ドル円見通し 1月18日高値を超えてダブル底型上昇に(22/1/28)

ドル円は1月27日深夜に115.48円へ上昇、1月18日高値115.05円を上抜き、その後も115円台を維持している。

ドル円見通し 1月18日高値を超えてダブル底型上昇に(22/1/28)

ドル円見通し 1月18日高値を超えてダブル底型上昇に

〇ドル円、1/27夜115円台に乗せ深夜115.48へ上昇、1/18高値115.05を上抜く
〇上昇再開の目安でもある26日移動平均を超え、1/4高値116.34超えを試す流れへ入った印象
〇パウエル議長会見後はドル全面高の様相、利上げ回数予想の上方修正相次ぐ
〇米2年債利回りは一段高、NYダウは調整安継続
〇115.00以上での推移中は上向きとし、115.50超えからは116.00前後への上昇を想定する
〇115.00割れからは114.50前後試しとみるが、114.50前後は買い拾われやすい水準とみる

【概況】

ドル円は1月27日深夜に115.48円へ上昇、1月18日高値115.05円を上抜き、その後も115円台を維持している。
1月27日早朝の米連銀FOMC金融政策発表を前にして引き締め姿勢を先取りした上昇で114円台回復から高値切り上げに入り、FOMC通過から114.50円超え、さらに27日夜に115円台に乗せてからも勢いを継続した。
1月14日夜安値113.47円と1月24日安値113.46円がダブルボトムとなり、その完成目安である1月18日高値を超えたこと、1月4日夜高値116.34円以降の戻り高値を結んだ上値抵抗線を突破したこと、1月4日からの下落幅も2.88円にとどまり11月30日への下落幅2.99円と同レベルの調整として切り返しに入り、上昇再開の目安でもある26日移動平均を超えてきたことで1月4日高値超えへ挑戦する流れへ入ってきた印象だ。

【FOMC後は利上げ回数予想の上方修正相次ぐ】

1月27日早朝に発表された米FOMCの金融政策姿勢では、具体的な内容としては早期のテーパリング終了、3月からの利上げ開始、膨大に膨れ上がった米連銀資産の圧縮=量的引き締めの向こう数か月以内の開始というものであり、12月14-15日の前回FOMC及び1月6日早朝のFOMC議事録で示された内容にとどまっているが、量的引き締めについてはリーマンショック後の緩和終了による引き締めプロセスよりも早い対応となることが議長会見で示された。量的引き締め開始時期についての明示は無かったもののそれがかえって市場にとっては米連銀が一段とタカ派姿勢を強めたとの受け止めとなり、議長会見後はドル全面高の様相となった。

FOMC後、大手金融機関やシンクタンクによる年内の利上げ予想については、従来の3回(3月、6月、9月)予想から4回、あるは5回の予想へと利上げペースが早まるとの見通しへ修正が相次いでいる。ドイツ銀は年5回、BNPパリバは年6回の利上げ予想へと引き上げている。また資産圧縮の開始についても従来の9月頃から開始というコンセンサスから6月以前に開始される可能性も取り沙汰されてきた。
次回3月のFOMCではメンバーによる利上げ回数、金利水準などの予想も示されるが、感染拡大でも景気回復基調は続き、人手不足とモノ不足によるインフレ進行への対策が急がれる中で、利上げと引き締めのペースアップが濃厚となってきたことは、黒田総裁在任中の金融緩和政策継続を強調している日銀とのスタンスの差も意識されてドル円としては1月4日高値からの調整を終了して上昇再開に入り高値追及モードを回復しやすくなったと思われる。

【NYダウは調整安から抜け出せず、米2年債利回りは一段高】

1月27日の米10年債利回りは前日比0.07%低下、30年債利回りも0.07%低下の2.10%と落ち着いた動きとなったのは株売り債券買いの影響と、2年債利回りが前日比0.04%上昇の1.19%へと一段高する中でより年限の短いものが売られて年限の長いものが買われる裁定を反映していると思われる。2年債利回りは一時1.20%を付けてパンデミック発生以降の高値水準を更新しているが1月24日の0.93%からは急上昇による一段高という様相だ。また10年債利回りも低下したとはいえ1.80%を挟んだ一段高状態の範囲にある。

