ドル円見通し 118円割れを切り返し再び2016年12月高値に迫る(22/3/16)

ドル円は3月7日からの米長期債利回り大幅上昇を背景に3月14日夜に118円台に到達、15日午前序盤に118.44円を付けて2016年12月15日高値118.65円に迫った。

ドル円見通し 118円割れを切り返し再び2016年12月高値に迫る(22/3/16)

ドル円見通し 118円割れを切り返し再び2016年12月高値に迫る

〇ドル円、3/15午前118.44付け16年12月高値迫る、夕刻反落するも16日未明118.39まで持ち直す
〇米10年債利回り、3/7以降上昇基調継続、NYダウ、利上げ幅への楽観優勢となり大幅上昇
〇米2月PPI前月比0.8%、インフレ深刻化懸念緩む、3/17米FOMC利上げ予想は0.25%
〇停戦期待で原油価格下落、ただしエネルギー争奪戦、穀物価格高騰で騰勢回復の可能性も
〇118円以上での推移中は上向きとし、118.70超えからは119円台を目指す流れとみる
〇117.69割れからはいったん下げに入るとみて、117円台序盤を試すとみる

【概況】

ドル円は3月7日からの米長期債利回り大幅上昇を背景に3月14日夜に118円台に到達、15日午前序盤に118.44円を付けて2016年12月15日高値118.65円に迫った。夕刻に米長期債利回りがいったん低下した局面でドル高が緩んだために117.69円まで反落したが、118円割れを買い戻されて16日未明には118.39円まで持ち直している。
2016年12月高値に迫る水準まで上昇したことで高値警戒感も出やすい状況だったところで、ややまとまった売りがでて一時的な調整安を見たものの、先高期待の継続で押し目買い優勢となった印象だ。

【米10年債利回りは3月7日からの上昇基調継続】

3月15日のNYダウは前日比599.10ドル高と大幅上昇し、ナスダック総合指数も367.40ポイント高と上昇した。
ウクライナ停戦協議進展への期待、原油急騰が一巡して3月序盤の水準へ大幅下落となったことでロシア制裁をきっかけとした第三次石油危機発生への悲観が後退したこと、2月の米PPIの上昇も前月比で鈍ったことでピークアウト感が出ていることから、3月17日未明に政策発表となる米連銀の利上げも市場予想通りの0.25%の引き上げにとどまり、その後も緩やかな引き締めで推移するのではないかとの楽観がやや優勢となった印象だ。しかし停戦協議の合意にはまだ至らずロシアの侵攻も拡大中であり、中国の感染急増によるロックダウンの影響も警戒されるところだ。

長期金利の指標である米10年債利回りは前日比0.01%上昇の2.15%だった。一時は2.08%まで緩む場面もあったものの切り返して2019年7月以来2年8か月ぶりの高水準に達しており、3月7日に安全資産買いで低下した時の1.66%を起点とした連騰型の上昇が続いている。30年債利回りも0.01%上昇の2.48%となりパンデミック以降の高値を更新、2年債利回りは0.02%低下の1.85%となったものの、序盤に1.88%へ上昇したところから1.79%へいったん下げて切り返しており、10年債等と同様に3月7日以降の上昇基調を継続してパンデミック以降の最高値更新が続いている。

【3月17日未明にFOMC】

3月15日夜に発表された米2月生産者物価指数(PPI)は全体の前月比が0.8%となり1月の1.2%から低下して市場予想の0.9%を下回った。前年同月比は1.0%を付けて1月と変わらず(速報の9.7%から上方修正)だった。またコア指数の伸びは前月比で0.2%にとどまり1月の1.0%から低下して市場予想の0.6%を下回り、前年同月比も8.4%となり1月の8.3%を若干上回ったものの市場予想の8.7%を下回った。
インフレ進行は継続しており、ウクライナ情勢の緊張感が高まって原油が高騰していた際の悲観的なインフレ深刻化懸念が緩み、当面のインフレピークとなった可能性も意識される結果となった。
3月17日未明の3時にFOMC声明発表、3時半に議長会見がある。政策金利は現行の0.00〜0.25%から0.25〜0.50%へ0.25%の引き上げが予想されているが、0.50%の引き上げ予想は後退している。

【停戦協議は継続】

ロシアとウクライナは3月14日夜からオンラインでの停戦協議を開始、いったん中断したところから15日に再開、再び中断を入れて16日も継続するとされている。
両国の隔たりが強調される一方で歩み寄りを示唆する報道もある。停戦期待と中国における感染急増に対するロックダウン導入が需要低下を招くとしてNY原油は3月14日に前日比6.32ドル安、15日も6.57ドル安と大幅続落となり15日安値では93.53ドルを付けて3月7日高値130.50ドルからの下落を継続している。ロシアがウクライナ侵攻を本格開始した2月24日に100ドルを超えて急伸に入る前の安値が90ドル台序盤であり、ほぼ3月初旬の急騰分を解消したことになる。

