ドル円見通し パウエル米連銀議長再任報道から年初来高値更新(21/11/24)

23日は夕刻115.15円まで高値を伸ばして1月6日安値102.57円以降の高値更新、いったん114.48円まで反落したところも買い戻されて24日早朝には115.18円まで高値を切り上げた。

ドル円見通し パウエル米連銀議長再任報道から年初来高値更新(21/11/24)

ドル円見通し パウエル米連銀議長再任報道から年初来高値更新

〇ドル円、11/23夕刻115.15つけ年初来高値更新、24日早朝115.18まで高値切り上げる
〇パウエル米連銀議長再任報道、米長期債利回り上昇受けドル全面高
〇インフレ抑制に向け、米連銀の金融政策正常化速まる可能性も
〇114.70以上での推移中は上向きとし、115.25超えからは115.50円台を目指すとみる
〇114.70割れからは23日夕安値114.48試しとし、安値更新からは114円台序盤を試すとみる

【概況】

ドル円は11月17日午前高値114.97円へ上昇したものの115円に届かずに足踏みとなったことで高値警戒感から利益確定売りが急がれ、米長期債利回りが低下したことも重なって11月18日午前安値で113.86円へ急落、19日夜には欧州の感染再拡大への懸念からリスク回避感が強まってドル高以上に円高となったことで19日夜には113.57円まで安値を切り下げていた。
週明けの22日は急落一服からの買い戻しに加えて米長期債利回りが再び上昇したことで114円台序盤へ戻していたところ、23時にバイデン大統領が米連銀議長にパウエル現議長を再任すると報じられたことからドル全面高となり、ユーロドルが年初来安値を更新する一方でドル円は23日未明には114.95円へ反騰した。
11月23日は夕刻に115.15円まで高値を伸ばして1月6日安値102.57円以降の高値を更新、いったん114.48円まで反落したところも買い戻されて24日早朝には115.18円まで高値を切り上げた。

【パウエル議長再任、ブレイナード理事は副議長に】

バイデン米大統領は11月22日夜に来年2月で4年の任期が切れるジェローム・パウエル米連銀議長(68歳)を再任すると発表した。議長候補として名の上がっていたラエル・ブレイナード理事(59歳)は副議長に昇格させるとした。パウエル米連銀議長は(パパ)ブッシュ政権下で財務次官、投資ファンドのカーライル共同経営者を経てトランプ政権下で米連銀議長に指名された。バイデン政権へ移行してからも議長を継続、パンデミック対策としての実質ゼロ金利化と大規模な量的緩和により景気と雇用の回復に寄与したが、一方ではインフレ対策に苦慮し始めているところだ。

ブレイナード理事は民主党のオバマ政権時代の2010年から2013年まで財務次官、2014年6月から米連銀の理事で夫は米国家安全保障会議(MSC)インド太平洋調整官のキャンベル氏。
22日の再任会見でパウエル議長は、「高インフレが家計に大きな打撃を与えていることは承知している。コスト上昇への対応能力が相対的に低い人々には厳しい状況」とし「我々は経済と力強い労働市場を支援するとともにインフレ高進が定着しないようツールを活用していく」と述べた。ブレイナード理事も職務の中心は「仕事と給与の行方を誰もが意識する今の状況においてインフレ率を押し下げるということだ」と述べた。
米アトランタ連銀のボスティック総裁は11月22日の通信社インタビューに対して「量的緩和縮小を速めれば2022年に利上げするオプションを明らかに増やす」とし、米連銀によるテーパリングの終了が2022年1-3月期となるのではないかとの見方についても「最近のデータを踏まえれば望ましいタイミングだ」と述べた。バイデン大統領によるインフレ対策を最重要課題とするとの発言をきっかけにインフレ抑制へ向けて米連銀も金融政策正常化を急ぐ可能性がある。

