来週の為替相場見通し:『リスク回避の円買い継続。来週は米FOMCに注目』(1/22朝)

ドル円は、1/18に一時115.07まで持ち直すも、今週末にかけて再び113.61まで値を崩すなど、冴えない動きが続いております。

来週の為替相場見通し:『リスク回避の円買い継続。来週は米FOMCに注目』(1/22朝)

『リスク回避の円買い継続。来週は米FOMCに注目』(1/22朝)

〇今週のドル円、週初115.07まで上昇するも伸び悩み、株価の軟調、米指標不冴え等に113.61まで下落
〇ユーロドル、1.14台前半で方向感に欠ける動き
〇ドル円、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜け地合い悪化
〇但し、下方向に一目均衡表の「雲」控え、ダウ理論での上昇トレンドも継続、ここからの下落容易でない
〇ファンダメンタルズもFOMCでのタカ派姿勢によりドル買い強まる可能性
〇ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):112.50ー115.50、(EURUSD):1.1250−1.1450

今週のレビュー(1/17−1/21)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初114.21で寄り付いた後、@日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売りや、A中国経済指標の良好な結果(中国第4四半期GDPおよび中国12月鉱工業生産が市場予想を上回る結果)、B株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、C米国祝日(キング牧師誕生日)を控えたポジション調整(米ドルショートの巻き戻し)、D日銀金融政策決定会合を無難に終えたことに伴う安堵感(一部で予想されていたようなタカ派的な結果とならず、円ロングの巻き戻しが活発化)が支援材料となり、翌1/18にかけて、週間高値115.07まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、E株式市場の下げ幅を拡大や、F上記Eを背景としたリスク回避の円買い圧力(米10年債利回りが急騰→株式市場下落→リスク回避の円買い圧力)、G米1月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲0.7、予想25.7)の急低下、H米20年債入札の良好な結果(米金利低下→米ドル売り)、I中国人民銀行による相次ぐ利下げ(MLFやLPRの引き下げ→対人民元での円高を連想)、J米経済指標(米新規失業保険申請件数や米12月中古住宅販売件数など)の冴えない結果が重石となり、週末にかけて、週間安値113.61まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/22午前5時00分現在)では、113.66前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1414で寄り付いた後、@株式市場の堅調推移(リスク選好のドル売り圧力)や、Aテクニカル的な地合いの強さ(ユーロドルは約2ヵ月に亘り続いた1.1200ー1.1400のコアレンジを1/12に上方ブレイク)、BECBによる金融緩和スタンスの後退観測(デギンドス副総裁などECB当局者よりユーロ圏のインフレに警戒を示す発言が増加。本年3月に終了予定のパンデミック緊急資産購入プログラムの資産購入額が今年から減少していることも、緩和スタンスの転換を連想)が支援材料となり、週明け早々に、週間高値1.1436まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、C米金融政策の早期正常化観測や、D欧米株の冴えない動き(リスク回避のドル買い再燃)、Eウクライナを巡る地政学的リスク(米ホワイトハウスによるロシアによるウクライナ攻撃はいつ起きてもおかしくないとの見解発表)、F欧米金融政策の方向性の違い(ラガルドECB総裁は「ECBはFRBほど迅速に行動しない理由がある」と発言。スペイン中銀デコス総裁も「2022年にECBの利上げは予想しない」と発言)などが重石となり、週末にかけて、週間安値1.1301まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/22午前5時00分現在)では、1.1340前後で推移しております。尚、注目されたドイツ1月ZEW景況感指数(結果51.7、予想32.0、前回29.9)は市場予想を大幅に上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(1/24−1/28)

<ドル円相場>
ドル円は1/4に記録した約5年ぶり高値116.36をトップに反落に転じると、1/14にかけて、約3週間ぶり安値となる113.48まで急落しました。その後、1/18に一時115.07まで持ち直すも、今週末にかけて再び113.61まで値を崩すなど、冴えない動きが続いております。この間、一目均衡表転換線や基準線や、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も終了するなど(一目均衡表転換線と基準線がデッドクロス)するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。但し、ダウンサイドに一目均衡表の「雲」が控えている他、ダウ理論で見た上昇トレンドも継続しているため、ここからの更なる下落は容易では無いと考えられます。事実、今週末に値を崩した際も、1/14に記録した安値113.48を下回るには至りませんでした(来週は一巡後の反発リスクに要警戒)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米金融政策の早期正常化観測(一部では3月50bpの利上げ説も浮上。来週1/27に予定されている米FOMCやその後のパウエルFRB議長記者会見の内容次第では、大きくドル高が進む恐れあり)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は今週の金融政策決定会合で2022年度の消費者物価見通しを小幅な上昇修正にとどめた他、声明文では「必要なら躊躇なく追加緩和を実施する」と言明。また、記者会見で黒田総裁は「金利を引き上げることは想定していない。必要なら更に引き下げる」「為替の円安が全体として日本経済にプラスとの構図に変化ない」といったハト派的なスタンスを強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違いなど、ドル高・円安トレンドの継続を示唆する材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/27に予定されている米FOMCの結果に注目が集まります。米FOMCにて、@テーパリング終了時期の特定、A3月利上げ開始の地均し、Bバランスシート縮小時期の特定がなされ、更に、C3月50bp利上げ実施の蓋然性が示唆されるならば、米長期金利急上昇→米ドル高の経路で、ドル円には上昇圧力が加わるものと推察されます。また、1/27に予定されている米第4四半期GDP速報値が市場予想を上回る場合にも、リスク選好の円売りを通じて、ドル円には上昇圧力が加わりそうです(米金利上昇→リスクアセット下落→株式市場急落→リスク回避の円買いの経路には一服感が見られるため、来週は日米名目金利差に着目したドル買い・円売りが再開すると予想)。

来週の予想レンジ(USDJPY):112.50ー115.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は1/14に記録した約2ヵ月ぶり高値1.1484(昨年11/11以来)をトップに反落に転じると、週末にかけて一時1.1301まで下落しました(市場参加者に注目されていた90日移動平均線に続伸を阻まれ失速→上値の重さを嫌気した見切り売りを誘発)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆するパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となりつつあります(先週は長らく続いた1.1200−1.1400レンジを上抜けたことで、地合いの好転が期待されましたが、結局1.1300台に値を崩す冴えない展開)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりや、A米金融政策の早期正常化観測(1/27の米FOMCでテーパリングの終了時期、利上げ時期、バランスシート縮小時期が示唆される可能性あり)、BECBによる金融緩和の長期化観測(ラガルドECB総裁は1/20に「ECBはFRBほど迅速に行動しない理由がある」と発言→一部で燻っていたECBによるタカ派転換の思惑を否定)、C上記ABを背景とした欧米金融政策の方向性の違い、D欧州経済の先行き不透明感など、ユーロドルの下落を連想させる材料が残っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落を来週のメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は1/24に予定されているユーロ圏1月PMIや、1/25のドイツ1月IFO景況感指数、1/27の米FOMC(連邦公開市場委員会)に注目が集まります。ユーロ圏の経済指標が市場予想を下回る場合や、米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見よりタカ派的な見解が示される場合などには、ユーロドルが一段と押し下げられる恐れがあるため、来週はユーロドルの下落に注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1250−1.1450

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