ドル円見通し 113円を挟んだ持ち合い上限、上放れへ進むか試す(21/12/07)

週明けの12月6日は終日ジリ高の上昇で7日未明には113.55円まで戻し、その後も113.50円前後で確りしている。

ドル円見通し 113円を挟んだ持ち合い上限、上放れへ進むか試す(21/12/07)

ドル円見通し 113円を挟んだ持ち合い上限、上放れへ進むか試す

〇ドル円、12/6は終日ジリ高の上昇で12/7未明に113.55まで戻す、その後も113.50前後で確り
〇オミクロン株への過剰な反応が修正され、NYダウ・米長期債利回りが大幅上昇、リスク選好感戻る
〇ドル円、113円中心のレンジ内でボックス型の持ち合い、12/7日中は上放れへ進むか試すところか
〇オミクロン株の感染拡大続くも、デルタ株より弱毒性である可能性指摘される
〇113.20を上回るうちは上向きとし、113.69超えから持ち合い上放れとして114円台前半を目指すとみる
〇113.00を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありだが、112.85割れから112.50試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は12月3日夜高値113.61円から4日未明安値112.54円まで下落したものの11月30日深夜安値112.52円割れを回避して先週を終えていた。週明けの12月6日は終日ジリ高の上昇で7日未明には113.55円まで戻し、その後も113.50円前後で確りしている。
12月6日はオミクロン株報道からの悲観売りは過剰反応だったとしてNYダウが大幅上昇、株買い債券売りで米長期債利回りが大幅上昇したことでリスク選好感と日米長期金利差を意識してドル円は買い戻された。

11月26日午前にオミクロン株発生報道からドル円は急落に転じ、11月25日未明高値115.51円から11月30日深夜安値112.52円まで2.99円の円高ドル安となったが、その後は113円を中心に113.60円台から112.50円台までのレンジ内でボックス型の持ち合いとなっている。
11月30日深夜反騰時の高値113.69円を超えてくればボックス型持ち合いからの上放れに入る流れとなり、11月26日の大幅下落を解消するような上昇へ進む可能性もあるが、まだボックス型持ち合いの上限にとどまっているため、7日の日中はアジア株動向、ダウ先物等を見ながら上放れへ進めるのか試すところと思われる。

【NYダウ反騰、米長期債利回り急上昇、リスク選好感戻る】

12月6日のNYダウは前週末終値から646.95ドル高と上昇、一時は700ドルを超える大幅上昇となった。ナスダック総合指数も米長期債利回り上昇を嫌いながらもリスク選好感を優先して前週末比139.68ポイント高と上昇した。米国では16州にオミクロン株が拡散したが、今のところは無症状と軽症であることから、デルタ株以上の感染力を持ちつつも弱毒化したオミクロン株がデルタ株を駆逐してパンデミックの終局へと向かう可能性も一部では期待されている。まだオミクロン株の評価を決めるには時期尚早だが、11月26日に悲観していた強毒性を持った強力な新変異種に対するやや過剰な不安心理を反映した動きが修正されつつある印象だ。NYダウは11月8日の史上最高値から12月1日安値まで2559ドル安の大幅下落となり昨年10月30日への下落規模に迫っていたが、12月6日高値まで1350ドル高の反発となり直前の下げ幅の半値以上を解消した。

株買い債券売りにより米長期債利回りは軒並み上昇した。10年債利回りは前日比0.09%上昇の1.44%。30年債利回りも0.09%上昇の1.77%、2年債利回りも0.05%上昇の0.64%となった。10年債利回りはオミクロン株への不安を背景に安全資産買いされて11月24日の1.69%から12月3日には1.33%まで低下していたところからの切り返しとなった。利上げ時期に敏感な2年債利回りは米連銀のテーパリング早期終了と利上げ時期前倒し感から11月30日までいったん下げたところから持ち直して年初来高値圏にある。オミクロン株により景気回復の腰折れまで進まず、その一方で世界規模のサプライチェーン混乱はまだ続くとすれば高インフレ状態も継続し、米連銀がインフレつぶしへ動く姿勢も強まると思われる。
ドル円としては株高によるリスク選好感と米長期債利回り上昇の両面から押し上げられやすい状況にあるが、アジアの感染拡大も見られること、欧米ではオミクロン株登場前段階から感染再拡大が始まっていたことも踏まえると、NYダウ程には楽観的に上昇しきれていないという印象だ。

