来週の為替相場見通し:『ドル円は約3年ぶり高値圏へ急伸。心理的節目115円が射程圏内』(10/16朝)

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初112.18で寄り付いた後、早々に週間安値112.14まで下落しました。

来週の為替相場見通し:『ドル円は約3年ぶり高値圏へ急伸。心理的節目115円が射程圏内』(10/16朝)

『ドル円は約3年ぶり高値圏へ急伸。心理的節目115円が射程圏内』

〇今週のドル円、週末にかけて約3年ぶり高値114.46まで急伸114円台を維持して越週
〇FOMC議事要旨による早期テーパリングへの確信と米金利上昇、リスク選好の回復等が背景
〇ユーロドル週前半は軟調で1.1524まで下落するも、売り一巡後に下げ渋り1.16台を回復して越週
〇ドル円主要チャートポイント上抜けてテクニカルの地合い力強い
〇ファンダメンタルズも米早期利上げ観測高まり、株価も持ち直す等ドル円サポート材料増える
〇ドル円続伸がメインシナリオ、114円後半から115円丁度までの抵抗帯を試す展開か
〇来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.50、(EURUSD):1.1500−1.1700

今週のレビュー(10/11−10/15)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初112.18で寄り付いた後、早々に週間安値112.14まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@岸田首相による「金融所得課税について当面触ることは考えていない」との発言や、A上記@を背景とした日経平均株価の持ち直し(リスク選好の円売り再開)、B米早期利上げ観測を背景とした米金利の先高観(米金利先物市場は来年9月末時点の利上げを100%織り込む展開)、C日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り圧力、D米当局者による相次ぐタカ派的な発言(アトランタ連銀ボスティック総裁やクラリダFRB副議長、セントルイス連銀ブラード総裁など)、E米9月消費者物価指数のインフレ加速、

F米FOMC議事要旨のタカ派的な内容(テーパリングが11月か12月に開始される可能性がある)、G世界的な株価持ち直し(VIX低下→リスク選好ムード→クロス円上昇→ドル円連れ高)、Hテクニカル的な地合いの強さ(短期筋のショートカバーを誘発)、I米新規失業保険申請件数の良好な結果、J米9月小売売上高の力強い結果が支援材料となり、週末にかけて、2018/10/4以来、約3年ぶり高値となる114.46まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/16午前5時00分現在)では、114.23前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1571で寄り付いた後、@欧米金融政策の方向性の違いを背景としたユーロ売り・ドル買い圧力や、Aドイツを巡る政局不透明感、B欧州当局者によるハト派的な発言(レーンECB専務理事や、ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁、ラガルドECB総裁など)、Cテクニカル的な地合いの弱さ、Dドイツ10月ZEW景気期待指数の冴えない結果が重石となり、翌10/12にかけて、昨年7/22以来、約1年3ヵ月ぶり安値となる1.1524まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、E米金利低下に伴うドル売り圧力や、F短期筋のショートカバー、G株式市場の堅調推移(リスク選好のドル売り・円売り)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.1625まで反発しました。週末にかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/16午前5時00分現在)では、1.1605前後で推移しております。

来週の見通し(10/18−10/22)

<ドル円相場>
ドル円は8/4に記録した直近安値108.72をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、約3年ぶり高値となる114.46まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線といった主要チャートポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、更なる上昇を意識させる力強い地合いが続いております。オシレータ系インジケータのRSIに高値警戒(75%レベル)が点灯しているものの、安易な逆張り(ショート造成)には注意が必要と考えられます(バンドウォーク発生時はオシレータ系インジケータの逆張りシグナルが効きづらい)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる早期利上げ観測の高まり(米金利先物市場は来年9月末までの利上げを100%織り込む展開)や、A日銀による金融緩和の長期化観測、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(ドル買い・円売り)、Cリスク回避ムードの後退(世界的な株価持ち直し→リスク選好の円売り再開)、D世界的に広がるインフレ懸念(資源価格上昇→インフレ懸念→新興国から米国への資金シフト)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は中国の主要経済指標(中国9月鉱工業生産、中国9月固定資産投資、中国9月小売売上高、中国第3四半期GDP)や、米国の住宅関連指標(米9月建設許可件数、米9月住宅着工件数、米9月中古住宅販売件数)に加えて、米当局者発言(クオールズFRB理事、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、ボウマンFRB理事、アトランタ連銀ボスティック総裁、ウォーラ―FRB理事、シカゴ連銀エバンス総裁、セントルイス連銀ブラード総裁など)に注目が集まります。中国経済指標や米国経済指標が市場予想を上回る場合や、米当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合には、

「米利上げの前倒し期待」や「来年の複数回の利上げ」を織り込む形で、ドル円にはもう一段強い上昇圧力が加わるものと推察されます。目先は、2017/11/6高値114.74や、2017/3/15高値114.91、心理的節目115.00、2017/3/14高値115.20、2017/3/10高値115.51を試すシナリオを想定いたします(114円台後半から115円丁度までのゾーンはここ数年間、強力なレジスタンスとして機能してきた抵抗帯であるため、上抜けた場合は、中長期筋のロスカットやオプション勢のストップBUYを巻き込みながら、ドル円が一気に急伸する恐れあり)。

来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/3に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1910をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、年初来安値1.1524(昨年7/22以来、約1年3ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。この間、主要チャートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(週末にかけての反発は下落トレンドの過程で見られる一時的な戻り局面と判断)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(金融緩和の長期化が見込まれるECBと早期利上げが織り込まれるFRBとの金融政策格差)や、A欧州当局者による相次ぐハト派的な発言、Bドイツを巡る政局不透明感、C資源価格高騰に伴う欧州経済の先行き不安など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が複数残っています。

こうした中、来週は10/21に予定されているユーロ圏10月消費者信頼感指数や、10/22のユーロ圏10月製造業PMI、ユーロ圏10月サービス業PMIに加えて、複数の欧州当局者発言(フィンランド中銀レーン総裁、パネッタECB専務理事、レーンECB専務理事、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、エルダーソンECB専務理事、オーストリア中銀ホルツマン総裁、イタリア中銀ビスコ総裁など)に注目が集まります。欧州経済指標が冴えない結果を示す場合や、欧州当局者よりハト派的な見解(キーワードは「インフレ圧力は一時的」「緩和的な金融政策が当面必要」)が示される場合などには、欧米金融政策の方向性の違いが改めて意識されることから、ユーロドルには強い下押し圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1500−1.1700

『ドル円は約3年ぶり高値圏へ急伸。心理的節目115円が射程圏内』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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