ドル円見通し 米長期債利回り上昇を見て4日連続陽線で続伸、111円台到達(21/9/28)

ドル円は9月27日夜高値で111.06円をつけて7月5日以来の111円台に到達した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇を見て4日連続陽線で続伸、111円台到達(21/9/28)

ドル円見通し 米長期債利回り上昇を見て4日連続陽線で続伸、111円台到達

〇ドル円、9/27夜高値111.06をつけ、7/5以来の111円台到達
〇米長期債利回りの連騰を背景に、日足は4日連続陽線
〇米10年債利回り一時1.50%台に上昇、米2年債利回りは6月ピーク時を超え0.28%に
〇国際原材料相場の上昇が物価上昇を招き、インフレ警戒感が金融政策を引き締めへと変え始めている
〇110.70以上での推移中は上昇余地ありとし、111.15超えからは7/2高値111.65を目指す流れとみる
〇110.52円割れからはいったん調整安に入るとみて、110.25から110.00を試す流れとみる

【概況】

ドル円は9月27日夜高値で111.06円をつけて7月5日以来の111円台に到達した。
9月22日午前安値で109.11円をつけて9月15日夜安値109.09円に迫ったものの底割れを回避してダブルボトムとし、9月23日未明の米FOMCが11月会合でのテーパリング(量的緩和縮小)着手の可能性を示唆してFOMCメンバーによる利上げ予想時期を2022年内に前倒ししたことをきっかけに上昇に入り、9月23日夜の米長期債利回りの上昇で110円到達、さらに米長期債利回りの連騰による押し上げが続いて先週末の25日未明には110.79円をつけて8月11日高値と同値としていた。27日は昼に110.52円まで小反落したものの押し目買いされて一段高に入った。
日足は4日連続の陽線となり、9月22日午前安値から27日夜高値までの上昇幅は1.95円となり、9月15日夜と22日午前の安値によるダブル底間の値幅の倍返しに到達した。

【米10年債利回りは1.50%台へ続伸、米2年債利回りは6月のピークを超える】

米FOMCによる利上げ想定時期の前倒しを受けて米長期債利回りは23日から連騰している。米10年債利回りは27日に前日比0.03%上昇の1.49%だったが、8月の米耐久財受注が予想を大幅に上回った局面では1.51%まで上昇、6月以来の高値水準となった。米30年債利回りも0.01%上昇で2.00%に到達した。米2年債利回りは0.01%上昇の0.28%で6月ピーク時の0.26%を超えた。

米長期債利回りの上昇と共に独英等の長期債利回りも上昇しているため、ユーロドルは下落したものの23日早朝安値割れを回避してやや下げ渋り、ポンドドルは24日夜へ下げたところからやや持ち直すなどドルストレートにおけるドルの強弱はまちまちだったが、ドル円としては日米長期金利差を反映して上昇が勢い付いた印象だ。
NYダウは前日比71.37ドル高と上昇、22日から4連騰となった。一方でハイテク株中心のナスダック総合指数は同77.73ポイント安と続落した。ダウは景気回復継続期待を優先、ナスダックは長期債利回り上昇を嫌気したことで明暗が分かれている。
米商務省が発表した8月の耐久財受注は前月比1.8%増となり市場予想の0.7%増を上回った。7月も0.5%増へ上方修正された。航空機を除く非国防資本財受注は0.5%増で市場予想の0.4%を上回った。

