来週の為替相場見通し:『約4年ぶり高値圏から反落するも上昇トレンドは継続か』(10/23朝)

ドル円は10/20に記録した約4年ぶり高値114.71をトップに反落に転じると、週末にかけて、約1週間ぶり安値となる113.42まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『約4年ぶり高値圏から反落するも上昇トレンドは継続か』(10/23朝)

『約4年ぶり高値圏から反落するも上昇トレンドは継続か』

〇今週のドル円、週央にかけて約4年ぶり高値114.71まで上昇
〇米金利先高観、資源価格上昇からのインフレ懸念、株式市場の堅調等が背景
〇その後は米長期金利の低下、パウエルFRB議長のハト派発言等に週末にかけ113.42まで急落
〇ユーロドル、今週は米長期金利の上下動や米欧指標の結果に1.1571-1.1670レンジでもみ合う展開
〇ドル円115円トライに失敗し、転換線を下抜けるなど上値重いがテクニカルな上昇トレンドは継続中
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い世界的リスク選好ムード等がドル円を支援
〇来週は日銀政策決定会合と黒田総裁会見での日本の金融政策スタンスに要注目
〇黒田総裁よりハト派発言出ればドル円に強い上昇圧力も
〇来週の予想レンジ(USDJPY):112.50ー115.00、(EURUSD):1.1500−1.1750

今週のレビュー(10/18−10/22)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初114.21で寄り付いた後、@米金利の先高観を背景としたドル高圧力(米金利上昇→ドル高)や、A資源価格の上昇に端を発した世界的なインフレ懸念(ドル買い・円売り圧力)、B株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力→クロス円上昇→ドル円連れ高)、CウォーラーFRB理事によるタカ派的な発言(インフレが2022年にかけて2%を大幅に上回る場合は早期利上げを支持)が支援材料となり、週央にかけて、約4年ぶり高値となる114.71まで急伸しました。

しかし、2017/11/6高値114.74をバックに伸び悩むと、D短期筋の利食い売り(短期間で上昇した反動)や、E米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは1.70%から1.63%へ急低下)、F米10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数の不冴な結果、G短期筋のロスカット(10/19安値113.88を割り込んだことに伴うストップSELL)、HパウエルFRB議長のハト派的な発言(高インフレは緩和する公算が大きい。利上げは時期尚早)が重石となり、週末にかけて、約1週間ぶり安値となる113.42まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/23午前5時20分現在)では、113.49前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1597で寄り付いた後、@中国経済指標の不冴な結果や、A上記@を背景としたリスク回避のドル買い圧力、B米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週明け早々に、週間安値1.1571まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに下げ渋ると、C米経済指標の冴えない結果(ドル売り)や、D米金利低下に伴うドル売り圧力、E短期筋のショートカバー、F株式市場の堅調推移(リスク選好のドル売り圧力)、Gスパーン独保険相による「11/25に緊急事態を終了することに賛成」との前向きな発言が支援材料となり、翌10/19にかけて、週間高値1.1670まで反発しました。

もっとも、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、Hフランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ユーロ圏のインフレ率は来年末までに2%を下回る見通し」「ECBが来年末までに利上げを実施する理由はない」とのハト派的な発言や、I欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力や、Jユーロ圏8月経常収支の黒字額急縮小、Kタカ派で知られていたドイツ連銀バイトマン総裁の退任報道に端を発したECBがハト派に傾斜するとの市場の思惑が重石となり、本稿執筆時点(日本時間10/23午前5時20分現在)では、1.1643前後で推移しております。

来週の見通し(10/25−10/29)

<ドル円相場>
ドル円は10/20に記録した約4年ぶり高値114.71をトップに反落に転じると、週末にかけて、約1週間ぶり安値となる113.42まで急落しました。この間、一目均衡表転換線を下抜けするなど、上値の重さを印象付けるチャート形状となっております(心理的節目115.00トライ失敗→短期筋のポジション調整を誘発)。とは言え、ダウンサイドには複数のサポートポイントが控えている他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転(転換線の基準線上抜け、ローソク足の雲上限上抜け、遅行線の26日前のローソク足上抜けが全て揃う状態)や、強気のパーフェクトオーダー(移動平均線が上から順番に短期・中期・長期で並ぶ状態)も継続しており、テクニカル的に見れば、上昇トレンドは継続中と判断できます(足元の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目。一巡後に再び上昇に転じるシナリオを想定)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる早期テーパリング・早期利上げ観測の高まり(市場コンセンサスは11月FOMCでテーパリング開始→来年半ばにテーパリング終了→来年9月頃に利上げ再開)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(金融緩和脱却の糸口が見えない状況)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C世界的なリスク選好ムード(米利上げ観測が高まっても株価が底堅さを維持→過剰流動性相場逆流リスクの後退)、D世界的に広がるインフレ懸念(資源価格上昇→インフレ懸念→本邦の実質金利低下→円売り)、Eオプション市場のアップサイドを織り込む動き(リスクリバーサルは円プットオーバーの拡大継続)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は米主要経済指標(10/26の米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数や、米9月新築住宅販売件数、10/27の米10月耐久財受注、10/28の米第3四半期GDP速報値、米9月PCEデフレータ等)や、日銀金融政策決定会合(含む黒田総裁記者会見)に注目が集まります(ブラックアウト期間に入ったことで米当局者の発言機会は無し)。米経済指標が市場予想を上回る結果となる場合や、黒田総裁よりハト派的な発言が見られる場合には、日米金融政策の方向性の違いに着目したドル買い・円売りと、株高を背景としたリスク選好の円売りが重なることから、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(リスク要因として、パウエル氏の去就を巡るヘッドラインや、米財務省による半期に一度の為替報告書などが警戒されますが、基本的にはポジション調整一巡後の反発=ドル高・円安の再開を想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):112.50ー115.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は10/12に記録した約1年3ヵ月ぶり安値1.1524をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて一時1.1670まで反発しました。この間、一目均衡表転換線や21日移動平均線を上抜けするなど、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。しかし、上方に一目均衡表基準線や90日移動平均線などの主要チャートポイントがレジスタンスとして控えている他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転(転換線の基準線下抜け、ローソク足の雲下限下抜け、遅行線の26日前のローソク足下抜けが全て揃う状態)や、弱気のパーフェクトオーダー(移動平均線が下から順番に短期・中期・長期で並ぶ状態)が継続していることなどを踏まえると、続伸余地は乏しいと判断できます(今週の反発は下降トレンドの過程で見られる一時的な戻り局面と判断。買戻し一巡後の反落リスクに要警戒)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(早期利上げが織り込まれる米国と、金融緩和の長期化が見込まれる欧州との金融政策格差)や、A欧州当局者による相次ぐハト派的な発言、B上記Aに加えてタカ派の最先鋒と見られていたドイツ連銀バイトマン総裁の辞任報道、C資源価格高騰に伴う欧州経済への下押し圧力など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は10/25に予定されているドイツ10月ifo景況指数や、10/28のECB理事会およびラガルドECB総裁記者会見、10/29のユーロ圏消費者物価指数に注目が集まります。欧州圏の経済指標が弱含む結果となる場合や、無風通過が予想されているECB理事会の後に、ラガルドECB総裁が記者会見でハト派的な見解(インフレ圧力は一時的)を強調する場合などには、欧米金融政策の方向性の違いが改めて意識されることから、ユーロドルには強い下押し圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1500−1.1750

注:ポイント要約は編集部

『約4年ぶり高値圏から反落するも上昇トレンドは継続か』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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