ドル円見通し 7月2日高値に迫る、米長期債利回り続伸でドル全面高の様相(21/9/29)

ドル円は9月28日夜高値で111.63円を付けて7月2日に付けた年初来高値111.65円に迫った。

ドル円見通し 7月2日高値に迫る、米長期債利回り続伸でドル全面高の様相(21/9/29)

ドル円見通し 7月2日高値に迫る、米長期債利回り続伸でドル全面高の様相

〇ドル円、9/28夜高値111.63をつけ、7/2の年初来高値111.65に迫る
〇米長期債利回り4連騰、金利差を背景にドル円買い進まれる動きも
〇米10年債利回り1.54%で終了、米2年債利回りは一時0.32%まで上昇し年初来高値を更新
〇NYダウとナスダック大幅続落、株安によるリスク回避的ドル高進行の可能性も
〇111.22以上での推移中は上昇余地ありとし、111.65超えからは7/2高値更新112を目指す流れとみる
〇111.22割れから111.00試し、111.00割れから続落の場合110円台中盤を目指す調整期入りとみる

【概況】

ドル円は9月28日夜高値で111.63円を付けて7月2日に付けた年初来高値111.65円に迫った。高値更新に至らずにいったん利益確定売りに圧されて深夜には111.22円まで小反落したが29日未明には111.61円を付け、その後も111.50円を挟んだ高値圏を維持して年初来高値更新を伺う展開。
28日は米長期債利回りが4連騰、欧州主要国の長期債利回りも上昇したがダウ先物が午後から下落に転じてNYダウも大幅下落したことでのリスク回避感も重なってユーロやポンド、豪ドル等が下落してドル全面高の様相となり、ドル円は日米長期金利差を意識して買い進まれた。

【米10年債利回りは一時1.56%台へ続伸、米2年債利回りも0.30%を超える】

9月28日の米10年債利回りは前日比0.05%上昇の1.54%で終了、高値では1.56%台を付けた、30年債利回りも0.09%上昇の2.09%、2年債利回りは一時0.32%まで上昇して年初来高値を更新、前日比0.02%上昇の0.30%で終了した。
9月23日未明の米FOMCによる利上げ想定時期の前倒しから米長期債利回りは連騰に入っているが、利上げ時期に敏感な2年債利回りは21日から6連騰、10年債利回りも23日から4連騰で勢い付いている。28日は独英や南欧主要国の長期債利回りも上昇したが、米長期債利回りの上昇に対する反応が優先されてドル高となり、ユーロドルは23日早朝安値を割り込んで9月3日以降の最安値を更新、ポンドドルも28日午前までは高止まりしていたものの24日早朝安値を割り込んで大幅下落に見舞われている。南アランド、メキシコペソ、トルコリラ等も総じて28日夜へ安値を更新しており、新興国通貨への売り圧力も高まっている。

米連銀の利上げ姿勢についてはセントルイス連銀のブラード総裁が28日のインタビューで「高インフレへの懸念を踏まえれば2022年に2回の利上げを行うことも含めてより積極的な金融引き締めが必要となる可能性がある」と述べたと報じられた。一方で上院での議会証言を行ったパウエル米連銀議長は「利上げを開始する基準についてはテーパリング着手よりもハードルが大幅に高い」と述べて市場の利上げを意識した動きをけん制したが、「インフレについては一部で一段と悪化した」と述べてインフレ抑制への姿勢も強調している。

【NYダウは5日ぶり反落、ナスダック続落、株安によるリスク回避的ドル高進行の可能性も】

9月28日のNYダウは前日比569.38ドル安と大幅下落した。前日までは4営業日連騰だったが5日ぶりの反落としては下げ幅が500ドル安を超える大きな日足陰線での下落となり、9月20日からの戻り一巡による下げ再開も警戒される動きだ。ナスダック総合指数は前日比423.29ポイント安と大幅続落して9月7日の史上最高値以降の終値ベースでの安値を更新した。米財務上限問題の期限が30日に迫っていること、米長期債利回りの上昇への警戒感等が背景にある。米住宅指標の発表内容は概ね良好だったもののコンファレンスボードの消費者信頼感指数の低下も売り材料とされた。
株安が深刻化し始める場合はリスク回避的な投機通貨売りの動きが強まってユーロやポンド等のメジャー通貨と共に豪ドルや南アランド等の資源通貨も売られてドル全面高へなびきやすくなる。

イエレン米財務長官は28日の上院銀行委員会公聴会での証言で、連邦債務上限引き上げ問題に対して「10月18日までに債務上限の引き上げか、もしくは上限適用の凍結が決定されなければ10月18日時点から米財務省には非常に限られたリソースしか残らずにすぐに枯渇する見通し」と述べた。米債務上限問題はこれまで何度も繰り返されて期限まで揉めても結局は引き上げで決着してきたが、政権交代後の共和党の反対姿勢も強硬のためにもつれる見通しだ。米上院共和党は28日に連邦政府債務上限を2022年末まで適用停止とする法案の採決を阻止している。

