ドル円見通し 米長期債利回り続騰で121円到達、2016年1月以来の高値水準(22/3/23)

23日午前序盤には121.20円台へ高値を伸ばしており、2016年1月29日高値121.67円以来の高値水準となっている。

ドル円見通し 米長期債利回り続騰で121円到達、2016年1月以来の高値水準(22/3/23)

ドル円見通し 米長期債利回り続騰で121円到達、2016年1月以来の高値水準

〇ドル円、3/23午前序盤121.20円台到達、2016年1月121.67以来の高値水準
〇米連銀、年内複数回の0.50%利上げ見込む、セントルイス連銀総裁ら金利水準3%への引き上げ支持
〇米10年債利回り、前日比0.10%上昇の2.39%、2019年6月以来高水準
〇日米金利差拡大、輸入インフレと経常収支悪化でドル円急上昇、当面は高値追及続くか
〇120円以上での推移中は、121.50超えから122円台を目指すとみる
〇120.70割れからは120.37試し、120.37割れからは120円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は米長期債利回りの上昇を受けて3月22日夜に121円に到達、23日未明にかけて120円台後半を維持して高止まりしていたが23日午前序盤には121.20円台へ高値を伸ばしており、2016年1月29日高値121.67円以来の高値水準となっている。
3月23日はセントルイス連銀総裁とクリーブランド連銀総裁がいずれも利上げペースの加速を主張したが、21日にパウエル米連銀議長が0.50%の利上げもあり得る姿勢を示したことも踏まえて米連銀が一層タカ派へシフトしているとみて米長期債利回りの上昇が加速、ドル円の上昇も勢い付いている。
週間足での上昇幅は先々週が前週比2.44円、先週が1.93円、今週も23日午前序盤時点ですでに1.96円の上昇幅となっているが、1月4日高値116.34円と2月10日高値116.33円によるダブルトップラインを超えたところから勢い付いており、2016年後半のトランプラリーや2012年後半からの日銀異次元金融緩和時代の上昇期に近い角度での上昇となっている。

【米10年債利回りは続騰で2019年6月以来の高水準に】

3月22日の米10年債利回りは前日比0.10%上昇の2.39%となりパンデミック発生からの急落で付けた2020年3月の0.31%以降の高値を更新、既にパンデミック前の水準を回復しているが2019年6月以来の水準に達している。30年債利回りは0.08%上昇の2.60%で2019年7月以来の水準となり、2年債利回りは0.05%上昇の2.17%で2019年5月以来の高水準となった。2年債利回りは3月1日の1.26%から急上昇ぶりが目立つ。
一方でNYダウは前日比254.47ドル高、ナスダック総合指数も270.36ポイント高と上昇した。米連銀による利上げペースの加速や当面するウクライナ情勢の泥沼化及びロシア制裁の影響等もある程度織り込んだ上で、インフレを伴った米国景気回復は継続するとの楽観論が優勢のようだ。

【米連銀は年内複数回の0.50%利上げを行う公算】

米セントルイス連銀のブラード総裁は3月22日の通信社インタビューで「年内に政策金利を3%へ引き上げることを望んでいる」と述べた。同総裁は中立的な政策金利水準を2%とし、「3%へ引き上げればやや引き締め的になりインフレを低下させる助けになる」とし、「0.5%の利上げを織り交ぜてゆく」と述べた。
米クリーブランド連銀のメスター総裁は3月22日の講演において政策金利を2.5%へ引き上げるのが適切と述べた。ブラード総裁もメスター総裁もFOMCでの投票権を持つメンバーであり、21日にパウエル米連銀議長が21日の講演で「労働市場は極めて力強く、インフレは高過ぎる」「1回の会合もしくは複数の会合で政策金利を0.25%以上引き上げて一段と積極的に対応することが適切となればそのように行動する」と述べた姿勢とも合致している。米連銀の利上げペースは今年複数回の0.50%利上げを伴って加速してゆく印象を強めた。

