ドル円見通し 114円を挟んだ揉み合いで急騰一服
〇ドル円、米長期債利回り上昇とドル全面高背景に11/11未明高値114.01、昼114.15へ高値を切り上げる
〇その後は伸びず急騰一服、113.79まで下げたところは押し目買いされ114円台を回復
〇ドル全面高、ECB理事会の緩和姿勢継続背景にユーロは対ドルで年初来安値更新、ポンド・豪ドルも下落
〇日銀の輸入物価指数高騰、輸入物価上昇による通貨安圧力の点でもドルは上昇しやすいか
〇113.79を上回るうちは上昇余地ありとし、114.15超えからは114.50台、114.70台への上昇を想定する
〇113.79を割り込む場合は、113.50前後への下落を想定する
【概況】
ドル円は11月10日夜の米10月消費者物価上昇率が予想を大幅に上回り、前年同月比で31年ぶりの伸びとなったことをきっかけとした米長期債利回り上昇とドル全面高の流れで11日未明高値114.01円へ急伸、11日昼には114.15円まで高値を切り上げたがその後は伸びずに急騰一服での足踏みとなっている。
11月11日夜は米国市場がベテランズデーで債券市場が休場、政府機関も休みとなり手掛かりには欠けた状況だったが、利益確定売りに113.79円まで下げたところは押し目買いされて114円台を回復している。
米国株式市場はマチマチの展開、NYダウは3日続落となり前日比158.71ドル安の35921.23ドル、ナスダック総合指数は反発し81.57ポイント高の15704.28で取引を終えた。
【ドル全面高続く、輸入物価上昇による通貨安圧力】
米消費者物価上昇率の発表をきっかけに為替市場はドル全面高の様相。11日夜もユーロドルが続落して1.145ドルを割り込み今年5月25日高値1.2265ドル以降の安値を更新したが、1月6日高値1.2348ドルと5月高値によるダブル天井形成からの下落であり年初来安値更新でもある。10月28日のECB理事会が緩和姿勢の継続を強調したことでインフレ対策ができずにいることが下落の背景。
ポンドドルは11日に1.3358ドルへ下落して9月29日安値を割り込み6月1日高値1.4249ドル以降の安値を更新したが、これも2月24日高値と6月1日高値によるダブル天井形成からの下落継続感を強めた。英中銀が11月4日に利上げを見送ったところからポンド売りが加速している。
豪ドル米ドルも10月28日以降の安値を更新しており、8月20日底からの二段型の戻り一巡による下落再開感が強まっている。
主要国中銀は総じてインフレ対策としての金融引き締めに出遅れている印象だが、10日夜からの米長期債利回り上昇及びそれに追従する独英豪等の長期債利回り上昇は金融引き締め及び利上げ催促の動きであり、各国中銀も次回金融政策決定会合では対策姿勢を示してゆくことになるのではないかと思われるが、主要国全般の引き締め化への動きが顕著になれば、金融緩和縮小による過剰流動性の低下による投機マネーの萎縮からドルストレートではドル高になびきやすくなる。またYCC継続により低金利政策から脱却できない日銀のスタンスを踏まえてドル円での円安ドル高も進みやすくなると思われる。
日銀の輸入物価指数が高騰しているが、資源エネルギー・国際原材料の輸入依存度の高いところは輸入物価上昇による通貨インフレ圧力で通貨安を招きやすく、その点でもドルは上昇しやすいのではないかと思われる。パンデミックからの景気回復とサプライチェーンの混乱及び生産の出遅れが物価高を招いているわけだが、真冬の北半球における感染拡大懸念を踏まえるとしばらくはサプライチェーンの混乱は続きそうだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月2日夕安値から5日目となる11月9日午後安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りした。11月4日夕高値を基準とすれば高値形成期は9日夕から11日夕にかけての間と想定されるので既に11日昼高値で直近のサイクルトップを付けた可能性があるが、11日夜にいったん下げてから持ち直しているので高値更新からは新たな強気サイクル入りとなって16日から18日にかけての間へと高値形成期が延びてゆく事も考えられる。11日夜安値113.79円を割り込む場合は11日昼高値ないしは直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日の日中から16日にかけての間への下落を想定するが、11日夜安値割れを回避するうちは上昇基調の継続となる可能性を優先する。
60分足の一目均衡表では11月10日夜の急伸で遅行スパンが好転、先行スパンも突破したが、上昇一服で揉み合いとなっているため遅行スパンは実線と交錯しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからはいったん調整安に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンの下限を試すとみる。
60分足の相対力指数は11日未明から昼への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるのでいったん下げやすいところとみるが、11日夜に50ポイント台まで低下した後は確りしているので、70ポイント超えからは上昇再開として80ポイント台を目指すと流れとし、50ポイント割れからは40ポイント前後への下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月11日夜安値113.79円を下値支持線、11日昼高値114.15円を上値抵抗線とする。
(2)113.79円を上回るうちは上昇余地ありとし、114.15円超えからは114.50円台、さらに勢い付く場合は114.70円台への上昇を想定する。114円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)113.79円を割り込む場合は113.50円前後への下落を想定する。113.50円以下は押し目買いされやすい水準とみるが、113.75円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11/12(金)
APEC首脳会議
国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)閉幕
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.6%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 5.1%、予想 4.1%)
22:50 (欧) レーンECB理事、講演
23:00 (英) ハスケル英中銀委員、講演
24:00 (米) 9月 雇用動態調査(JOLT)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (10月 71.7、予想 72.4)
26:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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