ドル円見通し クロス円全般の下落に押され、ドル円は2018年10月高値超え達成後の調整安(21/10/22)

クロス円全般も上昇一服で反落したことによりドル円も2018年10月高値を超えたことでひとまず利益確定売り優勢となって下げたという印象だ。

ドル円見通し クロス円全般の下落に押され、ドル円は2018年10月高値超え達成後の調整安(21/10/22)

クロス円全般の下落に押され、ドル円は2018年10月高値超え達成後の調整安

〇ドル円、10/20午前高値以降ジリ安、10/21夜113.63まで下落、10/22早朝114円到達したが上値重い
〇クロス円全般上昇一服で反落したことにより、利益確定売り優勢となり下げた印象
〇米10年債利回りは1.70%へ上昇、8/4以降の高値を更新、2年債利回りは今年1月末以降の高値更新
〇10/21のドル円は米長期債利回り上昇による押し上げよりも、クロス円全般の下落を嫌った動きとなる
〇114.25以下での推移中は下向きとし、113.63割れからは113.25から113.00を試すとみる
〇114.25超えからは10/20午前高値114.69試しとし、高値更新からは115円台を目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は10月20日午前高値で114.69円を付けて2018年10月4日高値114.54円を上抜いたが、その後は高値警戒感からジリ安の動きに入り、21日夜には113.63円まで下落した。22日早朝に114円到達までいったん戻しているが、上値の重さが観測されている。
10月21日は米10年債利回りが続伸、前日に反落していた米2年債利回りも上昇して年初来高値を更新するなど、米長期債利回り動向からはドル円が上昇してもよいところだったが、ドルストレートでユーロやポンド、豪ドル等が上昇一服で下落、クロス円全般も上昇一服で反落したことによりドル円も2018年10月高値を超えたことでひとまず利益確定売り優勢となって下げたという印象だ。

【米長期債利回り上昇するもドル円は反応薄】

10月21日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.70%となり8月4日の1.12%以降の高値を更新した。2年債利回りは0.07%上昇の0.46%を付けて今年1月末の0.10%以降の最高値を更新した。9月23日未明のFOMCから上昇が勢い付いている状況にあり、10年債利回りは今年3月のピーク1.77%へ徐々に迫ってきている。
10月21日の上海総合株価指数は前日比0.22%高と小幅上昇したが、取引が再開された中国恒大集団は前日比12%安の大幅下落となっている。中国の劉鶴副首相が20日に「個別の問題がいくつか出ているが国内不動産市場のリスクは全般に管理可能」と述べるなど恒大ショックの市場全般への波及懸念を後退させる要人発言も相次いでいるが先行き不透明感が拭えない状況にある。また中国で石炭石油不足により電力供給が大規模に停止する状況が発生していることについて石炭価格統制の動きが出ていることで原油相場が一時急落するなど、資源相場の先行き不透明感も生じている。

世界的な物価上昇が続いている中で主要国中銀のテーパリング開始や利上げの模索が長期債利回り上昇を招いているが、米長期債利回り動向と同調して独英豪等の主要国長期債利回りも動いているため必ずしも米長期債利回り上昇がドル高反応を招くわけではないが、21日は全般的なリスク警戒感と9月末からの上昇に対する高値警戒で主要通貨が対ドルで下落、ドル円も米長期債利回り上昇による押し上げよりもクロス円全般の下落を嫌った動きとなったようだ。

【米経済指標はまちまち】

米労働省による週間新規失業保険申請は前週比6000件減少の29万件となり市場予想の30万件を下回って3週連続で改善した。失業保険受給者総数は248万1000人で前週比12万2000人減少となり市場予想の255万人を下回った。
米フィラデルフィア連銀による10月の第3連邦準備地区製造業景況指数は23.8となり9月の30.7から低下、市場予想値の25.0を下回った。ただ新規受注指数は前月の15.9から30.8へ上昇、雇用指数は前月の26.3から30.7へ上昇している。
米コンファレンス・ボードによる9月の米景気先行指数は117.5となり前月比0.22%上昇、市場予想の0.4%上昇を下回った。前月比は7月0.9%上昇、8月の0.8%上昇から鈍化している。
米不動産業者協会(NAR)による9月の中古住宅販売件数(年換算)は前月比7.0%増の629万戸となり市場予想の609万戸を上回って2か月振りに改善したが、前年同月比では2.3%減となった。また販売価格中央値は前月比1.4%低下の35万2800ドルで前年同月比では13.3%上昇だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月14日午前安値から3日を経過した19日夕安値を直近のサイクルボトムとして上昇したが、20日午前に年初来高値を更新したところからの下落が続いて19日夕安値を割り込んだ。このため20日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日夕から26日夕にかけての間への下落を想定する。114.25円超えから強気転換注意とするが、新たな強気サイクル入りは20日午前高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では10月21日午後の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開と仮定して遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント台へ低下したところから50ポイント前後へ戻したところで売られる展開が続いている。60ポイントへ到達するところから上昇再開とみるが、50ポイント台を維持できないうちは40ポイント割れから20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
中勢は年初来の上昇基調継続とみるが、目先は足場固め的な調整安での落ち着き処を探る動きとみる。
(1)当初、10月21日夜安値113.63円を下値支持線、114.25円を上値抵抗線とする。
(2)114.25円以下での推移中は下向きとし、113.63円割れからは113円台序盤(113.25円から113.00円)を試すとみる。113.25円以下は反発注意とするが、114円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114.25円超えからは強気転換注意として20日午前高値114.69円試しとし、高値更新からは115円台を目指す上昇を想定する。115円到達ではいったん売られやすいとみるが、114.50円以上での推移が続くなら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/22(金)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -0.9%、予想 0.5%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 -1.2%、予想 0.2%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 -0.9%、予想 -1.7%)
16:30 (独) 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.4、予想 56.5)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.2、予想 55.0)

17:00 (欧) 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.6、予想 57.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.4、予想 55.5)
17:30 (英) 10月 製造業PMI速報値 (9月 57.1、予想 55.8)
17:30 (英) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 55.4、予想 54.5)
22:45 (米) 10月 製造業PMI速報値 (9月 60.7、予想 60.3)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 54.9、予想 55.1)
23:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演



※ポイント要約は編集部

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