ドル円、上値の重い展開が継続中。但し、悪材料出尽くし後の反発に要警戒(12/2朝)

1日(水)のドル円相場は上値の重い展開。

ドル円、上値の重い展開が継続中。但し、悪材料出尽くし後の反発に要警戒(12/2朝)

ドル円、上値の重い展開が継続中。但し、悪材料出尽くし後の反発に要警戒

〇ドル円、欧州時間朝方113.63まで上昇するも、米国時間午後にかけて安値112.68まで反落
〇米国初のオミクロン株感染確認、主要株価指数の軟調推移、米長期金利の更なる低下等が重石
〇ユーロドルは1.13台前半中心の方向感に欠ける展開
〇ドル円前日安値112.54を死守できたことから一定の底堅さ確認
〇同水準の下方ブレイクに失敗し、113円台に早期に戻せるならば、急反発に転じる恐れも
〇ファンダメンタルズも、米当局者のタカ派発言相次ぎ、インフレ抑制に軸足置く証左とも
〇本日の予想レンジ:112.40ー113.40

海外時間のレビュー

1日(水)のドル円相場は上値の重い展開。@パウエルFRB議長による前日のタカ派発言(インフレが一過性という文言の使用をやめる適切な時期の可能性がある。次回FOMCでは量的緩和の縮小ペース加速を巡る討議が行われる公算が大きい)や、A安達日銀審議委員による円安容認発言(このところの為替相場は悪い円安ではなく、日本にプラス効果をもたらしている)、B日経平均株価の底堅い動き(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて高値113.63まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、C厚生労働省による「オミクロン株の2例目の感染が確認された」との報道(同感染者は今年9月および10月にファイザー製コロナワクチンを2度接種)や、DOECD(経済協力開発機構)による2021年成長率見通しの下方修正、

E米国疾病予防管理センターによる「米国で初の新型コロナウイルス・オミクロン株の感染が確認された」との報道、F米主要株価指数の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)、G米長期金利の更なる低下(米金利低下に伴うドル売り圧力)が重石となり、米国時間午後にかけて安値112.68まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/2午前5時20分現在)では、112.80前後で推移しております。尚、この日発表された米11月ADP雇用統計(結果53.4万人、予想52.5万人)、米11月ISM製造業景況指数(結果61.1、予想61.0)はいずれも市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限られたものに留まりました。

1日(水)のユーロドル相場は方向感に欠ける展開。米国時間朝方にかけて一時1.1358まで上値を伸ばすも、前日高値1.1384をバックに伸び悩むと、@新型コロナウイルス・オミクロン株に対する警戒感の高まり(欧州圏で渡航歴のない感染例を複数発見→市中感染への警戒感)、Aドイツにおける新型コロナウイルスの死者数増加(本年2/18以降で最多)、Bユーロ圏11月製造業PMIの冴えない数字(結果58.4、予想58.6)、CECBによるハト派的なスタンス(市場ではオミクロン株の影響でECBがパンデミック緊急購入プログラムを巡る決定を先送りするとの見方が増加)が重石となり、米国時間午後にかけて、一時1.1311まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/2午前5時20分現在)では、1.1315前後で推移しております。

本日の見通し

昨日は一時113.63まで上値を伸ばすも、結局113円台を維持できず112.68まで反落しました。南アフリカで検出されたオミクロン株を巡る警戒感がドル円相場の重石となっております。但し、前日安値112.54を死守できたことなどから一定の底堅さも確認できます。同水準の下方ブレイクに失敗し、113円台に早期に戻せるならば、一転してドル円が急反発に転じる恐れもありそうです(ショートカバーが警戒される中、安値圏での突っ込み売りは極力回避)。事実、ファンダメンタルズ的に見ると、米当局者によるタカ派的な発言が相次いでいます(パウエルFRB議長に加えて、昨日はニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁も「FRBはテーパリングの加速に取り組むだろう」と発言しました)。

米FRBがオミクロン株の影響よりも、インフレ抑制に軸足を置いていることの表れと見做すことができるため、株式市場が下げ止まり次第、日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売りが再開すると予想されます。本日もアトランタ連銀ボスティック総裁や、クオールズFRB理事、サンフランシスコ連銀デーリー総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁など、米当局者発言が相次ぐことから、タカ派的な米当局者発言→米金利再上昇→米ドル反発→ドル円反発の波及経路に注意が必要でしょう(株式市場は既にオミクロン株に関する不確実性を織り込みつつある為、悪材料出尽くしで反発に転じれば、リスク回避ムード後退に伴う円売りと、米利上げ前倒し観測を背景としたドル高の組み合わせでドル円がショートカバー主導で反発に転じる可能性あり)。

本日の予想レンジ:112.40ー113.40

注:ポイント要約は編集部

ドル円、上値の重い展開が継続中。但し、悪材料出尽くし後の反発に要警戒

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