ドル円見通し 米長期債利回り上昇で111円割れから111.50円前後水準へ持ち直す(21/10/6)

ドル円は10月4日深夜安値で110.81円へ下落し9月30日夜高値112.07円以降の安値を更新したが、その後米長期債利回り上昇を見て持ち直し、深夜高値で111.55円へ上昇した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇で111円割れから111.50円前後水準へ持ち直す(21/10/6)

ドル円見通し 米長期債利回り上昇で111円割れから111.50円前後水準へ持ち直す

〇ドル円、4日深夜110.81へ下落し9/30以降の安値更新するも昨晩高値で111.55へ持ち直す
〇米10年債利回り、原油相場高騰や米連銀利上げ前倒しを背景に10/4から2連騰
〇米株、NYダウ前日比311.75ドル高、ナスダック総合指数は同178.35ポイント高と上昇
〇格付け会社は米国デフォルト懸念に楽観的、仮に発生しても長期化はないとの見方も
〇111円台を維持するうちは上昇余地ありとし、111.75超えからは112を試すとみる
〇111円割れからは4日深夜安値110.81試しとし、底割れからは110.50から110.00を試すとみる

【概況】

ドル円は10月4日深夜安値で110.81円へ下落して4日午前安値を割り込み9月30日夜高値112.07円以降の安値を更新、この間の下げ幅は1.26円となったが、その後は米長期債利回りの上昇を見て持ち直しに入り、深夜高値で111.55円へ上昇、戻り幅は0.74円となり半値戻しを超えてきた。6日の午前序盤も111.50円近辺で確りしている。
米商務省が発表した8月の貿易統計ではモノとサービスを合わせた貿易赤字は前月比4.2%増の732億5200万ドルとなり単月では過去最大となった。景気回復が進んでいることで輸入は前月比1.4%増となり過去最大となった。輸出も0.5%増で2019年5月以来の水準となる良好さだった。ただ、対中赤字は前月比10.8%増の317億3900万ドルで昨年2月以降では最大となっており、中国への不均衡是正圧力が増しそうだ。
米サプライ管理協会(ISM)が発表した9月の米サービス業景況指数は61.9で8月の61.7から上昇して市場予想の60.0を上回った。

【米10年債利回りは連騰の上昇、NYダウ反発でリスク回避感やや後退】

10月5日の米10年債利回りは前日比0.05%上昇の1.53%となった。9月23日未明の米FOMCで11月会合でのテーパリング開始決定の可能性が高まり、利上げ想定時期も従来の2023年から2022年へ前倒しされて2023年には3回の利上げ予想となった。これらを受けて米10年債利回りは直前1.29%台から上昇に転じ、8月以降の上値抵抗帯であった1.38%を超えて9月28日には1.567%まで上昇した。FOMC後の上昇一巡と米連邦債務上限問題が未解決でデフォルトの懸念があるとされたことで低下に転じて29日から10月1日まで4日連続の日足陰線で低下していたが、10月4日からは反転し2連騰となった。
原油相場が高騰する中で物価上昇率を追いかける流れと米連銀による利上げ時期前倒しを意識しての債券売り圧力がかかっていることが利回り再上昇の背景と思われる。米連邦債務上限問題についてはデフォルト懸念での売り圧力もあるが常にぎりぎりでデフォルトは回避されてきたことで強弱感が交錯しているようだ。
10月5日はNYダウが前日比311.75ドル高、大幅下落が続いてきたナスダック総合指数も同178.35ポイント高と上昇したために株買い債券売りによる利回り上昇という側面も見られた。

1.50%台を回復したことで9月28日の1.567%を超えて一段高へ進む可能性も出てきているが、英独の長期債利回りも上昇しているために米長期債利回り上昇=ドル全面高とはならないものの、ドル円に限れば株高ならリスク回避感もやや後退気味となるので日米金利差を意識してドル高円安へと反応しやすい。

【格付け会社は米国のデフォルト懸念に楽観的】

格付け会社ムーディーズは10月5日に米国のデフォルトはないだろうとの予想を示し、現在の米格付けは「Aaa」、格付け見通しは「安定的」とした。イエレン米財務長官は債務上限が引き上げられなければ政府資金が10月18日に枯渇するとしており、米政府は10月15日に40億ドル、11月1日に140億ドル、11月15日に490億ドルの利払いがある。仮にムーディーズの楽観的判断が否定されてデフォルト発生となれば米国債は格下げされるが、デフォルトが長期化することはなく元の状況に早々に回復するだろうとみられている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月30日夜高値を起点として弱気サイクル入りしたが、10月4日深夜安値からの反騰を継続して4日夜高値を上抜いたため、4日深夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。30日夜高値を基準とすれば高値形成期は10月5日夜から7日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にはあるが、111円台を維持するうちは上昇余地ありとして30日夜高値をもう一度試す流れと考える。ただし、111円割れからは下げ再開を警戒、10月4日深夜安値110.81円割れからは新たな弱気サイクル入りとして7日夜から11日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月5日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきているので遅行スパン好転中の高値試し優先とみる。ただし先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は5日夜の上昇で70ポイントを超えた後も60ポイント以上で推移しているのでまだ上昇余地ありとするが、5日深夜高値を超える際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落開始を警戒し、50ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.00円を下値支持線、111.75円を上値抵抗線とする。
(2)111円台を維持するうちは上昇余地ありとし、111.75円超えからは112円を試すとみる。112円前後は反落警戒とし、9月30日夜高値とのダブルトップ形成からの下落注意とみる。112円を超えてさらに続伸してゆくには週末の米雇用統計を強気で通過する必要があると考える。
(3)111円割れからは10月4日深夜安値110.81円試しとし、底割れからは110円台前半(110.50円から110.00円)を試すとみる。110.25円以下は反発注意とするが、111円を割り込んでの推移なら7日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/6(水)
休場 中国
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 3.4%、予想 -2.1%)
15:00 (独) 8月 製造業新規受注 前年同月比 (7月 24.4%、予想 16.4%)
17:30 (英) 9月 建設業PMI (8月 55.2、予想 54.0)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -2.3%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 3.1%、予想 0.4%)
21:15 (米) 9月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (8月 37.4万人、予想 42.8万人)
22:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計

10/7(木)
休場、中国
06:30 (豪) 9月 AiGサービス業PMI (8月 45.6)
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI速報 (7月 104.1、予想 101.9)
14:00 (日) 8月 景気一致指数CI速報 (7月 94.4、予想 91.5)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.0%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 5.7%、予想 5.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 36.2万件、予想 34.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 280.2万人、予想 279.0万人)
22:00 (欧) レーンECB理事、講演
22:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
24:45 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会参加
28:00 (米) 8月 消費者信用残高 前月比 (7月 170.0億ドル、予想 180.0億ドル)


※ポイント要約は編集部

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