ドル円見通し 11月30日深夜以降は安値更新回避、下げ一服だが決め手に欠く(21/12/3)

ドル円は12月2日朝に112.64円まで下げたものの11月30日夜安値112.52円割れを回避、2日夕刻の戻りは113.33円に留まった。

ドル円見通し 11月30日深夜以降は安値更新回避、下げ一服だが決め手に欠く(21/12/3)

ドル円見通し 11月30日深夜以降は安値更新回避、下げ一服だが決め手に欠く

〇ドル円、12/2朝112.64まで下げるも11/30夜安値割れを回避、夕刻の戻りは113.33に留まる
〇その後欧州時間に112.69まで若干底上げして反落、12/3朝時点では113円台序盤に位置
〇113円挟んで持ち合いの様相、楽観情報が出てこないうちは崩されやすい脆さを抱えているか
〇NYダウは大幅上昇、米長期債利回りは上昇しドル円を下支える
〇オミクロン株、米国をはじめ各国で感染確認される、しばらくは一喜一憂が続くか
〇113.40を下回るうちは一段安警戒とし、112.52割れからは112.00前後への下落を想定する
〇113.69超えからは反騰入りとみて、114円台序盤(114.00から114.25)への上昇を想定する

【概況】

ドル円は12月2日朝に112.64円まで下げたものの11月30日夜安値112.52円割れを回避、2日夕刻の戻りは113.33円に留まった。その後の欧州時間に112.69円まで下げたものの若干の底上げをして12月3日朝時点では113円台序盤に位置している。
12月2日夜はNYダウが一時700ドルを超える反騰となり前日までの大幅下落に対する揺れ返しとなり、株買い債券売りで米長期債利回りが上昇したことがドル円には下支えとなったが、オミクロン株の感染拡大報道は続いており積極的な上昇へと進むには至らずにいる。

【113円挟んで持ち合いの様相】

11月30日安値の後は新たな安値更新を回避しているが、戻り高値は11月29日夜の113.95円から30日深夜113.69円へと切り下がっており、安値ラインはやや切り上がり気味のために60分足では113.00円を挟んでの持ち合いの様相となっている。
113.50円前後まで上昇しても失速するようなら持ち合い継続から持ち合い下放れへ進みやすく、11月30日深夜高値113.69円を超えてくれば持ち合い上放れでいったん高値試しへ向かいやすくなる可能性がある。しかし114円台を回復するような上昇へ進み、裏付けとなるようなオミクロン株への過度の懸念が後退するような楽観情報が出てこないうちは新たな感染拡大や悲観材料で11月26日や、30日夜への一段安のように崩されやすい脆さを抱えていると思われる。

【NYダウ反騰、米長期債利回り上昇】

NYダウは12月2日前日比617.75ドル高と大幅上昇した。一時は700ドルを超える上昇幅で昨年11月上旬以来の上昇ぶりとなった。ナスダック総合指数も同127.27ポイント高と上昇した。オミクロン株が強毒性で先行きリセッション入りとなる可能性を警戒して前日までの2日間でNYダウは千ドル以上の大幅下落となり、11月8日の史上最高値から12月1日安値までの下げ幅は2559ドル安にまで拡大していたが悲観し過ぎとの見方から買い戻された印象だ。
株高債券安で米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.45%。30年債利回りが0.03%上昇の1.77%、2年債利回りは0.06%上昇の0.62%となった。長期債利回り上昇がドル円を下支えた印象だ。

米労働省による新規失業保険申請件数は11月27日までの週間で前週比2万8000件増の22万2000件となったが市場予想の24万件を下回った。前週が19.4万件まで減少してパンデミック発生以降の最低となったことでやや揺れ返しとなった。失業保険受給者総数は11月20日までの週間で195万6000人となり前週比10万7000人減少して市場予想の200万人を下回った。

【感染拡大続く】

米国では12月2日にミネソタ州で海外渡航歴のないオミクロン株感染者が確認され、コロラド州ではアフリカ南部からの帰国者での感染が確認された。米国ではこれで3名のオミクロン株感染者となった。渡航歴のない感染者の発生は市中感染を示しており、今後はさらに拡大してゆく可能性がある。世界での広がりも進んでおり、2日はインドとシンガポールでもそれぞれ2名の感染者が確認されている。
11月30日にモデルナ社CEOがワクチンの有効性が低い可能性を指摘したが、12月2日には米ファイザー社CEOがオミクロンについては深刻に受け止めるべきと述べている。対応するワクチン開発に既に着手しており、3月下旬には当局の承認の上で供給開始できるとの見通しを示している。
従来型のワクチンが効かないのかどうか、重症化率等はまだ判断するには時期尚早であり、悲観売りされたところは今が買い場という楽観論や逆張りの好機という見方も出ているが、それもまた科学的根拠のないものと思われる。しばらくは一喜一憂が続くと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月30日夜安値以降に新たな安値更新を回避しているので、30日深夜安値を直近のサイクルボトム、30日深夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。ボトム形成期は3日夜から7日深夜にかけての間と想定するが、30日深夜高値113.69円を超えるところからは強気サイクル入りとして3日夜から7日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月30日夜以降は持ち合い推移のため方向感に欠ける。30日夜安値割れからは持ち合い下放れに入るため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、30日深夜高値超えからは上放れとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合い推移のため50ポイントを挟んで40ポイント前後から60ポイント手前までの範囲で推移している。60ポイント超えからは上昇が勢い付く可能性があるとみるが、40ポイント割れから続落に入る場合は20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月30日夜安値112.52円を下値支持線、30日深夜高値113.69円を上値抵抗線とする。
(2)113.40円を下回るうちは一段安警戒とし、112.52円割れからは112.00円前後への下落を想定する。112円以下は反発注意とするが下げ足が速まる場合は111円台中盤(111.70円から111.30円)へ下値目途を引き下げる。113円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)113.40円から113.60円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。113.69円超えからは反騰入りとみて114円台序盤(114.00円から114.25円)への上昇を想定し、113.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/3(金)
10:45 (中) 11月 財新サービス業PMI (10月 53.8、予想 53.0)
17:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
17:55 (独) 11月 サービス業PMI・改定値 (速報 53.4、予想 53.4)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI・改定値 (速報 56.6、予想 56.6)
18:30 (英) 11月 サービス業PMI・改定値 (速報 58.6、予想 58.6)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.3%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 2.5%、予想 1.3%)

22:30 (米) 11月 非農業部門就業者数 前月比 (10月 53.1万人、予想 55.0万人)
22:30 (米) 11月 失業率 (10月 4.6%、予想 4.5%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前月比 (10月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 平均時給 前年同月比 (10月 4.9%、予想 5.0%)
23:15 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
23:45 (米) 11月 サービス業PMI・改定値 (速報 57.0)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 66.7、予想 65.0)
24:00 (米) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 0.2%、予想 0.5%)
 

注:ポイント要約は編集部

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