ドル円見通し ダブル底形成から持ち直すか、底割れへ向かうか、FOMC待ち(22/1/26)

ドル円は1月24日夜に113.46円へ下落して1月14日夜安値113.47円をわずかに割り込んだ後は114円台到達では売られつつ新たな安値更新を回避して揉み合いが観測されている。

ドル円見通し ダブル底形成から持ち直すか、底割れへ向かうか、FOMC待ち(22/1/26)

ダブル底形成から持ち直すか、底割れへ向かうか、FOMC待ち

〇ドル円、1/24夜113.46へ下落後は安値更新回避し揉み合い、FOMC声明発表後次の展開か
〇NYダウ一時800ドル超える急落、1/5史上最高値からの大幅下落
〇11月全米住宅価格指数は上昇率鈍化見通し、IMFは米成長率下方修正
〇米FOMC、テーパリング終了時期、総資産圧縮開始時期と規模、利上げ想定回数に注目
〇113.75以上での推移中は上向きとし、114.15超えからは114.50前後への上昇を想定する
〇113.75割れからは下向きとし、113.46割れからは下落期入りと考える

【概況】

ドル円は1月24日夜に113.46円へ下落して1月14日夜安値113.47円をわずかに割り込んだ後は114円台到達では売られつつ新たな安値更新を回避して揉み合いが観測されている。
ウクライナ情勢の緊張が高まっていることによる地政学的リスク、25日から始まったFOMCの結果(27日早朝に声明発表と議長会見)を控えて動き難いところだが、NYダウが24日と25日は大乱調の展開のために為替市場も全般的にやや慎重姿勢であり、FOMC声明発表をきっかけに次の展開に入るという流れと思われる。

【NYダウは大乱調、米長期債利回りは小康状態】

1月25日のNYダウは前日比66.77ドル安と小幅下落だったが、一時は800ドル安を超える急落だった。24日は前日比99.13ドル高と小幅上昇したものの一時は前日比で1100ドル安を超える大幅下落からの切り返しだったが、1月13日から21日まで6日間の大幅続落後の大乱調であり、33000ドル台前半での底固さを見せつつもウクライナ情勢や米FOMCを控えた状況にあること、既に12月1日安値を割り込んで1月5日の史上最高値からの下落規模がパンデミック発生以降で最大となり調整局面入りという認識により、FOMC通過後に反騰入りできないようだと下落期の長期化も懸念されるところだ。

米10年債利回りは前日比変わらずに1.77%。1月19日に1.90%を付けてパンデミック以降の最高水準に達してからは調整気味の低下となり、株売り債券買いによる利回り低下圧力もかかるところだが、1.77%を挟んで先週末からは揉み合いの様相。FOMCの結果を見ながら引き締め姿勢の強さ、株式市場動向、インフレ進行度合い、ウクライナ情勢を見ながら中勢の上昇基調を継続か、いったん調整的に低下するか見定めるところ。

【米経済指標はまちまち、IMFは米成長率を下方修正】

1月25日に発表された米経済指標はまちまち。
米連邦住宅金融局(FHFA)による11月の全米住宅価格指数は前年同月比17.5%上昇、前月比は1.1%上昇だったが、FHFAは上昇率が今後鈍化に入る見通しを示した。
S&Pコアロジックによる11月のケース・シラー全米住宅価格指数は前年同月比18.8%上昇で10月の19.0%上昇からは伸びが鈍化し、前月比は0.9%の上昇だった。
米コンファレンス・ボードによる1月の消費者信頼感指数は113.8で市場予想の111.8を上回ったものの前月の115.2から低下した。感染拡大とインフレの影響を踏まえて現況指数は12月の114.8から148.2へ改善したが先行きの期待指数は12月の95.4から90.8へ悪化した。
1月25日にはIMFによる世界成長率予想が公表されたが、米国については2022年が4.0%増で従来の見通しから1.2%下方修正され2023年が0.4%上方修正の2.6%とされた。中国は2022年が4.8%とされて前回から0.8%の下方修正で、2023年についても5.2%で前回から0.1%下方修正された。感染拡大による人手不足とモノ不足によるインフレとサプライチェーン停滞、社会インフラの活動力の低下が背景と思われる。