ただし、仮に停戦合意に至ったとしてもロシア制裁が早々に解除される見込みは薄く、欧州のロシア産エネルギー依存からの脱却方針により、今後はロシア産以外の原油争奪戦に入ることも予想されること、ウクライナにおける春の穀物作付けに影響が出る場合の穀物・飼料価格高騰への危惧が継続していること、中国や韓国の感染急増にみられる感染の波の繰り返し発生によるサプライチェーン停滞の長期化等を踏まえるといったん仕切り直し的に下げた原油が騰勢を回復してゆく可能性もあると注意したい。原油高騰等による輸入インフレは米長期金利上昇と共に日本の経常収支悪化をもたらして円安要因となることにも留意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、3月7日からの大上昇が継続中だが、3月15日夕刻にいったん118円を割り込んでから切り返しているので、現状は3月14日夕安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたところと思われる。高値形成期は18日午前から22日午前にかけての間と想定されるので3月15日夕安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、15日夕安値を割り込むところからは底割れによる弱気サイクル入りとして18日午後から22日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月15日夕刻の一時的な下落でも遅行スパンは好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。3月15日夕安値を割り込まないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、15日夕安値割れからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。またその際に先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性もあると注意する。

60分足の相対力指数は14日から15日午前への上昇時に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られて15日夕刻に一時的な急落を見たが、その後の反騰で60ポイント台を回復しているので上昇再開に入っていると思われる。弱気転換は40ポイント割れからとし、60ポイント以上での推移中は70ポイント台中盤を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、118.00円を下値支持線、118.70円を上値抵抗線とする。
(2)118円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、118.70円超えからは119円台を目指す流れとみる。119円以上は反落警戒とするが、118円以上での推移なら17日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)3月15日夕安値117.69円割れからはいったん下げに入るとみて117円台序盤(117.25円から117.00円)を試すとみる。117円台序盤は買い戻しも入りやすいところとみるが、117.69円を割り込んでの推移が続く場合は17日の日中も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/16(水)
北大西洋条約機構(NATO)臨時国防相会合
13:30 (日) 1月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -1.3%)
13:30 (日) 1月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -0.9%)
13:30 (日) 1月 設備稼働率 前月比 (12月 -0.4%)
21:30 (米) 2月 小売売上高 前月比 (1月 3.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 3.3%、予想 0.9%)
21:30 (米) 2月 輸入物価指数 前月比 (1月 2.0%、予想 1.5%)
21:30 (米) 2月 輸出物価指数 前月比 (1月 2.9%、予想 1.6%)
23:00 (米) 1月 企業在庫 前月比 (12月 2.1%、予想 1.1%)
23:00 (米) 3月 NAHB住宅市場指数 (2月 82、予想 81)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.25-0.50%)
27:30 (米) パウエル米銀議長、定例記者会見

3/17(木)
日銀・金融政策決定会合(初日)
ブラジル中銀、台湾中銀、インドネシア中銀の政策金利発表
06:45 (NZ) 10-12月期 GDP 前期比 (7-9月 -3.7%、予想 3.2%)
06:45 (NZ) 10-12月期 GDP 前年同期比 (7-9月 -0.3%、予想 3.2%)
08:50 (日) 1月 機械受注 前月比 (12月 3.6%、予想 -2.0%)
08:50 (日) 1月 機械受注 前年同月比 (12月 5.1%、予想 8.7%)
09:30 (豪) 2月 新規雇用者数 (1月 1.29万人、予想 4.00万人)
09:30 (豪) 2月 失業率 (1月 4.2%、予想 4.1%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 5.8%、予想 5.8%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 2.7%、予想 2.7%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 14.00%、予想 14.00%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.50%、予想 0.75%)

21:30 (米) 2月 住宅着工件数・年率換算件数 (1月 163.8万件、予想 170.0万件)
21:30 (米) 2月 住宅着工件数 前月比 (1月 -4.1%、予想 3.8%)
21:30 (米) 2月 建設許可件数・年率換算件数 (1月 189.9万件、予想 185.0万件)
21:30 (米) 2月 建設許可件数・前月比 (1月 0.7%、予想 -2.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件、予想 22.1万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 149.4万人)
21:30 (米) 3月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (2月 16.0、予想 15.0)
21:45 (欧) シュナーベルECB理事、討論会参加
22:15 (米) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 1.4%、予想 0.5%)
22:15 (米) 2月 設備稼働率 (1月 77.6%、予想 77.8%)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る