ドル円見通し 112.50円台のダブルボトムから持ち直しを試す(21/12/8)

ドル円は12月4日未明安値で112.54円まで下げたところからの持ち直しを続け12月7日夜には113.77円へ上昇した。

ドル円見通し 112.50円台のダブルボトムから持ち直しを試す(21/12/8)

ドル円見通し 112.50円台のダブルボトムから持ち直しを試す

〇ドル円、12月4日安値112.54からの持ち直し続け、7日夜113.77まで上昇
〇NYダウ2日間連続大幅続伸、オミクロン株悲観論後退でリスク選好感回復、株買い債券売りの流れ
〇米長期債利回り上昇、2年債利回りは0.69%へ上昇して年初来高値更新
〇ドル円押し上げられやすい状況だが勢い鈍い、米株式債券市場動きに対し楽観的すぎるとの見方も
〇113.20を上回るうちは上向きとし、113.77超えからは114円試しへ向かうとみる
〇113.00を割り込む場合112.54からの戻り一巡で仕切り直しとみて、112.50円台への下落を想定

【概況】

ドル円は11月30日夜安値で112.52円を付けた後は113円を挟んだ持ち合いの様相で推移しているが、12月4日未明安値で112.54円まで下げたところからの持ち直しを続けて12月7日夜には113.77円へ上昇した。11月30日深夜反発時の高値113.69円を超えたが、11月30日夜へ一段安する前の11月29日深夜高値113.95円超えには至らずにいる。113.70円手前までの持ち合いからは上放れつつある印象だが、上昇再開には113.95円を超えて114円台に乗せる必要もありそうだ。

【NYダウ大幅続伸、リスク選好感回復】

11月26日に南ア周辺で発生した新種の変異株=オミクロン株の脅威からリスク回避感が強まったためにドル円は11月26日午前の115円台序盤から26日深夜には113.03円まで急落、11月30日へ続落した後も安値圏にとどまっていたが、12月5日に米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が「オミクロン株について現時点で重症化の度合いはそれほど高くないようだ」と述べたことをきっかけに過剰な悲観論が後退、NYダウが12月6日に前日比646.95ドル高と急反騰したことで金融市場全般がリスク選好感を回復した。NYダウは12月7日も前日比492.40ドル高と上昇して2日間で千ドルを超える上げ幅となったが、ナスダック総合指数も12月6日に前日比139.68ポイント高、7日は同461.77ポイント高の大幅続伸となっている。
英製薬大手グラクソ・スミスクラインと米Virバイオテクノロジーが共同開発した新型コロナウイルス感染症に対する抗体治療薬「ソトロビマブ」について、初期段階の研究データでオミクロン変異株の全ての変異に有効との結果が得られたと発表したことも株高を助長した。

【米長期債利回り上昇、2年債利回りは年初来最高水準】

リスク選好感が回復したことで株買い債券売りとなり、米長期債利回りは上昇している。米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.48%となった。10年債利回りは11月24日に1.69%まで上昇していたところからオミクロン騒動によるリスク回避的な債券買いとなったことで12月3日には1.33%まで低下していたが、12月6日から上昇に転じている。
オミクロン株が景気後退をもたらすほどの脅威ではないという印象が強まる一方、世界規模でのサプライチェーンの混乱による高インフレは継続するとして米連銀によるテーパリングの早期終了と利上げ時期前倒し感は継続しており、利上げ時期に敏感な2年債利回りは11月30日に0.44%までいったん下げていたところから上昇再開に入り12月7日には0.69%へ上昇して11月23日の0.68%を超えて年初来最高値を更新している。
株高によるリスク選好感に加えて米長期債利回り上昇による日米長期金利差を意識してドル円は押し上げられやすい状況に入っていると思われるが、12月7日夜の動きはまだ勢いも鈍い。米国の株式及び債券市場の動きに対してはやや楽観的すぎるのではないかとの受け止め方もあるのかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月30日夜安値と12月4日未明安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしていると思われる。サイクルトップ形成期は8日夜から10日夜にかけての間と想定されるのでもう一段高余地ありとみるが、112.50円から114円手前までのレンジでの騰落を繰り返しているので113円を割り込む下落からは下げ再開注意とする。

60分足の一目均衡表では6日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、7日夜高値の後は上げ渋りのために遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は12月7日午後から夜にかけての高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行がみられる。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、70ポイントを超える場合は勢いが増すとみて80ポイントに迫る上昇を想定するが、40ポイント割れからはいったん仕切り直しの下落に入る可能性を警戒して20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.00円を下値支持線、114.00円を上値抵抗線とする。
(2)113.20円を上回るうちは上向きとし、12月7日夜高値113.77円超えからは114円試しへ向かうとみる。114円前後は売られやすいとみるが、114円乗せから続伸に入る場合は114.30円前後へ向かう流れとみる。
(3)113.00円を割り込む場合は4日未明安値からの戻り一巡でいったん仕切り直しに入るとみて112.50円台への下落を想定する。112.70円から112.50円台のゾーンは押し目買いされやすい水準とみる。

【当面の主な予定】

12/8(水)
休場 フィリピン(聖母受胎祭)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー現状判断DI (10月 55.5、予想 57.4)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー先行判断DI (10月 57.5、予想 57.9)
17:15 (欧) ラガルドECB総裁、発言
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 10月 雇用動態調査(JOLT)
24:30 (米) エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省10年債入札
30:30 (伯) ブラジル中銀、政策金利 (現行 7.75%)

12/9(木)
06:45 (NZ) 7-9月期 製造業売上高 前期比 (4-6月 3.9%)
07:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
08:50 (日) 10-12月期 大企業全産業業況判断指数・BSI (7-9月 3.3)
08:50 (日) 10-12月期 大企業製造業業況判断指数・BSI (7-9月 7.0)
08:50 (日) 11月 マネーストックM2 前年同月比 (10月 4.2%、予想 4.1%)
09:01 (英) 11月 英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数 (10月 70、予想 70)
10:30 (中) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.5%、予想 2.5%)
10:30 (中) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 13.5%、予想 12.0%)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 162億ユーロ、予想 143億ユーロ)
16:00 (独) 10月 経常収支 (9月 196億ユーロ、予想 170億ユーロ)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 195.6万人、予想 191.0万人)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 1.1%)
27:00 (米) 財務省30年債入札


注:ポイント要約は編集部

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