ドル円見通し 前週比2円程の独歩安、2016年12月以降で最大の上昇(週報10月第3週)

ドル円は7月2日高値を超えて続伸に入ったことで、2016年12月天井以降の高値ラインと安値ラインがほぼ平行に走る下降チャンネルの抵抗線を突破した。

ドル円見通し 前週比2円程の独歩安、2016年12月以降で最大の上昇(週報10月第3週)

ドル円見通し 前週比2円程の独歩安、2016年12月以降で最大の上昇

〇先週のドル円、米雇用統計後のドル高継続、15日夜に114.46の高値をつける
〇米小売売上高の堅調で、10年債利回りは1.57%台へ反発
〇欧州諸国、英豪等の主要国でも長期債利回りが顕著に上昇
〇一方で日本は長期金利抑制姿勢を継続しており、円独歩安の様相
〇ドル円、16年12月天井以降の下降チャネルの抵抗線突破、月足レベルでも大きな三角持ち合いを抜ける
〇114円台を維持する場合は114.46超えから115円を目指す
〇114円割れを切り返せず113.75を割り込む場合には、113.30-60ゾーンを試すか

【概況】

ドル円は10月8日の米雇用統計通過後の上昇で9月30日高値112.07円及びパンデミック前の2020年2月20日高値112.21円を超えて112.25円へ上昇、週明けの11日夜には113円台に到達、14日までを113円台でやや横ばい型の持ち合いで時間調整を入れたものの15日には114円台を突破、15日夜には114.46円を付けて2018年10月4日高値114.54円に迫った。
10月13日夜の米消費者物価の伸びが高止まり程度だったことで米10年債利回りが低下してドル円の上昇も一服となったが先高感は変わらずに14日夜から上昇再開に入り、15日午後には114円台に到達、15日夜の米小売売上高前月比が0.2%減の予想に対して0.7%増と堅調だったことで米10年債利回りが再上昇、米2年債利回りは年初来高値を更新する中でドル円は高値切り上げとなり114円台を維持して週を終えた。

【欧米豪の長期債利回り上昇基調継続、円の独歩安】

米10年債利回りは10月8日の米雇用統計を通過して10月4日から8日への連騰。11日の祝日明けの12日に1.63%を付けて8月以降の最高水準に達してから14日に1.50%まで反落したが、15日は1.57%台へ反発した。8月中は1.38%台を抵抗として三角持ち合いの様相だったところから上放れ一段高に入り、連騰後には数日の調整的な低下を入れながらも水準を切り上げてきている。今年3月に1.77%でピークを付けて8月に1.12%まで低下したところからの反騰を継続している。
利上げ時期に敏感な米2年債利回りは10月15日に0.40%まで一段高となり年初来高値を更新している。2年債利回りは昨年のパンデミック前に2.97%でピークを付けていたところからパンデミック対策による大規模金融緩和により0.10%台へ急低下していたが、量的緩和政策の終了と来年の利上げを意識して反騰し始めており、ここ2週は週足れ3連騰で上昇が顕著となっている。

物価上昇を意識しての量的緩和縮小と利上げを模索する金融政策姿勢へ転換したことが米長期債利回り上昇の背景だが、同様の背景を持つ欧州諸国、英豪等の主要国でも長期債利回りが顕著に上昇しており、米長期債利回り上昇=ドル全面高とはならない状況にある。米長期債利回り上昇にストレートな反応を示しているのはドル円であり、長期債利回りの絶対水準が低くYCCで長期金利抑制姿勢を継続している日銀と米連銀のスタンスの差が反映されている。また世界規模でのエネルギー価格の高騰が資源輸入依存の日本経済にはマイナスとして円売り要因になってきていることもあり、クロス円の全面安を見ると円の独歩安という様相がうかがえる。

【中長期レベルでの大上昇という規模感】

ドル円は7月2日高値を超えて続伸に入ったことで、2016年12月天井以降の高値ラインと安値ラインがほぼ平行に走る下降チャンネルの抵抗線を突破した。月足レベルでは2015年6月5日天井以降の100円前後を下値支持帯とした大きな三角持ち合いの抵抗線を突破している。今年1月6日からの上昇幅は11.89円に拡大しているが、2019年8月から2020年2月への上昇幅7.76円、2018年3月から同年10月への上昇幅9.91円を超えており、下降チャンネル内の騰落レベルを超えた上昇に発展している。

2020年2月天井を超えたことでチャート上の上値抵抗は2018年10月4日高値114.54円、2017年11月6日高値114.72円があるが、既に114円台に到達しておりこれら高値を超えれば2016年12月15日高値118.65円へ上値抵抗も切り上がり、あるいは120円を目指す可能性も出始めているのではないかと警戒される。9月15日安値109.09円からの1か月で5.37円の上昇規模であり、上昇ベクトルを維持すれば1か月後の120円というのもあり得ない水準ではなくなってきている。日本独自の材料としては衆院選の結果も大事になってくるだろう。
週間足では6週連続の陽線(ドル高円安)であり、特にここ4週の週足陽線は勢いがあり今年3月31日高値へ駆けあがった時に近い。弱気転換には週足での陰線発生から翌週の続落が必要と思われる。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

現状は10月11日に113円台へ乗せてから114円手前を抵抗とした上げ渋り持ち合いから一段高に入ったところにあり、小規模の調整安をこなしながら高値追及を続けやすい情勢と考える。持ち合い上放れへの上昇起点は10月14日午前安値113.20円であり、114円から113円台中盤までを下値支持帯とし、15日夜高値114.46円超えからは2018年10月4日高値114.54円、2017年11月6日高値114.72円を順次試しつつそれらをクリアして115円台へ乗せてゆく流れへ進みやすいのではないかと考える。