【米長期債利回り上昇、ドル全面高】

市場はパウエル氏再任確率を7割程度と予想していたため、人事にサプライズは無かったものの、現在の米連銀によるテーパリングを来年に終了して利上げを検討してゆくという金融政策正常化のプロセスは継続ないしは速まるとみて米長期債利回りが上昇、ドル高反応となった。
米10年債利回りは22日に先週末比0.08%上昇の1.63%、23日は同0.04%上昇で1.67%げ、30年債利回りも22日に同0.04%上昇の1.96%、23日は0.07%上昇の2.03%とした。2年債利回りは22日に同0.07%上昇の0.59%を付けて10月28日の0.56%を超えて年初来最高水準としていたが23日はさらに0.03%上昇して0.62%となった。
NYダウは金融政策の安定的継続と緩やかな引き締め姿勢を好感して22日に一時300ドル以上の上昇となったが前週末比17.27ドル高まで上げ幅を削り、23日は同194.55ドル高と戻した。ナスダック総合指数は米長期債利回り上昇を嫌って22日に同202.68ポイント安、23日に同79.62ポイント安と続落している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月17日午前高値114.97円で前回のサイクルトップを付けて下落したが、15日午前安値から4日半となる19日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りした。高値形成期は22日午前から24日午前にかけての間と想定されるので既に反落警戒期にあるが、トップ形成期の延長入りの可能性もあるところとして23日夕安値(114.48)を割り込まないうちは上昇余地ありとし、23日夕安値割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月22日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきたがその後も両スパン揃っての好転を維持している。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみるが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、先行スパン転落からはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は18日午前から19日夜への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行が発生して戻したが、23日早朝からの高値切り上がりに際しては指数のピークが切り下がり弱気逆行の気配となっている。50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとし、70ポイント超えからは80ポイントを目指す可能性があるとみるが、50ポイント割れからはいったん下落期に入るとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月23日夕安値114.48円を下値支持線、115.25円を上値抵抗線とする。
(2)114.70円以上での推移中は上向きとし、115.25円超えからは115.50円台、勢い付く場合は115.70円台を目指すとみる。115.50円以上は反落注意とするが、114.70円以上での推移なら25日も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)114.70円割れからは弱気転換注意として23日夕安値試しとし、安値更新からは114円台序盤(114.25円から114.00円)を試すとみる。114円台序盤は押し目買いされやすい水準とみるが、114.50円を割り込んでの推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/24(水)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.50%、予想 0.75%)
18:00 (独) 11月 IFO企業景況感指数 (10月 97.7、予想 96.6)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.8万件、予想 26.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 208.0万人、予想 203.3万人)
22:30 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 1.4%、予想 1.0%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 2.0%、予想 2.2%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 1.6%、予想 1.6%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 4.5%、予想 4.5%)

22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 -0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.4%、予想 0.5%)
24:00 (米) 10月 個人所得 前月比 (9月 -1.0%、予想 0.2%)
24:00 (米) 10月 個人消費支出(PCE) 前月比 (9月 0.6%、予想 1.0%)
24:00 (米) 10月 PCEデフレーター 前年同月比 (9月 4.4%、予想 5.1%)
24:00 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前月比 (9月 0.2%、予想 0.4%)
24:00 (米) 10月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (9月 3.6%、予想 4.1%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 66.8、予想 66.9)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (9月 80.0万件、予想 80.0万件)
24:00 (米) 10月 新築住宅販売件数 前月比 (9月 14.0%、予想 0.0%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

11/25(木)
休場 米国 感謝祭、ニューヨーク市場は外為、債券、株式、商品が休場
06:45 (NZ) 10月 貿易収支 (9月 -21.71億NZドル)
08:50 (日) 10月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (9月 0.9%、予想 0.9%)
09:30 (豪) 7-9月期 民間設備投資 前期比 (4-6月 4.4%、予想 -2.4%)
14:00 (日) 9月 景気先行指数CI・改定値 (速報 99.7)
14:00 (日) 9月 景気一致指数CI・改定値 (速報 87.5)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 1.8%、予想 1.8%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値。季調済 前年同期比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 2.5%、予想 2.5%)
16:00 (独) 12月 GFK消費者信頼感 (11月 0.9、予想 -1.0)
17:00 (欧) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、講演
17:10 (欧) エルダーソンECB理事、講演
21:30 (欧) 欧州中銀、議事要旨公表(10月28日分)
22:30 (欧) ラガルドECB総裁、EU司法関連会議参加
26:00 (英) ベイリー英中銀総裁、イベント参加



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る