買われ過ぎだがドル高基調は今週も継続か(週報10月第3週)

先週のドル/円相場はドルが大幅続伸。週末には114円半ばと、2018年10月以来の高値圏まで一時達していた。

買われ過ぎだがドル高基調は今週も継続か(週報10月第3週)

買われ過ぎだがドル高基調は今週も継続か

〇先週のドル円、112.10前後週間安値に右肩上がり、2018年以来高値114.47までドル高進行
〇短期的には上げ過ぎの域、しっかり抜けると115円台乗せ覚悟の必要
〇先週発表の米経済指標、好結果が早期テーパリング支援要因に
〇今週は米9月鉄工業生産、米地区連銀経済報告、米企業決算発表など注目要因多い
〇今週のドル円予想レンジは113.00-115.40、114円半ばそして114.70レベルが最初のターゲット

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが大幅続伸。週末には114円半ばと、2018年10月以来の高値圏まで一時達していた。

前週末は、台湾をめぐる米中の軋轢が改めて取り沙汰されるなど、中国情勢が引き続き思惑を呼ぶなか、債務上限やサプライチェーンをめぐる問題など米国情勢も何かと話題になっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた112.10円前後を週間安値に右肩上がり。細かい上下動はあったものの、おおむね「寄り付き安・大引け高」の展開をたどっている。実需筋のオファーを呑み込みつつ、上方向のテクニカルポイントを次々に突破。週末には114.47円まで、1週間で2円を超えるドル高進行となった。週末NYも114円台、そのままドル高値圏をキープし越週している。
なお、先週はドル/円以外、いわゆるクロスも含め円は全面安の様相。実際、ポンド/円やカナダ/円、NZドル/円などは、それぞれ年初来高値を一時更新する局面も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、前週末に発表された米雇用統計が期待外れの内容だったが、先週は発表された米経済指標が逆に好数字で、早期テーパリングの支援要因に。たとえば、米消費者物価はほぼ予想通りの結果ながら、前年比では5ヵ月連続で5%以上の数字を記録するなど根強いインフレ圧力を示す結果だった。そうしたなか、セントルイス連銀総裁やリッチモンド連銀総裁などから「早期テーパリング」に言及する発言が聞かれており、日米などの金利差拡大観測が強まったことも、前述したドル高・円安の一因に。それとは別に、懸念要因となっていた連邦債務上限問題だが、上限を一時的に引き上げる法案の採決を行い賛成多数で可決され、デフォルト懸念は何とか回避されている。

対して後者は、辛亥革命110周年記念大会で演説した習国家主席が「台湾統一は必ず実現できる」とコメントし物議を醸す反面、「恒大集団」を中心とした不動産リスクの広がりも話題に。実際、後者の不動産リスクについては、新力控股(Sinicホールディングス)が「2億5000万ドル相当の社債について、デフォルトとなる可能性が高い」と発表していたようだ。ほかにも「電力不足」問題で、遼寧省が電力不足の悪化を警戒。上から2番目に高い「第2級電力不足警報」を出すなど、話題には事欠かず。

<< 今週の見通し >>

前週に続き、先週のドル/円も上方向のテクニカルポイントを次々ブレーク。その結果、今年は2ヵ月半を残して、昨年一年間の価格変動幅、同変動率をいずれも上回ってきた。具体的にはドル/円の年初来変動幅は先週末段階で11.88円、変動率は11.52%になる(昨年は前者の年間変動幅が11.03円、後者は同率10.15%)。ドル高基調がまだしばらく続くとみられるなか、さらなるドル高の進展により、記録をどこまで伸ばすのかに注目だ。
マーケットで、もっとも注視されているものは依然として米金利動向。8日に発表された米雇用統計は期待外れの数字だったが、そんなネガティブ要因を先週すべて払拭した格好ばかりか、逆にテーパリングへの期待感が強過ぎるほどの状態になっているのかもしれない。そのためか、フィラデルフィア連銀総裁からは「テーパリングは近く開始されるも、利上げは1年以上先」とする過熱警戒発言も週末にかけて聞かれていた。いずれにしても、引き続き米ファンダメンタルズや金利の動きに一喜一憂しつつ、今週もドル高への流れは続く可能性がある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は直近安値109.12円を起点と考えても上げ幅が5円を大きく超えてきた。短期的には上げ過ぎの域に入っていることは間違いなく、先週高値114円半ばは2018年高値にもほぼ合致するテクニカルポイントだ。そろそろ上昇が一服しても不思議はないが、しっかり抜けてしまうと115円台乗せを覚悟する必要がありそうだ。なお、現状かなり遠くに位置していることになるものの、ドル高進行の場合には118.60円台が中期的なターゲットに。

材料的に見た場合、中長期的には、「電力不足」や「恒大を中心とした不動産リスク」など懸念要因も多い「中国情勢」や、月末衆院選まで早くも2週間となった「日本の政局」、「新型コロナ関連」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、9月の鉱工業生産をはじめとする米経済指標が発表されるほか、米地区連銀経済報告も公表される見込み。また、米地区連銀総裁らによる講演などの発言機会も多いほか、米企業の決算発表も相次ぐなど注目要因目白押しの1週間となっている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、113.00-115.40円。ドル高・円安については、先週高値114円半ばそして114.70円レベルが最初のターゲット。超えれば115円台乗せとなっても不思議はないだろう。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗だった113.80円前後が最初のサポート。ただ、下回っても下値は堅そうで、すでに112円台はかなり遠いイメージだ。

買われ過ぎだがドル高基調は今週も継続か

ドル円日足


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