米連邦住宅金融局(FHFA)による7月の全米住宅価格指数は前年同月比19.2%上昇して過去最高の上昇率となったが、前月比は1.4%上昇で6月の1.7%上昇から鈍化した。S&Pケース・シラー全米住宅価格指数も前年同月比19.7%上昇で過去最高の伸びとなったが、前月比は1.5%上昇で市場予想の1.7%上昇には届かなかった。
米コンファレンス・ボードが発表した9月の消費者景気信頼感指数は109.3となり市場予想の114.5を大幅に下回り8月の115.2から悪化した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月15日夜安値と22日午前安値をダブルボトムとして上昇期に入ってきたが、27日昼へいったん小反落してから一段高したために28日午前時点では27日昼安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクルに入っているとし、高値形成期を29日深夜から2日未明にかけての間と想定した。28日夜へ一段高した後も高値圏を維持しているので引き続きトップ形成中とし、弱気転換は111円を割り込むような反落発生からとする。

60分足の一目均衡表では23日未明のFOMC後の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも突破したが、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は先行スパンへ潜り込むところからとし、先行スパンを上回っての推移が続くうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。
60分足の相対力指数は24日午後から28日夜への高値切り上げに足して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるものの27日昼の50ポイント割れから餅度しているため上昇継続とみる。弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月28日夜反落時の安値111.22円を下値支持線、7月2日高値111.65円を上値抵抗線とする。
(2)111.22円以上での推移中は上昇余地ありとし、111.65円超えからは112円を目指す流れとみる。111.80円以上は反落警戒とするが、28日夜安値を割り込まないうちは30日にかけても高値試しを続けやすいとみる。
(3)111.22円割れからは連騰一巡による反落期入りの可能性を経過して111.00円試しとする。111円前後は押し目買いされやすいとみるが、111円割れから続落の場合は110円台中盤(110.70円から110.30円)を目指す調整期に入るとみる。

【当面の主な予定】

9/29(水)
自民党総裁選、投開票
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 2.2%、予想 1.2%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 15.0%、予想 16.1%)
17:30 (英) 8月 消費者信用残高 (7月 -0.4億ポンド、予想 3億ポンド)
17:30 (英) 8月 マネーサプライM4 前年同月比 (7月 6.0%)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感確定値 (速報 -4.0、予想 -4.0)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 117.5、予想 116.9)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 -1.8%、予想 1.4%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 -9.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (欧) レーンECB理事、ECBフォーラム発言
24:45 (欧) ベイリー英中銀総裁、黒田日銀総裁、ラガルドECB総裁、、パウエルFRB議長、パネル討論会
27:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

9/30(木)
米国会計年度末、10月1日以降の政府機関閉鎖回避への暫定予算案可決期限
07:45 (NZ) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 2.1%)
08:50 (日) 8月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (7月 11.6%、予想 12.1%)
09:00 (NZ) 9月 NBNZ企業信頼感 (8月 -14.2)
10:00 (中) 9月 国家統計局製造業PMI (8月 50.1、予想 50.2)
10:00 (中) 9月 国家統計局サービス業PMI (8月 47.5)
10:30 (豪) 8月 住宅建設許可件数 前月比 (7月 -8.6%、予想 -4.0%)
10:45 (中) 9月 財新製造業PMI (8月 49.2、予想 49.5)
14:00 (日) 8月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (7月 9.9%、予想 10.0%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 4.8%、予想 4.8%)
15:00 (英) 4-6月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 22.2%、予想 22.2%)
15:00 (英) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -128億ポンド、予想 -157億ポンド)
16:10 (日) 黒田東彦日銀総裁、全国証券大会挨拶

16:55 (独) 9月 失業者数 前月比 (8月 -5.30万人、予想 -3.50万人)
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 5.5%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 8月 失業率 (7月 7.6%、予想 7.5%)
21:00 (独) 9月 消費者物価指数速報値 前月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
21:00 (独) 9月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (8月 3.9%、予想 4.2%)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 35.1万件、予想 32.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 284.5万人、予想 281.5万人)
21:30 (米) 4-6月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 6.6%、予想 6.7%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 11.9%、予想 11.9%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 6.1%、予想 6.1%)
22:45 (米) 9月 シカゴ購買部協会景況指数 (8月 66.8、予想 65.0)
23:00 (米) 米下院、FRBと財務省の新型コロナに関する公聴会
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
24:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
25:30 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、オンライン質疑参加
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 4.50%、予想 4.75%)
28:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論会参加


※ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る