言に注目

〇ドル円、実需のドル買い、米長期金利上昇等で131.35まで急伸、約20年ぶり高値を更新
〇その後は米国時間午後にかけ130.13まで急落、130円台前半での推移
〇ドル円に対ユーロでのドル売りが波及、米長期金利も反落したことがドル円の重石となる
〇プーチン大統領は戦勝記念日に「戦争宣言」に踏み切らず、ユーロは一時高値1.0592まで反発
〇ドル円、テクニカルな下値余地乏しく、ファンダメンタルズも日米金融政策の差がドル円をサポート
〇短期中長期ともドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:129.50ー131.50

海外時間のレビュー

週明け9日(月)のドル円相場は高値更新後に急反落。@本邦輸入企業による実需と思しきドル買い・円売りや、A米金利上昇に伴うドル買い圧力(米5年債利回りは2008年9月以来となる3.10%へ上昇。米10年債利回りは2018年11月以来となる3.20%へ上昇)B4/28に記録した直近高値131.25を上抜けたことに伴う仕掛け的なドル買い・円売り、Cバイデン米大統領によるインフレ対策への期待感(5/10発表予定)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、2002年4月以来、約20年ぶり高値となる131.35まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、D急ピッチな上昇に対するポジション調整(利食い売り・反動売り)や、E対ユーロでのドル売り圧力(プーチン露大統領が「戦争宣言」に踏み切らなかったことに伴う安堵感→ユーロドルのショートカバー誘発)、F世界的な株安に伴うリスク回避の円買い圧力、G米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが3.20%から3.05%へ急低下)、Hアトランタ連銀ボスティック総裁による「FRBが75bpの利上げを決定する公算は小さい」とのハト派的な発言が重石となり、米国時間午後にかけて、安値130.13まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/10午前4時55分現在)では、130.25前後で推移しております。

週明け9日(月)のユーロドル相場は下落後に急反発。@米金利上昇に伴うドル買い圧力や、A欧州経済の先行き不透明感(欧米諸国による対ロシア制裁強化→欧州圏におけるエネルギー不足→インフレ昂進→欧州経済の下振れ懸念)、B株式市場の冴えない動き(資産現金化需要のドル買い圧力)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0495まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力(ドイツ10年債利回りは2014年8月以来となる1.18%へ急上昇)や、Dプーチン露大統領が戦勝記念日の式典で「特別軍事作戦」から「戦争宣言」へのフェーズ変更に踏み切らなかったことに伴う安堵感が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.0592まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、E欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力(ドイツ10年債利回りは欧州時間帯に記録した1.18%から1.07%へ急低下)や、F欧州株安を背景とした資産現金化需要のドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5/10午前4時55分現在)では、1.0560前後まで反落する動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は一時131.35(2002年4月以来、約20年ぶり高値圏)まで上昇するも、結局130.13まで反落する荒々しい値動きとなりました。但し、複数のサポートポイントをダウンサイドに控えていることや、日足・週足・月足の全てで強い買いシグナルが成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、下値余地は乏しい(地合いは崩れていない)と判断できます(足元の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目→ここから下のゾーンでは買い遅れた勢力による怒涛の押し目買いが見込まれることから、一巡後に再び反発に転じる公算大)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派スタンスの継続姿勢(先週の米FOMCで50bp利上げとバランスシート圧縮計画を発表。さらに次回・次々回FOMCでの連続50bp利上げを織り込む動き)や、A日銀によるハト派スタンスの継続姿勢(指値オペ常設化で長期金利抑制方針。黒田総裁は円安容認姿勢)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、本日はFOMC投票メンバでもあるクリーブランド連銀メスター総裁や、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、ウォラーFRB理事の発言に注目が集まります。

タカ派的なスタンスが示される場合には、米FRBによる追加大幅利上げを織り込む形で米金利上昇→米ドル高の流れが強まると予想されます。また、本日はバイデン米大統領によるインフレ対策の発表にも期待が集まっています。米中間選挙を11月に控える中、インフレ加速に伴う支持率低下を回避すべく、国民から支持が得られやすい政策が打ち出される場合には 、米景気回復期待→米株反発を通じて、ドル円が再び持ち直すシナリオも想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、短期的にも、中長期的にも、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(一巡後の反発リスクに要警戒。リスク回避局面では円買いのみならず、資産現金化需要のドル買いも強まるため、株安→ドル円下落の波及経路は長期化しづらい)。

本日の予想レンジ:129.50ー131.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、約20年ぶり高値更新後に急反落。本日は米当局者とバイデン大統領発言に注目

ドル円日足

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