ドル円見通し 世界連鎖株安でリスク回避的円高(22/1/21)

リスク回避的な円の買い戻し優勢となり114円を割り込む。

ドル円見通し 世界連鎖株安でリスク回避的円高(22/1/21)

ドル円見通し 世界連鎖株安でリスク回避的円高

〇ドル円、1/20午前114.01まで下げた後午後114.54までいったん戻すも、夜114円を割り込む
〇米新規失業保険申請件数の3週連続増加、NYダウ続落等によるリスク回避的な円の買い戻し優勢
〇NYダウ5日続落など世界連鎖株安の様相、長期債利回りも低下
〇1/25〜1/26FOMC開催、12月FOMC時点よりもタカ派へのシフト進んでいる印象、年4回の利上げ予想も
〇ドル円上昇の本格的な再開には株高・米連銀のタカ派シフト・米長期債利回り上昇継続等が必要
〇114.50以下での推移中は一段安警戒とし、113.47割れからは113.00試しとする
〇114.50超えからは反騰入りとして、115円を目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は1月20日午前安値で114.01円まで下げたところから午後に114.54円までいったん戻していたが20日夜の米新規失業保険申請件数の3週連続増加やNYダウの続落等を見てリスク回避的な円の買い戻し優勢となり114円を割り込む。21日午前序盤もさらに安値を切り下げて114円を割り込んでの推移。
1月4日夜高値116.34円から1月14日夜安値113.47円まで2.87円の下落幅となったところから18日昼高値115.05円まで1.58円の上昇となり半値戻しの114.90円を超えたが、その後の反落により今度は14日夜からの戻り幅の半値押し114.26円、3分の2押し114.00円を順次割り込む展開となっている。

【NYダウが5日続落で世界連鎖株安】

1月20日のNYダウは前日比313.26ドル安と下落した。1月13日からは5日連続の下落で35000ドルを割り込んだ。1月5日に史上最高値を付けたところからの調整期入りで今のところは12月1日への下落時に近いレベルだが、12月1日安値34006.98ドルを割り込む場合は調整安の規模が一段と拡大する可能性も懸念される。
ナスダック総合指数も186.24ポイント安となり1月18日から3日の続落で11月22日に史上最高値を付けた後の15000ポイント割れを買い戻されてきた持ち合いから転落して調整安が長引く流れに入ってきている。
感染拡大による人手とモノ不足によるインフレの深刻化と景気鈍化への懸念、中東やウクライナを巡る地政学的リスクが株安の背景だが世界連鎖株安の様相となりつつある印象だ。

米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.81%。19日に1.90%へ上昇して2020年1月以来の水準に達したところから反落していたが、20日も株売り債券買いから低下が続いた。この日実施された160億ドル規模の10年物インフレ連動債(TIPS)入札が軟調だったことも影響したようだ。30年債利回りは0.06%低下の2.12%、2年債利回りは0.03%低下の1.03%となり高水準を維持しているものの上昇一服となっている。
ドル円としては世界連鎖型の株安によるリスク回避的なクロス円における円の買い戻し、米長期債利回り上昇の一服が圧迫要因となっている。

【オミクロン株感染者急増で米失業保険申請件数は3週連続の増加】

1月20日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は1月15日までの週間で28万6000件となり前週比5万5000件増加した。3週連続の増加で市場予想の22万件を上回って昨年10月以来の水準となったが、オミクロン株の感染急増が影響している印象だ。
米フィラデルフィア連銀による1月の製造業景況指数は23.2となり12月の15.4から上昇して2か月振りの改善で市場予想の20.0を上回った。
米不動産業者協会(NAR)による12月の中古住宅販売件数(季調済、年換算)は前月比4.6%減の618万戸となり市場予想の644万戸を大幅に下回って4か月振りの減少となった。前年同月比は7.1%減だったが、2021年通年の販売件数は前年比8.5%増の612万戸で2006年以来の高水準となった。

来週は1月25-26日に米連銀のFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)がある。市場は12月のFOMCで示された3月会合でのテーパリング終了と年3回の利上げ予想を織り込んだ状況だが、年末からの米連銀高官による発言等は12月のFOMC時点よりもタカ派へのシフトが進んでいる印象で、年4回の利上げ予想も出ているところだ。
感染急増による景気回復の鈍化懸念があるものの、それよりも人手不足とサプライチェーン停滞による物不足によるインフレが深刻化して国民生活を圧迫していることがバイデン政権の支持率低下にも表れており、米連銀としてはバイデン政権によるインフレ抑制を最重要課題とする姿勢を踏まえて引き締め化に入ってきているところだ。ただし今のところのドル円は1月4日への上昇で米連銀の引き締め姿勢については織り込み済みとしていったん調整安に入った状況にあり、株安によるリスク回避感から1月14日への下落からの反騰も継続しきれずにいるところであり、ドル円の上昇が本格的に再開するには株高によるリスクオン優勢への転換、米連銀が一段とタカ派へシフトするアピールと米長期債利回りの上昇継続等が必要と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、18日昼高値で戻り一巡となり弱気サイクル入りしている。ボトム形成期は19日夜から21日夜にかけての間と想定されるので既に反騰注意期にあるが、114円割れから続落しているためまだ一段安余地が残る。強気転換には114.50円を超える反騰が欲しいところ。

60分足の一目均衡表では1月18日昼高値からの反落が続いて遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は一段安警戒とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところからの下げ再開も警戒される。反騰入りには先行スパンを上抜き返す上昇が必要だと思われる。

60分足の相対力指数は20日午後に50ポイントを超えたものの維持できずに失速している。30ポイント前後では買い戻しも入っているが安値切り下げが続いているので20ポイント前後への低下も警戒したい。強気回復には55ポイントを超える上昇が欲しいところ。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.47円を下値支持線、114.50円を上値抵抗線とする。
(2)114.50円以下での推移中は一段安警戒とし、113.47円割れからは113.00円試しとする。113.25円以下は反騰注意とみるが安値から0.70円以上の反騰に入れないうちは週明けも安値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)114.50円超えからは反騰入りとして115円を目指す上昇を想定する。114.70円以上は反落注意とするが、114.30円以上での推移なら週明けは高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/21(金)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.4%、予想 -0.6%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 4.7%、予想 3.4%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 1.1%、予想 -0.5%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (11月 2.7%、予想 1.1%)
22:00 (英) マン英中銀委員、講演
24:00 (米) 12月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (11月 1.1%、予想 0.8%)
24:00 (欧) 1月 消費者信頼感速報値 (12月 -8.3、予想 -9.0)


注:ポイント要約は編集部

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