ドル円見通し 114円台回復へ持ち直すがやや慎重な動き(21/10/27)

26日夜は米消費者信頼感指数や新築住宅販売等が市場予想を上回ったことで深夜にかけてユーロドルが一段安となりドル高感が意識されてドル円は上昇した。

ドル円見通し 114円台回復へ持ち直すがやや慎重な動き(21/10/27)

ドル円見通し 114円台回復へ持ち直すがやや慎重な動き

〇ドル円、10/26夜に114.30へ上昇、114円台維持するも高値更新せず慎重な動き
〇10/26発表の米経済指標堅調、ドル高感意識されドル円上昇につながる
〇NYダウ史上最高値を連日更新、米10年債利回りは続落するも上昇時にはドル円一段高に注意
〇米耐久財受注、7-9月期GDP速報、個人消費支出と本日以降も米重要経済指標の発表続く
〇114円割れ回復のうちは上昇余地ありとし、114.30超えからは114.69円試しへ向かうとみる
〇113.75割れからは113.39試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は10月26日夜に114.30円へ上昇、先週末23日未明安値113.39円からの持ち直しを続けた。27日午前序盤は114円台を維持しているものの新たな高値更新へは進まずやや慎重な動き。
26日夜は米消費者信頼感指数や新築住宅販売等が市場予想を上回ったことで深夜にかけてユーロドルが一段安となりドル高感が意識されてドル円は上昇した。10月28日にECB理事会を控えているがECBと米連銀を比較した場合に金融緩和継続姿勢を強調しているECBと、年内テーパリング開始と来年の利上げを想定している米連銀とのスタンスの差が意識されてユーロ売りドル買い反応がみられた印象だ。28日には日銀金融政策決定会合も控えていること、米GDP速報値の発表や週末には米PCEデフレーターの発表も控えているのでドル円としてはジリ高での推移だがやや慎重な動きといえる。

【米長期債利回りは低下、NYダウは史上最高値を連日更新】

10月26日のNYダウは前日比15.73ドル高と小幅な上昇だったが3日連続で終値ベースの史上最高値を更新した。ダウが上昇開始したところから為替市場ではドル高感が強まる動きを見せた。しかし一方で米長期債利回りは全般に低下となり、10年債利回りは前日比0.02%低下の1.61%に終わった。米経済指標発表から一時1.65%まで上昇したもののその後は落ち着き、10月22日から3日間の続落となっている。利上げ時期に敏感な米2年債利回りは前日と変わらずの0.44%で終了している。
米長期債利回りが先週までの上昇一服で落ち着いていることがドル円の上昇にとっては推進力をやや削がれている状況だが、中勢としては物価上昇の継続と米連銀による金融緩和終了へ向けた姿勢を踏まえて上昇基調を継続しやすく、ドル円としては次に米長期債利回りの上昇が顕著になるところから一段高のきっかけとなる可能性があると注目しておきたい。

【米経済指標は堅調】

10月26日の米経済指標は概ね堅調だった。コンファレンス・ボードによる10月の消費者信頼感指数は113.8となり9月の109.8から上昇、市場予想の108.3を上回った。現況指数は前月の144.3から147.4へ、期待指数も前月の86.7から91.3へと上昇している。景気回復感を示すものだ。
米商務省による9月の新築一戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比14.0%増の80万戸で市場予想の76万戸を上回った。3か月連続での前月比プラスと好調さを示した。
米連邦住宅金融局(FHFA)による8月の全米住宅価格指数は前年同月比18.5%上昇と高水準だったが、前月比は1.0%上昇で7月の1.4%上昇からは伸びが鈍化した。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによる8月のケース・シラー全米住宅価格指数は前年同月比19.8%上昇で前月と同じ高水準を維持したが、前月比は1.2%上昇で7月の1.7%上昇からやや鈍化した。
10月27日は米耐久財受注、28日は7-9月期GDP速報、29日に個人消費支出とデフレーターの発表と続く。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月20日午前高値で当面のピークを付けて下落期に入っていたが、23日未明安値で目先の底を付けて強気サイクル入りした。高値形成期は25日午前から27日午前にかけての間と想定されるので反落注意期にあるので、113.75円以上での推移中は上昇余地ありとするが、114円割れを弱気転換注意とし、113.75円割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて28日未明から11月1日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表で26日午前の上昇で遅行スパンが好転し、夕刻には先行スパンを上抜いた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているが、114円を割り込んでくると遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は26日夜の上昇時に70ポイントに到達したがその後は50ポイント台まで失速している。50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.75円を下値支持線、26日夜高値114.30円を上値抵抗線とする。
(2)114円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、114.30円超えからは10月20日午前高値114.69円試しへ向かうとみるが、114.60円以上は反落注意とする。
(3)113.75円割れからは戻り一巡による下落期入りとして23日未明安値113.39円試しへ向かうとみる。113.30円台では買い戻しも入りやすいとみるが、23日未明安値を割り込む場合は113.00円前後試しへ下値目途を引き下げる。また113.75円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/27(水)
日銀・金融政策決定会合初日
15:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 0.3、予想 -0.5)
15:00 (独) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 1.4%、予想 1.5%)
15:00 (独) 9月 輸入物価指数 前年同月比 (8月 16.5%、予想 18.0%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 1.8%、予想 -1.1%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債、変動利付2年債入札

10/28(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
08:50 (日) 9月 小売業販売額 前年同月比 (8月 -3.2%、予想 -2.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 輸入物価指数 前期比 (4-6月 1.9%、予想 3.5%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 -3.00万人、予想 -2.00万人)
16:55 (独) 10月 失業率 (9月 5.5%、予想 5.4%)
18:00 (欧) 10月 消費者信頼感確定値 (速報 -4.8)
18:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 117.8、予想 116.8)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.4%)
21:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.4%)
21:30 (欧) ラガルドECB総裁、定例記者会見

21:30 (米) 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4-6月 6.7%、予想 2.7%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (4-6月 12.0%、予想 0.7%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCE速報値 前期比年率 (4-6月 6.1%、予想 4.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 29.0万件、予想 29.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 248.1万人、予想 242.0万人)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 8.1%、予想 0.6%)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 -6.3%)
26:00 (米) 財務省7年債入札


注:ポイント要約は編集部

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