【オミクロン株、世界48か国へ拡大】

オミクロン株の感染力はやはり高い。12月7日早朝時点では世界48か国・地域に拡大しており、アジアにおいても日本での3例目をはじめ香港、韓国、インド、シンガポール、マレーシア、スリランカ、タイ、モルディブ、ネパールで感染が確認されている。欧州ではロシアを含めて20か国に拡大、北米・中南米でも米国、カナダに続いてメキシコ、ブラジル、チリ、アルゼンチンへ拡大した。
米国では全米50州のうち16州で感染確認されているが、今のところは無症状と軽症であり、デルタ株よりも弱毒性である可能性が指摘されている。ファウチ国立アレルギー感染症研究所長はCNNテレビに対して「これまでのところ重症度が高いようには見えない」と述べたことがNYダウの反騰につながったようだ。

疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長はABCニュースで「米国では依然として新規感染者の99.9%がデルタ株」と述べているが、米国での直近7日間の平均では1日当たりの新規感染者が11万9000人、死者が凡そ1300人近い水準となっており、オミクロン騒動以前の問題として感染拡大による先行き不透明感は継続している事を踏まえると、オミクロン株が弱毒性であったとしてもデルタ株の感染拡大が継続するなら欧州の感染再拡大問題と共に景気の腰折れを招きかねないリスクを抱えた状況ともいえる。市場心理もまだ一喜一憂しやすい状況と注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月30日夜安値以降をボックス型持ち合いの様相で推移しており、11月30日深夜安値と12月4日未明安値が持ち合いの下限にある安値となっている。このため現状は12月4日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしており、持ち合い上放れを試す流れと思われる。高値形成期は12月6日から8日にかけての間と想定するが、ボックス型持ち合いを上放れしきれずに113円を割り込む場合は下げ再開注意として12月4日未明安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして8日深夜から13日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきたため、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は12月4日未明安値時に30ポイントを割り込んだところから60ポイント台まで戻した。このため50ポイント以上での推移中は上向きとして70ポイント台を目指すとみるが、50ポイント割れから続落の場合は下げ再開とみて再び30ポイント割れを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、112.85円を下値支持線、11月30日深夜高値113.69円を上値抵抗線とする。
(2)113.20円を上回るうちは上向きとし、113.69円超えからは持ち合い上放れとして114円台前半(114.00円から114.50円)を目指すとみる。株高を伴ってリスク選好的な動きが進む場合はこのケースとし、113.50円以上での推移が続くなら12月8日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)113.00円を一時的に割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとするが、112.85円割れからは下げ再開を疑い112.50円試しへ向かうとみる。112.50円割れ回避ならボックス型持ち合いの維持によりその後の揺れ返し上昇を期待するが、112.50円を割り込む場合は持ち合い下放れに入るため112.00円、111円台中盤を順次試す流れとみる。

【当面の主な予定】

12/7(火)
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル (10月 845.4億ドル、予想 821.3億ドル)
未 定 (中) 11月 貿易収支・人民元 (10月 5459.5億元、予想 5750.0億元)
12:30 (豪) 豪中銀、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
14:00 (日) 10月 景気先行指数CI・速報値 (9月 100.9、予想 102.8)
14:00 (日) 10月 景気一致指数CI・速報値 (9月 88.7、予想 89.9)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.1%、予想 0.9%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -1.0%、予想 -2.9%)

19:00 (独) 12月 ZEW景況指数 (11月 31.7、予想 25.0)
19:00 (欧) 12月 ZEW景況指数 (11月 25.9)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (改定値 2.2%、予想 2.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 3.7%、予想 3.7%)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -809億ドル、予想 -670億ドル)
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 -5.0%、予想 -4.9%)
27:00 (米) 財務省3年債入札
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 299.1億ドル、予想 255.0億ドル)

12/8(水)

休場 フィリピン(聖母受胎祭)
08:50 (日) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 -0.8%、予想 -0.8%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP改定値 年率換算 (速報 -3.0%、予想 -3.1%)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調前 (9月 1兆337億円、予想 1兆2749億円)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調済 (9月 7627億円、予想 9778億円)
08:50 (日) 10月 貿易収支・国際収支ベース (9月 -2299億円、予想 1354億円)

14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー現状判断DI (10月 55.5、予想 57.4)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー先行判断DI (10月 57.5、予想 57.9)
17:15 (欧) ラガルドECB総裁、発言
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 10月 雇用動態調査(JOLT)
24:30 (米) エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省10年債入札
30:30 (伯) ブラジル中銀、政策金利 (現行 7.75%)



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