米長期債利回りの上昇は金融緩和政策の継続に拘る日銀との対比、日米長期金利差の拡大、世界規模のインフレ進行による輸入インフレと経常収支悪化等を踏まえてドル円の急上昇を招いているが、当面はこの環境は変わらずに高値追及を続けてゆくのではないかと思われる。
市場が意識する過去の高値としては、2016年1月29日高値121.67円、2015年11月18日高値123.73円、2015年6月5日高値125.84円がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、3月14日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして18日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定してきたが、3月18日夜からの119円台序盤での横ばい型持ち合いから上放れて一段高に入ったため、22日午前時点では持ち合い終点の3月21日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしているとして、3月23日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定した。
3月23日午前序盤に一段高しているので引き続きトップ形成中とし、弱気転換は3月22日夜の反落時安値120.37円を割り込む下落発生からとする。

60分足の一目均衡表では3月18日夜の上昇で遅行スパンが再び好転してからは遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中は安値試し優先とする。弱気転換は遅行スパン悪化からとし、その際は先行スパンの上下限を試すとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は3月22日夜高値から23日午前序盤への一段高に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行気配となっている。60ポイント台を維持するうちは弱気逆行をブレイクするような上昇へ進む可能性もあるとみるが、60ポイント割れからはいったん調整安に入るとみて50ポイント以下への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、120.70円を下値支持線、121.50円を上値抵抗線とする。
(2)120円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは121.50円超えから122円台を目指すとみる。122円到達ではいったん売られやすいとみるが、121円台を維持しての推移なら24日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)120.70円割れからは3月22日夜反落時の安値120.37円試しとし、120.37円割れからは120円前後への下落を想定する。120.15円以下は反発注意とするが、120.70円以下での推移なら24日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/23(水)
G7貿易相会合、IEA閣僚理事会(3/24まで)
14:00 (日) 1月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 103.7)
16:00 (英) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.6%)
16:00 (英) 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 5.5%、予想 6.0%)
16:00 (英) 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 4.4%、予想 5.0%)
16:00 (英) 2月 小売物価指数 前月比 (1月 0.0%、予想 0.8%)
16:00 (英) 2月 小売物価指数 前年同月比 (1月 7.8%、予想 8.2%)
21:00 (英) ベイリー英中銀総裁、BIS講演
21:30 (英) スナック英財務相、予算案
22:15 (欧) ラガルドECB総裁、講演
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (1月 80.1万件、予想 81.0万件)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数 前月比 (1月 -4.5%、予想 1.1%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感速報値 (2月 -8.8、予想 -12.9)
24:45 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、イベントに参加
26:00 (米) 財務省2年物変動利付債、20年債入札

3/24(木)
G7首脳会議、EU首脳会議(3/25まで)、NATO緊急首脳会議、
14:30 片岡日銀審議委員、記者会見
17:30 (独) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.4、予想 55.0)
17:30 (独) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 55.8、予想 54.3)
17:30 (ス) スイス中銀 政策金利 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
18:00 (ノ) ノルウェー中銀、政策金利 (現行 0.5%、予想 0.75%)
18:00 (欧) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.2、予想 56.0)
18:00 (欧) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 55.5、予想 54.1)
18:30 (英) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.0、予想 57.1)
18:30 (英) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 60.5、予想 59.0)

21:30 (米) 10-12月期 経常収支 (7-9月 -2148億ドル、予想 -2180億ドル)
21:30 (米) 2月 耐久財受注 前月比 (1月 1.6%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (1月 0.7%、予想 0.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.3万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 141.9万人、予想 146.6万人)
22:00 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)
22:00 (英) マン英中銀委員、講演
22:45 (米) 3月 製造業PMI速報値 (2月 57.3、予想 55.0)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 56.5、予想 56.0)
22:50 (米) エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答
26:00 (米) 財務省10年物インフレ連動債入札
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 6.00%、予想 6.50%)


注:ポイント要約は編集部

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