ドル円見通し 114円割れを買い戻されて15日夜高値を更新、騰勢続く(21/10/20)

19日夜には113.87円までいったん下げたものの114円割れは押し目買いされて持ち直しに入り、20日8時台には15日夜高値を超えて2018年10月高値と並んだ。

ドル円見通し 114円割れを買い戻されて15日夜高値を更新、騰勢続く(21/10/20)

ドル円見通し 114円割れを買い戻されて15日夜高値を更新、騰勢続く

〇ドル円、10/20は10/15夜高値114.46超え2018年10月高値114.54と並ぶ
〇NYダウ反騰背景に米10年債利回り上昇、ドル円上昇の動きに同調
〇米連銀利上げ開始時期先送りの印象、米住宅着工統計低水準により、米2年債利回り低下
〇114.20円台を維持するうちは、114.75超えから115円を目指す流れとみる
〇113.87割れからは下落期入りとして、113.50前後試しを想定する

【概況】

ドル円は10月15日夜に114.46円へ上昇して年初来高値を更新、2018年10月4日高値114.54円に迫ったものの届かず、18日は114円台前半中心の持ち合いで推移、19日夜には113.87円までいったん下げたものの114円割れは押し目買いされて持ち直しに入り、20日8時台には15日夜高値を超えて2018年10月高値と並んだ。
10月19日の為替市場はユーロドルが夕刻へ一段高してから反落、ポンドドルが夜まで上昇してから反落、豪ドル米ドルは夜へ一段高してからも高値圏を維持、南アランドは9月30日以降の高値更新とややまちまちの展開だったが、米長期債利回りでは2年債利回りが急落する一方で10年債利回りが反騰に転じて動きに差が出ている。ドル円は米10年債利回りの低下局面で夕刻へ下落、10年債利回りの反騰を見て夕刻から上昇というように米10年債利回り動向を見ながら動いている印象だ。

【米2年債利回り低下、10年債利回りは上昇】

10月19日の米10年債利回りは前日比0.03%上昇の1.64%へ戻した。10月12日に1.63%で8月4日の1.12%以降の高値を更新してから14日に1.50%まで反落していたが、15日から切り返して12日高値を超えてきている。一方で2年債利回りは前日比0.03%低下の0.40%へと下げた。18日に0.44%台まで上昇して年初来高値を更新したところからの反落となり、2年債利回り低下と10年債利回り上昇と動きを異にした。この日発表された米住宅着工統計が冴えない内容だったことや、米連銀のウォーラー理事が利下げを急がない姿勢を示し、ECBや豪中銀も緩和姿勢の継続性を示したことなどから、米連銀による来年の利上げ想定時期も夏の可能性が後退して年末以降へと先送りされてきた印象となったために2年債利回りは低下したが、一方でNYダウの反騰による株買い債券売りから米10年債利回りは上昇という反応となったようだ。ドル円としては指標の10年債利回り上昇に同調したということだろう。

9月の米住宅着工件数は年率換算で前月比1.6%減の155万5000戸となり市場予想の162万戸を大幅に下回って今年4月以来の低水準となった。原油価格等の高騰を招いている生産と物流の支障や雇用回復が追い付かないことで低下したとみられている。先行指標となる着工許可件数も158.9万戸で予想の168万戸を下回り8月の172.1万戸から大幅に低下した。
10月19日のNYダウは前日比198.7ドル高と上昇、ナスダック総合指数は同107.28ポイント高で10月13日から5連騰だった。

【米連銀の利上げ開始時期はさほど早まらないか】

原油高騰に象徴されるエネルギー価格の高騰と感染拡大地域での生産物流障害等による需給ギャップが世界規模の物価上昇を招いていることで米連銀等の主要国中銀による金融引き締め姿勢への転換を市場は意識してきたが、この日はECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁が「ユーロ圏のインフレ率は来年末までに目標の2%を下回る見通しでECBが来年末までに利上げする理由はない」と語り、豪中銀が公開した10月理事会の議事要旨では2024年まで利上げはしないとされた。
米連銀のウォラー理事は10月19日の講演で「11月2-3日の次回FOMCでのテーパリング開始決定を支持する」と述べたが「テーパリング完了後にすぐに利上げされるわけではない」として利上げを急がない姿勢を強調した。米連銀のボウマン理事は「数か月前と比べてインフレが従来の予想よりも長く続く可能性がある」とインフレへの警戒感を示したが、全体のトーンとしては前回のFOMCからさらに利上げ時期が前倒しされてくる可能性についての過剰な懸念は後退しているものとなり、米2年債利回りの大幅低下を招いた印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月13日夜高値からの反落で付けた14日午前安値を直近のサイクルボトムとして一段高したが、15日夜高値以降は新たな高値更新へ進めずに持ち合いとなっていたため、19日午前時点では15日夜高値を超える場合は持ち合い上放れによる新たな強気サイクル入りとした。
10月19日夕刻に113.87円までいったん下げてから114円台を回復、20日午前には15日夜高値を超えてきているため、19日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への上昇を想定する。弱気転換は19日夕安値割れからとし、その際は22日夕から26日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月20日早朝への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきたため、遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は先行スパン転落からとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は19日夕刻への下落で30ポイント台へ低下したところから切り返して60ポイント台へ乗せているので50ポイント以上での推移中は70ポイント超えへ向かう流れとみる。75ポイント以上は反落注意だが、60ポイント以上での推移なら21日も高値試しへ進みやすいとみる。弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月19日夕安値113.87円を下値支持線、114.75円を上値抵抗線とする。
(2)114.20円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは114.75円超えから115円を目指す流れとみる。114.85円以上は反落注意とするが、114.20円以上での推移なら21日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114円割れを弱気転換注意とし、113.87円割れからは下落期入りとして113.50円前後試しを想定する。113.50円前後は押し目買いされやすい水準とみるが、113.87円を割り込んだ後は21日、22日へと安値試しへ進みやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

10/20(水)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.7%、予想 0.4%)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 3.2%、予想 3.2%)
15:00 (英) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 3.1%、予想 3.0%)
15:00 (独) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 1.5%、予想 1.1%)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調済 (7月 216億ユーロ)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調前 (7月 302億ユーロ)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 3.4%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.9%、予想 1.9%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (欧) ガロー仏中銀総裁、講演
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント挨拶
26:00 (米) 財務省20年債入札
26:45 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、討論会参加
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

10/21(木)
EU首脳会議(10月22日まで、ブリュッセル)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 18.00%、予想 17.50%)
21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 30.7、予想 25.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 29.3万件、予想 30.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 259.3万人、予想 255.0万人)
23:00 (米) 9月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (8月 0.9%、予想 0.4%)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 年率換算件数 (8月 588万件、予想 608万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -2.0%、予想 3.4%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感速報値 (9月 -4.0、予想 -5.0)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札
28:00 (豪)ロウ豪中銀総裁、パネル討論会参加


※ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る