ドル円見通し ドル高基調続くが欧州感染再拡大によるリスク回避感も(21/11/26)

ドル円は11月25日早朝に115.51円へ上昇して年初来高値を更新した後はややジリ安の推移となった。

ドル円見通し ドル高基調続くが欧州感染再拡大によるリスク回避感も(21/11/26)

ドル円見通し ドル高基調続くが欧州感染再拡大によるリスク回避感も

〇ドル円、11/25早朝115.51へ上昇し年初来高値更新、その後ややジリ安推移、11/26朝115円割り込む
〇欧州感染再拡大による規制強化の動き、リスク回避感強めクロス円を圧迫
〇ユーロ・ポンド・豪ドル・NZドルが対ドルで値を下げる、総じてドル全面高の様相
〇114.81割れ回避のうちは115円台回復から上昇再開、115.51超えから116円台乗せを目指す流れとみる
〇114.81を割り込む場合はいったん調整安に入るとみて、114.50割れを試すとみる

【概況】

11月25日は米国市場が感謝祭休場となったため主要指標の発表はなく手掛かり難だったが、ドル円は11月25日早朝に115.51円へ上昇して年初来高値を更新した後はややジリ安の推移となった。
11月22日にバイデン大統領がパウエル米連銀議長の再任を決定したことをきっかけにドル高となりドル円は114円台序盤からの急騰で23日には115円台へ到達して11月17日高値114.97円を突破、23日夜の小反落も買われ、米経済指標の発表が集中した24日夜もドル高の加速で高値を切り上げてきた。
11月26日早朝は115.30円近辺での推移だったが、8時過ぎからの下落で115円を割り込んでいる。ドル高基調の継続に加えて欧州の感染再拡大による規制強化の動きがリスク回避感を強めてクロス円を圧迫、ドル円にもクロス円からの円高が影響していることで上昇一服感が出ている印象だ。

【欧州の感染再拡大】

ドイツでは11月17日に新規感染者が6万人を超えたが11月24日には7万3966人となり過去最多を更新している。第二波や第三波のピーク時は3万人台であり既に倍以上の規模となっている。ワクチン普及により死者の増加ペースは第二波等と比較すれば少ないものの1日に100人を切っていた水準から300人超えへ急増している。
フランスも11月24日には3万2591人となったが、10月には1万人以下の水準だったところから急増している。昨年11月の第二波のピーク時には8万人を超えていたところと比較すればまだ水準は低いとはいえ拡大ペースが速まっている。英国も4万人前後での感染者数が続いている。
オーストリアに続いてスロバキアもロックダウンに入り、チェコでは非常事態宣言が出されて大統領も感染した。オランダやポルトガル等での規制強化の動きも見られる。

11月25日にはECB理事会議事要旨の公開があり、パンデミック対策としての緊急資産購入プログラムについては来年3月で終了することを既定路線としたが、12月会合ではその後の支援策等も含めて議論されるとし、感染拡大による景気鈍化懸念と物価上昇をにらみながらも引き締めへはなかなか踏み切れない印象だった。

【ドル高基調続く】

ユーロドルは11月24日夜に1.1186ドルまで下げて年初来安値を更新した後は下げ渋っているものの、1.120ドルを挟んだ揉み合い程度にとどまっており年初来安値更新への余裕は乏しい。
ポンドドルは25日夜に6月1日以降の最安値を更新したが日足は5日連続の陰線で下落している。
豪ドル米ドルは25日夕刻に10月28日高値以降の安値を更新し26日朝もさらに続落しており連日の安値更新となっている。NZドル米ドルも26日未明へ安値を更新しており8月20日安値割れへの余裕が乏しくなっている。
トルコリラの大暴落は一服しているが、南アランドは対ドルで6月7日以降の最安値を連日更新し、新型の変異株が発生しているとの報道も売り材料となっているようだ。メキシコペソも25日夜に6月9日以降の最安値を更新して26日朝もさらに続落している。
総じてドル全面高の様相であり、ドル円の急伸中はクロス円も下支えがみられたが、クロス円の下落が目立ち始めると円高感がドル円にも波及しかねないところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月19日夜安値で前回のサイクルボトムを付けて上昇してきたが、24日午前高値から夕刻へいったん下げてから一段高したために25日午前時点では24日午前高値を直近のサイクルトップ、19日夜から3日目となる24日夕安値を同サイクルトップとして新たな強気サイクル入りしたと仮定した。またトップ形成期は24日午前高値を基準として29日午前から12月1日午前にかけての間とし、弱気転換は24日夕安値割れからとした。
11月25日早朝高値から失速しているので25日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、当初の安値形成期を26日夜にかけての間とするが、週をまたいで下落する場合は24日夕安値を基準として29日夕から12月1日夕にかけての間への下落を想定する。ただし115円台回復からは上昇再開の可能性を湯煎して25日早朝高値試しとし、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして30日早朝から12月2日早朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月26日朝の下落で遅行スパンが悪化し先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開に入ったとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は23日から25日早朝への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて失速しており、26日朝の下落で30ポイントを割り込んでいる。50ポイント以下での推移中はまだ一段安余地ありとするが、50ポイント台回復からは上昇再開と一段高を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月24日夕安値114.81円を下値支持線、25日早朝高値115.51円を上値抵抗線とする。
(2)11月24日安値割れ回避のうちは115円台回復から上昇再開とし、115.51円超えからは115.70円台、勢い付く場合は116円台乗せを目指す流れで進むとみる。115.75円以上は反落注意とするが、115円台前半で確りするなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)24日夕安値を割り込む場合はいったん調整安に入るとみて114.50円割れを試すとみる。114.50円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は114円台序盤(114.30円から114.00円)を試すとみる。また24日夕安値を割り込んだ後も115円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

11/26(金)
感謝祭翌日で米市場は短縮取引(債券、株式、商品)、為替は通常取引
09:30 (豪) 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.3%、予想 2.5%)
16:00 (独) 10月 輸入物価指数 前月比 (9月 1.3%、予想 2.1%)
16:00 (独) 10月 輸入物価指数 前年同月比 (9月 17.7%、予想 19.6%)
17:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
17:30 (欧) シュナーベルECB理事、講演
22:00 (英) ピル英中銀理事、講演


注:ポイント要約は編集部

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