続伸期待強い、ドルの年初来高値も意識(週報9月第4週)

先週のドル/円相場は、ドル買い優勢。9月高値の110.45円をしっかりと上抜けただけでなく、一時8月高値110.80円に面合わせする局面も。

続伸期待強い、ドルの年初来高値も意識(週報9月第4週)

続伸期待強い、ドルの年初来高値も意識

〇先週のドル円、週末に週間高値の110.79を示現、ドル高値圏を維持したまま越週
〇22日FOMCで利上げ開始時期前倒しの示唆あり、ドル買い安心感が台頭
〇市場の中国恒大リスクに対する過度の楽観傾斜は要注意か
〇今週発表予定の米重要指標、4-6月期GDP確定値、9月ISM製造業景況指数に要注目
〇ドル安・円高方向は110.30-40や110.00-10が目先のサポート、割り込めば109.11が視界内に
〇今週のドル円予想レンジ109.50-112.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル買い優勢。9月高値の110.45円をしっかりと上抜けただけでなく、一時8月高値110.80円に面合わせする局面も。

前週末は、米英豪による新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」創設をめぐり、フランスが激怒したとの報道が話題に。一方、19日に投票が締め切られたロシア総選挙はプーチン政権与党が議席を減らすものの、第1党を維持する見通しと報じられていた。
そうした状況下、ドル/円は109.90-95円で寄り付いたのち、当初は下値を探る展開。週間安値の109.12円まで一時値を下げている。しかし下値を攻め切れず、ドルは反発に転じると一転して上値を試す展開に。注視されていた米FOMCで利上げ開始時期の前倒しが示唆されたことなどもあり、日米金利差が拡大しドル高・円安を後押ししていた感も否めない。ドル/円は週末に週間高値の110.79円を示現、NYはそのまま110.70円台のドル高値圏を維持したまま取引を終え越週している。
なお、先週はドル/円以外も円は冴えず、さながら全面安の様相。ユーロ/円やポンド/円、カナダ/円なども週間を通した最高値圏で取引を終えていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「北朝鮮情勢」と「中国恒大危機」について。
前者は、EUに断りなく行った米英豪3ヵ国による「AUKUS」創設ならびに、豪州によるフランスとの潜水艦契約破棄が欧米間の亀裂を生み、大きな禍根を残す結果となった。当事者であるフランスは、当初「米豪からの大使召還」を表明するなど頑なな態度を表明。そののち、米仏首脳や英仏首脳による電話会談などが実施され、若干のスタンス緩和はうかがえるものの、周辺国であるドイツなどを巻き込む格好で、米国や英国に対する不信感は完全に払拭できているわけではなさそうだ。さらなる歩み寄りは見られるのか、今週以降も動静には要注意。

対して後者は、これまでも一部で話題を集めていた「中国恒大の債務危機」が先週初めに鮮明化した感があり、米株を中心とした金融市場全般の波乱要因に。23日や29日に予定されている利払い期日をにらみつつ、資金繰りに苦戦しているとの見方からデフォルト懸念も急台頭したようだ。ちなみに、23日だけでドル建て社債の利息8350万ドルと人民元建て社債の利息2億3200万元を支払う必要があり、元建て社債の利払いについては履行すると表明したものの、ドル建て部分は明言せず。また、ブルームバーグは「恒大のドル建て債保有者、23日期限の利払いを受け取っていない」などと報じていたものの、30日間の執行猶予がありデフォルトが先送りされていることが何故か安心感に繋がると、根拠の乏しい楽観論も台頭していた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は22日に109.12円まで値を下げ、レンジ下限に面合わせするも割り込めず下値トライが失敗に終わるなか、週末に掛けてはドルが逆行高。その過程のなかで、9月高値110.45円を超えただけでなく、8月高値110.80円に面合わせしている。レポートしてきたように、昨年来の相場は「ダマシ」が多く、前記したように110.80円を超えられなかったことも気掛かり。ただ、素直に考えてリスクは上向きで、110.80円をしっかり超えれば7月5日以来となる111円台乗せがいよいよ現実のものとなりそうだ。
マーケットで、もっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうしたなか22日のFOMCで利上げ開始時期の前倒し示唆もあり、市場ではドル買い安心感も台頭している。発表される米経済指標や要人発言などに一喜一憂しつつも、ドル高の流れそのものは今週も基本的には継続か。しかし、個人的には先で取り上げた「中国恒大リスク」について、不自然なほど楽観に傾斜していることに注意を払いたい。29日に再び迎える利払いをめぐり、またぞろドル売りが優勢となるような展開となる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は完全に抜けきったわけではないが、110.80円を上限とした過去2ヵ月半にも及ぶレンジ上放れが現実のものとなってきた。しっかり超えれば、111.66円の年初来高値が名実ともに視界内に。また、それも超えてくるようだと112円台回復、昨年高値112.22円がターゲットとして意識されそうだ。
ただ、ドルの上抜けが失敗に終わった場合には基調一変。加速度を付けて下落する展開もありそうで、109.11円をめぐる攻防に要注意か。

材料的に見た場合、中長期的には、TPPへの加盟申請など材料に事欠かない「中国情勢」や、菅首相の後任が事実上決定する29日の自民党総裁選を中心とした「日本の政局」、「新型コロナウイルス変異種」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、4-6月期のGDP確定値や9月のISM製造業景況指数といった重要な米経済指標が連日発表されるほか、FRB議長や米財務長官が上院銀行委に出席するなど米当局者らの発言機会も相次ぐ。指標や要人発言に一喜一憂、乱高下をたどるなど荒い値動きにも注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.00円。ドル高・円安については、先週超えられなかった高値110.80円をめぐる攻防にまず注視。超えればいよいよ111円乗せ、現実的なメドとしては111.66円が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗だった110.30-40円や110.00-10円などが目先のサポート。それらを割り込むと安値109.11円が再び視界内に。ただ大崩れは取り敢えず予想しにくい。

続伸期待強い、ドルの年初来高値も意識

ドル円日足


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