ドル円 もみあいに逆戻り、ただしドルは底堅い流れ(週報11月第3週)

先週のドル円は、週前半はFRB関係者によるハト派発言や上値が重い日経平均株価にも押され、火曜の東京後場には112.73レベルの週間安値をつけました。

ドル円 もみあいに逆戻り、ただしドルは底堅い流れ(週報11月第3週)

もみあいに逆戻り、ただしドルは底堅い流れ

〇先週のドル円、週間高値114.30レベルつけるも反転下落、もみあいに戻る
〇予想超える米CPI年率6.2%受け米金利大幅上昇、それに伴いドル円上伸
〇今週はFRB関係者や地区連銀総裁講演、欧州主要国CPI発表予定
〇世界的インフレ懸念、利上げ時期見直しの思惑により、ドル高方向にバイアスかかりやすい週
〇今週は113.35レベルをサポートに114.25レベルをレジスタンスとする流れとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、週前半はFRB関係者によるハト派発言や上値が重い日経平均株価にも押され、火曜の東京後場には112.73レベルの週間安値をつけました。水曜の東京市場まではまだ114円台で折り返し、ひょっとしたら今年の高値を見てしまったのではないかという雰囲気も出ていましたが、同日NY市場のCPIで一気に元のドル高地合いへと戻しました。

年率で6.2%のインフレ率と、6%を超える数字は31年ぶりです。高止まりするエネルギー価格が各国での価格上昇の要因となっていますが、エネルギー価格もそう簡単に反転するとも思えず、仮に多少の調整が見られたとしても既に5%を超えて6カ月が経過しました。パウエルFRB議長がいう一時的との期間がはっきりしないものの、許容範囲を超えてきているというのが市場参加者の考えであり、改めて米国の利上げ前倒し思惑が週末に向けてのドル高相場につながったと言えます。

しかし、金曜には週間高値の114.30レベルをつけたもののその後は反転下落し、週末の終値は113円台後半と113円台前半は買い、114円台前半は売りというもみあいに戻ってしまったのではないかという引け具合いとなりました。

今週は材料的にはFRB関係者や地区連銀総裁の講演も多く、12月のFOMCで金利見通しが変化する可能性を探ることとなりそうですが、欧州主要国のCPI発表もありますので、それらの数字も世界的なインフレ懸念と利上げ時期見直しといった思惑につながれば、どちらかというとドル高方向にバイアスがかかりやすい週となりそうです。

FF先物のチャートも見ておきましょう。

もみあいに逆戻り、ただしドルは底堅い流れ

下から2022年9月時点、2022年12月時点、2023年12月時点です。CPIを受けて軒並み利上げ思惑が復活していることがよくわかります。

他にも米中首脳会談(オンライン)や経済指標など連日材料には困らなそうですが、逆に方向感が決まるほどの材料とも言えず、難しい一週間となります。

テクニカルには、いつもの日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週の安値は10月安値と10月高値に対する半値押し112.75で止められました。いっぽうでレジスタンスラインは微妙に超えたので金曜高値で新たに引き直してあります。ただ、このレジスタンスも強力なレジスタンスという感じはありません。現状は先週のレンジの中でサポートが先週安値から高値への上げに対して61.8%押しの113.32になったというところでしょう。

今週は113.35レベルをサポートに114.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月15日(月)
08:50 本邦7〜9月期GDP速報値 ☆
10:00 黒田日銀総裁講演
11:00 中国10月鉱工業生産、小売売上高
19:00 ラガルドECB総裁議会証言 ☆
19:00 ユーロ圏9月貿易収支
22:30 米国11月NY連銀製造業景況指数
23:30 英中銀総裁議会証言 ☆
24:45 デギンドスECB副総裁講演
**:** 米中首脳会談 ☆

11月16日(火)
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表 ☆
11:30 豪中銀総裁講演 ☆
16:00 英国10月失業率
16:45 フランス10月CPI
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP改定値 ☆
22:30 米国10月小売売上高
23:15 米国10月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国9月企業在庫
24:00 米国11月NAHB住宅市場指数
26:00 リッチモンド連銀総裁、アトランタ連銀総裁、(カンザスシティ連銀総裁)講演
29:30 サンフランシスコ連銀総裁講演

11月17日(水)
06:45 NZ7〜9月期PPI
08:50 本邦10月貿易収支(通関)
16:00 英国10月CPI ☆
17:00 南ア10月CPI
19:00 ユーロ圏10月CPI ☆
19:00 ユーロ圏9月建設支出
20:00 南ア9月小売売上高
22:30 米国10月住宅着工・建築許可件数
24:30 週間原油在庫統計
25:20 ウォーラーFRB理事講演、(クリーブランド連銀総裁講演)
30:05 シカゴ連銀総裁講演
30:10 アトランタ連銀総裁講演

11月18日(木)
20:00 トルコ中銀政策金利発表 ☆
**:** 南ア中銀政策金利発表 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
24:00 米国10月景気先行指数
28:00 シカゴ連銀総裁講演
29:30 サンフランシスコ連銀総裁講演

11月19日(金)
08:30 本邦10月CPI ☆
09:01 英国11月消費者信頼感
16:00 ドイツ10月PPI
18:00 ユーロ圏9月経常収支

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月8日(月)
週明けのドル円は朝方の日経先物上昇とともに円売りが先行して始まりましたが、その後一転して下げに転じるとドル円もじり安の展開となりました。NY市場前場にクラリダFRB議長がパウエル議長同様のハト派な発言をしたことからドル円は一段安となり113.08レベルの安値をつけました。引けにかけては若干戻したものの上値が重たい地合いのままで引けました。

11月9日(火)
ドル円は高寄りした日経平均が急速に反転下落する動きとともに円高の動きとなり、ストップオーダーも巻き込んで東京後場には112.73レベルの安値をつけました。その後も上値は重く戻り高値はNY朝方の113.11レベルまで、引けにかけては112円台後半の狭いレンジでもみあいのまま引けました。

11月10日(水)
ドル円は東京市場では動かず、欧州市場序盤に前日NY市場での戻り高値を上抜けたことから買いが強まり、その後は米金利が底堅く推移したこともあってドルが全般的に強い地合いのままでNY市場に入りました。NY前場に発表されたCPIが予想以上に高く年率で6.2%と31年ぶりの高い数字だったことを受け、米金利は大幅上昇、それに引っ張られてドル円も114.02レベルまで上伸し、若干押して引けました。

11月11日(木)
ドル円は前日のCPIの余波で下値は固いいっぽうで114円台前半には売りたい向きもいて114円を挟んでのもみあいに終始しました。米国が祝日だったこともあり値幅も35銭に留まりました。

11月12日(金)
金曜のドル円は東京前場に日経平均株価が上昇する動きとともに円売りが先行、114.30レベルの週間高値をつけましたが、114円台前半ではドル売りオーダーも多く、欧州市場序盤まで高値圏でのもみあいが続きました。欧州市場に入り利食い売りに押されて早朝の水準に押すと、その後も週末を前にしたポジション調整が続きNY昼前には113.76レベルまで下押しし、上値が重たい地合いでの引けとなりました。

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