【明日早朝にFOMC声明発表】

米連銀(FRB)は1月25-26日にFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)を開いている。27日早朝には政策発表と議長会見がある。12月の前回FOMCにおいては早期のテーパリング(量的緩和の縮小・停止)の終了と2022年の3回の利上げ見通しを示した。1月6日の同会合議事録でも利上げを急ぐ姿勢が強調されるものとなった。

今回は政策金利の引き上げはないと思われるが、テーパリング終了時期、米連銀の総資産圧縮の開始時期と規模、今年と来年の利上げ想定回数及び金利水準が前回よりもペースアップするのかどうか注目されるところだが、ウクライナ情勢や感染拡大による景気回復の鈍化懸念、1月5日に史上最高値を付けたところからのNYダウの大幅下落等を踏まえて12月時点よりもややタカ派色が後退するのではないかとの見方も一部にはあるようだ。しかし、11月22日にバイデン大統領がインフレ対策を最重要課題としたことに対処するためにパウエル米連銀議長は再任指名を受け、その後の発言はそれまでのハト派的なスタンスからインフレ・ファイターへと変貌してきているので、3月の利上げ開始を強くアピールするのではないかと思われる。ちなみに1月25日にIMFは米国の利上げを2022年と2023年に3回ずつと予想し、利上げ回数とペースが加速する上ブレの可能性があると指摘している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとして戻しているが、FOMCを控えて勢いに欠ける動きとなっている。1月24日夜安値を割り込まないうちは26日の日中から27日にかけての間への上昇余地ありとし、FOMCから強気反応の場合は急伸する可能性もあるとみるが、24日夜安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして27日夕から31日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では114円到達では売られる持ち合い推移となっているので方向感に欠けるが、25日夜高値を上抜くところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、24日夜安値割れからは一段安に入るため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント割れを切り返しつつ60ポイント前後が抵抗となる揉み合いの様相のため、65ポイント超えからは70ポイント台後半を目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.46円を下値支持線、114.15円を上値抵抗線とする。
(2)113.75円以上での推移中は上向きとし、114.15円超えからは114.50円前後への上昇を想定する。FOMC後に急伸する場合は114円台後半(114.50円から115.00円)へ上値目途を引き上げるが、急騰一巡後の揺れ返しの反落にも注意する。
(3)113.75円割れからは下向きとし、113.46円割れからは113.00円、次いで112.70円台を目指す下落期入りと考える。

【当面の主な予定】

1/26(水)
14:00 (日) 11月 景気先行指数(CI)改定値 (10月 103.0)
14:00 (日) 11月 景気一致指数(CI)改定値 (10月 93.6)
22:30 (米) 12月 卸売在庫 前月比 (11月 1.2%、予想 1.3%)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (11月 74.4万件、予想 76.0万件)
24:00 (米) 12月 新築住宅販売件数 前月比 (11月 12.4%、予想 2.2%)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省2年物変動利付債入札
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
28:30 (米) パウエル米連銀議長、定例記者会見 

1/27(木)
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 3.75%、予想 4.00%)
06:45 (NZ) 10-12月期 消費者物価 前期比 (7−9月 2.2%、予想 1.2%)
06:45 (NZ) 10-12月期 消費者物価 前年同期比 (7−9月 4.9%、予想 5.6%)
09:30 (豪) 10-12月期 輸入物価指数 前期比 (7−9月 5.4%、予想 1.4%)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -6.8、予想 -8.0)

22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 2.5%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.8%、予想 0.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 28.6万件、予想 26.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 163.5万人)
22:30 (米) 10-12月期 GDP速報値 前期比年率 (7−9月 2.3%、予想 5.6%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (7−9月 12.0%、予想 2.6%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE速報値 前期比年率 (7−9月 4.6%、予想 4.8%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 -2.2%、予想 0.4%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 0.2%)
27:00 (米) 財務省7年債入札

注:ポイント要約は編集部

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