【物価上昇対策としての利上げ時期接近感】

米長期債利回り上昇は最近の物価上昇の上ブレが続くリスクを反映している。NY原油は27日に前日比1.47ドル高と上昇して高値では75.75ドルを付けて7月8日に付けた昨年4月底以降の高値76.98ドルに迫っている。NY原油よりも指標性の高いロンドンの北海ブレント原油は27日に79.90ドルを付けて昨年4月以降の最高値を更新している。まだパンデミック前の水準を回復したに過ぎないが、コロナショックからの回復時における需給ギャップとデルタ株感染拡大によるサプライチェーンの根詰まり及び国際原材料相場の上昇が物価上昇を招いており、インフレ警戒感が主要国中銀の金融政策を緩和から引き締めへと変え始めている。
パウエル議長は9月28日に上院銀行委員会で証言を行うが、証言テキストが公開され「インフレ上昇が深刻な脅威となれば金融引き締めなどで確実に対応する」とした。英中銀も物価上昇が続くようだと量的緩和の終了を待たずに利上げする可能性があるとの姿勢を示している。物価上昇の上ブレが収まらないうちは米長期債利回りも続伸しやすく、ドル円への押し上げも続きやすい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月15日夜安値と22日午前安値をダブルボトムとして上昇期に入ってきた。27日昼へいったん小反落してから一段高に入っているため、22日午前安値から3日目となる27日昼安値を直近のサイクルボトムとし、高値更新により新たな強気サイクル入りしていると思われる。高値形成期は29日深夜から2日未明にかけての間と想定されるので、27日昼安値を割り込まないうちは上昇余地ありとみる。

60分足の一目均衡表ではFOMC後の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも突破したが、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は先行スパンへ潜り込むところからとし、先行スパンを上回っての推移が続くうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。
60分足の相対力指数は24日午後から27日夜への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられたが、27日昼に50ポイントを割り込んだ処から切り返しているため50ポイント以上での推移中は逆行をブレイクしての上昇余地ありとみる。50ポイント割れから続落の場合はいったん調整安に入りやすいと注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月27日昼安値110.52円を下値支持線、111.15円を上値抵抗線とする。
(2)110.70円以上での推移中は上昇余地ありとし、111.15円超えからは7月2日高値111.65円を目指す流れとみる。111.50円以上は反落警戒とするが、27日昼安値を割り込まないうちは29日にかけても高値試しを続けやすいとみる。
(3)110.70円から110.55円にかけては押し目買いされやすい水準とみるが、110.52円割れからはいったん調整安に入るとみて110円台序盤(110.25円から110.00円)を試す流れとみる。110.25円以下は買い拾われやすい水準とみるが27日昼安値を割り込んでからも110.50円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/28(火)
ECBフォーラム(9/29まで、オンライン)
10:30 (豪) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -2.7%、予想 -2.5%)
15:00 (独) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -1.2、予想 -1.6)
21:00 (欧) ラガルドECB総裁、ECBフォーラム開催
21:30 (欧) デギンドスECB総副裁、ECBフォーラム参加
21:50 (英) マン英中銀委員、講演
22:00 (米) 7月 米連邦住宅金融局(FHFA) 住宅価格指数 前月比 (6月 1.6%、予想 1.5%)
22:00 (米) 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (6月 19.1%、予想 20.0%)

23:00 (米) 9月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (8月 113.8、予想 114.5)
23:00 (米) 9月 リッチモンド連銀製造業指数 (8月 9、予想 10)
23:00 (米) パウエルFRB議長、イエレン財務長官、上院銀行委員会出席
24:00 (欧) シュナーベルECB理事、ECBフォーラム参加
26:00 (米) 財務省7年債(620億ドル)入札
26:40 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:30 (米) イエレン米財務長官、講演
28:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

9/29(水)

自民党総裁選、投開票
08:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
17:30 (英) 8月 消費者信用残高 (7月 -0.4億ポンド、予想 3億ポンド)
17:30 (英) 8月 マネーサプライM4 前年同月比 (7月 6.0%)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感確定値 (速報 -4.0)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 117.5)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 -1.8%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 -9.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
23:30 (欧) レーンECB理事、ECBフォーラム発言
24:45 (欧) ベイリー英中銀総裁、黒田日銀総裁、ラガルドECB総裁、、パウエルFRB議長、パネル討論会
27:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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