1月27日のNYダウは前日比7.31ドル安と小幅下落した。1月5日に史上最高値36952.65ドルを付けてから調整局面入りとなり1月13日から21日まで6日間の続落、25日には一時千ドル安を超える下落からプラス圏へ戻したが、25日も一時800ドル安を超える下落から戻すも66.77ドル安に終わり、26日の129.64ドル安を挟んで27日は3日続落、高値からは600ドルを超える下落となった。金融引き締め、パンデミック発生後の景気回復期待での大上昇もバブル的な楽観で進み過ぎたことでの反動、ウクライナ情勢も加わっている。株安はリスク回避的にはドル円の圧迫要因になるが、それ以上にドル高感が勝る展開となっている。

【米GDPは予想を上回る】

1月27日に米商務省が発表した昨年10-12月期GDP速報値は年率換算前期比で6.9%増となり7−9月期の2.3%増から伸び、市場予想の5.5%増を上回った。2021年の通年では前年比5.7%増で1984年以来37年ぶりの高水準で6四半期連続のプラスだった。しかし、今年1-3月期はオミクロン株による感染急増の影響で鈍化する見込みであり、10-12月期の成長も過去のデータとして市場の反応は限定的だった。
米労働省による1月22日までの週間新規失業保険申請件数は前週比3万件減少の26万件となり市場予想と一致した。感染急増で3週連続増加していたところから落ち着いたようだ。
12月の米耐久財受注は前月比0.9%減となり市場予想の0.5%減を上回る悪化で11月の3.2%増から大幅悪化だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたとして27日にかけての上昇を想定してきた。既に高値形成期の想定時期を超えているため、115円割れからは弱気サイクル入りとして28日の日中から31日午後にかけての間への下落を想定するが、いったん弱気サイクル入りした後にこの間の高値を更新するところからは新たな上昇期入りおして2月1日から3日夜にかけての間への上昇を想定する。また115円台を維持して高値更新が続く場合は起点となる直近のボトムを1月26日午前安値として高値形成期を28日夜から2月1日夜にかけての間へと延長する。

60分足の一目均衡表では1月26日午後からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、その後の大幅上昇により両スパン揃っての好転を維持して実線との乖離を拡大しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は遅行スパン悪化からとするがその際は先行スパンの上限が下値支持線となりやすいと考える。

60分足の相対力指数は27日夜日ポイント台後半へ上昇しているため相当程度の高値警戒水準といえる。60ポイント台へ低下したところから再び持ち直しつつあるのでまだ上昇継続とみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は弱気転換注意として60ポイント割れからはいったん40ポイント台へ低下する可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、115.00円を下値支持線、116.00円を上値抵抗線とする。
(2)115.00円以上での推移中は上向きとし、115.50円超えからは116.00円前後への上昇を想定する。116.00円以上は反落注意とするが、115.30円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)115円割れからは114.50円前後試しとみるが、114.50円前後は買い拾われやすい水準とみる。

【当面の主な予定】

1/28(金)
16:00 (独) 12月 輸入物価指数 前月比 (11月 3.0%、予想 2.0%)
16:00 (独) 12月 輸入物価指数 前年同月比 (11月 24.7%、予想 26.4%)
18:00 (独) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7−9月 1.7%、予想 -0.3%)
18:00 (独) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7−9月 2.5%、予想 1.9%)
19:00 (欧) 1月 経済信頼感 (12月 115.3、予想 114.5)
19:00 (欧) 1月 消費者信頼感確定値 (速報 -8.5、予想 -8.5

22:30 (米) 10-12月期 雇用コスト指数 前期比 (7−9月 1.3%、予想 1.2%)
22:30 (米) 12月 個人所得 前月比 (11月 0.4%、予想 0.5%)
22:30 (米) 12月 個人消費支出(PCE) 前月比 (11月 0.6%、予想 -0.6%)
22:30 (米) 12月 PCEデフレーター 前年同月比 (11月 5.7%、予想 5.8%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前月比 (11月 0.5%、予想 0.5%)
22:30 (米) 12月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (11月 4.7%、予想 4.8%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 68.8、予想 68.7)



注:ポイント要約は編集部

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