(1)当初、113.75円を下値支持線、15日夜高値114.46円を上値抵抗線とする。
(2)114円台を維持するか一時的に割り込んでも切り返すうちは114.46円超えから115円台到達を目指すとみる。115円台到達ではいったん売られやすいと注意するが、勢い付く場合は115.25円から115.50円へ上値目途を引き上げる。
(3)114円割れを切り返せずに113.75円を割り込む場合は113.60円から113.30円にかけてのゾーンを試すとみるがそこは押し目買いされやすいところとみる。ただし、10月14日午前安値113.20円を割り込む場合は10月4日深夜安値110.81円からの上昇に対する修正安局面として112円台後半への下落を想定する。(了)<17日9:15執筆>

【当面の主な予定】

10/18(月)
06:45 (NZ) 7-9月期 消費者物価 前期比 (4-6月 1.3%、予想 1.4%)
06:45 (NZ) 7-9月期 消費者物価 前年同期比 (4-6月 3.3%、予想 4.1%)
08:01 (英) 10月 ライトムーブ住宅価格 前月比 (9月 0.3%)
11:00 (中) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 1.3%、予想 0.5%)
11:00 (中) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 7.9%、予想 5.2%)
11:00 (中) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 2.5%、予想 3.3%)
11:00 (中) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 5.3%、予想 4.5%)

22:15 (米) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.4%、予想 0.2%)
22:15 (米) 9月 設備稼働率 (8月 76.4%、予想 76.5%)
23:00 (米) 10月 NAHB住宅市場指数 (9月 76、予想 76)
23:30 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
27:15 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
29:00 (米) 8月 対米証券投資 (7月 1260億ドル)
29:00 (米) 8月 対米証券投資・短期債除く (7月 20億ドル)

10/19(火)
中国全国人民代表大会[全人代]常務委員会(10月23日まで)
09:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨公表
18:00 (欧) 8月 建設支出 前月比 (7月 0.1%)
18:00 (欧) 8月 建設支出 前年同月比 (7月 3.3%)
19:00 (英) マン英中銀委員、講演
21:00 (欧) パネッタECB理事、講演
21:05 (英) ベイリー英中銀総裁、気候変動関連の講演
21:30 (米) 9月 住宅着工件数 年率換算件数 (8月 161.5万件、予想 161.5万件)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数 前月比 (8月 3.9%、予想 0.0%)
21:30 (米) 9月 建設許可件数 年率換算件数 (8月 172.8万件、予想 168.0万件)
21:30 (米) 9月 建設許可件数 前月比 (8月 6.0%、予想 -2.4%)

21:50 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、開会挨拶
22:00 (欧) レーンECB理事、講演
24:00 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、開会挨拶
24:00 (米) ボウマンFRB理事、デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、フォォーラム参加
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベント参加
27:00 (米) 9月 月次財政収支 (8月 -1706億ドル、予想 -1800億ドル)

10/20(水)
08:50 (日) 9月 貿易統計・通関・季調前 (8月 -6354億円、予想 -5096億円)
08:50 (日) 9月 貿易統計・通関・季調済 (8月 -2718億円、予想 -5864億円)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前月比 (8月 0.7%、予想 0.4%)
15:00 (英) 9月 消費者物価指数 前年同月比 (8月 3.2%、予想 3.2%)
15:00 (英) 9月 消費者物価コア指数 前年同月比 (8月 3.1%、予想 3.0%)
15:00 (英) 9月 小売物価指数 前月比 (8月 0.6%、予想 0.2%)
15:00 (英) 9月 小売物価指数 前年同月比 (8月 4.8%、予想 4.7%)
15:00 (独) 9月 生産者物価指数 前月比 (8月 1.5%、予想 1.1%)

17:00 (欧) 8月 経常収支・季調済 (7月 216億ユーロ)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調前 (7月 302億ユーロ)
18:00 (欧) 9月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 3.4%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 9月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.9%、予想 1.9%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (欧) ガロー仏中銀総裁、講演
25:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、イベントで挨拶
26:00 (米) 財務省20年債入札
26:45 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、討論会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

10/21(木)
EU首脳会議(10月22日まで、ブリュッセル)
09:30 (豪) 7-9月期 NAB企業信頼感指数
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 18.00%)
21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 30.7、予想 25.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 29.3万件、予想 30.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 259.3万人、予想 255.0万人)
23:00 (米) 9月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (8月 0.9%、予想 0.4%)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 年率換算件数 (8月 588万件、予想 608万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -2.0%、予想 3.4%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感速報値 (9月 -4.0、予想 -5.0)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札
28:00 (豪)ロウ豪中銀総裁、パネル討論会参加

10/22(金)
08:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -13、予想 -16)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数 前年同月比 (8月 -0.4%、予想 0.2%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
08:30 (日) 9月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (8月 -0.5%、予想 -0.4%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -0.9%、予想 0.6%)
15:00 (英) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 0.0%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前月比 (8月 -1.2%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 9月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (8月 -0.9%、予想 -1.8%)

16:30 (独) 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.4、予想 56.6)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.2、予想 55.2)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI速報値 (9月 58.6、予想 57.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 56.4、予想 55.4)
17:30 (英) 10月 製造業PMI速報値 (9月 57.1、予想 56.0)
17:30 (英) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 55.4、予想 54.5)
22:45 (米) 10月 製造業PMI速報値 (9月 60.7、予想 60.5)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI速報値 (9月 54.9、予想 55.2)
23:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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