来週の為替相場見通し:『米利上げ観測台頭と中国リスク後退で上昇トレンド再開』(9/25朝)

ドル円は週末にかけて、約1ヵ月半ぶり高値となる110.79まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『米利上げ観測台頭と中国リスク後退で上昇トレンド再開』(9/25朝)

『米利上げ観測台頭と中国リスク後退で上昇トレンド再開』

〇今週のドル円、中国恒大集団のデフォルト懸念、米長期金利の低下に週央にかけ109.12まで下落
〇その後恒大集団が利払いを実施するとの報道からリスク回避ムードが後退
〇FOMCのタカ派的内容からの米長期金利急上昇も加わり、週末にかけ110.79まで急伸
〇ユーロドル1.1683-1.1756で方向感に欠ける動き
〇ドル円109.10のサポートラインをボトムに反発に転じ、主要テクニカルポイントを上抜け地合い好転
〇ファンダメンタルズも米金融政策の不透明感後退等ドル円上昇意識させる材料増える
〇来週の予想レンジ(USDJPY):109.50ー111.75、来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1825

今週のレビュー(9/20−9/24)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初109.97で寄り付いた後、@中国の不動産大手チャイナ・エバーグランデ・グループ(中国恒大集団)を巡るデフォルト懸念(中国恒大集団は少なくとも2つの銀行に対して支払いが遅れたとの一部報道)や、A上記@を背景とした世界的なリスクオフ到来(リスク回避のドル買い圧力→クロス円急落→ドル円連れ安)、B米金利低下に伴うドル売り圧力(安全資産の米債買い→米10年債利回りが一時1.29%へ急低下)、C米FOMCを控えた警戒感が重石となり、週央にかけて、9/15以来、約1週間ぶり安値となる109.12まで下落しました。しかし、9/15に記録した直近安値109.11をバックに下げ渋ると、

D中国恒大集団の子会社である恒大地産による9/23の利払いを実施するとの一部報道(デフォルト懸念の後退)や、E上記Dを背景としたリスク回避ムードの後退(株式市場持ち直し→リスク選好の円売り再開)、F米FOMC(連邦公開市場委員会)におけるテーパリングの事前告知(声明文で資産購入ペースの減速が近いうちに正当化される可能性があると記載 “If Progress continues broadly as expected, the Committee judges that a moderation in the pace of asset purchases may soon be warranted”)、G米利上げの前倒し観測(ドットチャートで、2022年末時点の利上げ予想者が6月時点の7人から9人に増加、2023年末時点の利上げ予想者が6月時点の13人から17人に増加)、

HパウエルFRB議長によるタカ派的な発言(テーパリングの終了は2022年半ば頃が適切となる可能性あり)、I上記FGHを背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは1.46%へ急上昇)が支援材料となり、週末にかけて、8/11以来、約1ヵ月半ぶり高値となる110.79まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/25午前6時00分現在)では、110.74近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週を通して方向感に欠ける値動きとなりました(週間値幅はわずか73pips)。週初1.1732で寄り付いたユーロドル相場は、週央にかけて(米FOMC直後に)週間高値1.1756まで上値を伸ばすも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@米FOMCで資産購入ペースの減速が近いうちに正当化される可能性が発表されたこと(米早期テーパリング観測の高まり)や、Aドットチャートで米早期利上げ観測が高まったこと、BパウエルFRB議長より「テーパリングの終了は2022年半ば頃が適切となる可能性がある」との見解が示されたこと、C上記@ABを背景とした米長期金利の急上昇(欧米金融政策格差)、

Dドイツを巡る政局不透明感、E心理的節目1.1700を割り込んだことに伴う短期筋のストップSELLが重石となり、週後半にかけて、週間安値1.1683(8/20以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、F中国恒大集団を巡るデフォルト懸念が後退すると、G欧米株の持ち直し(リスク選好ムード再開)を背景にユーロドルも反発し、本稿執筆時点(日本時間9/25午前6時00分現在)では、1.1719近辺で推移しております。

来週の見通し(9/27−10/1)

<ドル円相場>
ドル円は強力なサポートレベルとして市場参加者に意識されている109.10ライン(8/16以降、計4度に亘り止められているサポート水準。8/16安値109.11→8/17安値109.12→9/15安値109.11→9/22安値109.12)をボトムに反発に転じると、週末にかけて、約1ヵ月半ぶり高値となる110.79まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、雲上下限を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転(レンジ相場からの上放れ)を印象付けるチャート形状となりつつあります。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米金融政策を巡る不確実性が後退したこと(次回11月のFOMCでテーパリング宣言→12月FOMCでテーパリング開始→来年半ば頃にテーパリング終了→来年末までに利上げ開始といった市場コンセンサスが確立)や、A中国恒大集団を巡るデフォルト懸念が幾分後退したこと(仮に中国恒大集団がデフォルトしたとしても、グローバル経済への影響は限定的との見方。黒田BOJ総裁、パウエルFRB議長共に本件は中国固有の問題との認識を発表済み)、B日米金融政策格差(金融政策正常化に向けて大きな一歩を踏み出した米国と、金融緩和脱却の糸口を掴めない日本との金融政策格差)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米8月PCEデフレータや米9月ISM製造業景気指数の他、米当局者発言(パウエルFRB議長や、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、シカゴ連銀エバンズ総裁、ブレイナードFRB理事、ボウマンFRB理事、アトランタ連銀ボスティック総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、クリーブランド連銀メスター総裁など、複数の当局者発言が予定)や、本邦の自民党総裁選(9/29)などに注目が集まります。米経済指標が市場予想を上回る結果を示す場合や、米当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合、中国恒大集団を巡る警戒感がもう一段和らぐ場合などには、ドル円が心理的節目111.00を突破し、7/2に記録した年初来高値111.67を試すシナリオも想定されることから、来週はアップサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(米金利上昇に伴うドル高と、株高を背景としたリスク選好の円売りの組み合わせ)。

来週の予想レンジ(USDJPY):109.50ー111.75

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/3に記録した約1ヵ月ぶり高値1.1910をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.1683(8/20以来)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象づけるチャート形状となりつつあります(一目均衡表の雲がレジスタンスとして機能している為、余程強いユーロ買い材料が出てこない限り、ユーロドルの上値余地は限定的。また、来週は週後半にかけて遅行線が26日前のローソク足を下抜ける可能性が高いことから、強い売りシグナルを示唆する三役逆転の再点灯にも要警戒)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ECBによる金融緩和の長期化姿勢や、A欧州経済を巡る先行き不透明感、Bドイツを巡る政局不透明感(9/26に予定されている独連邦議会選挙で中道左派の野党SPDが勝利を収める公算大)、C欧米金融政策の方向性の違い(金利策正常化に向けて大きな一歩を踏み出した米国と、金融緩和の長期化姿勢を維持する欧州との金融政策格差)など、ユーロドルの下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は9/26に予定されているドイツ議会選挙(日本時間9/27午前1時頃に出口調査の結果が公表される可能性あり)や、10/1のユーロ圏9月消費者物価指数、欧州当局者発言(ラガルドECB総裁、デギンドスECB副総裁、パネッタECB専務理事、シュナーベルECB専務理事、レーンECB専務理事など)に注目が集まります。欧州経済指標が市場予想を下回る場合や、欧州当局者よりハト派的な発言が報じられる場合などには、欧米金融政策の方向性の違いが改めて意識されることから、ユーロドルには強い下押し圧力が加わると予想されます。ドイツ議会選挙や中国恒大集団を巡るヘッドラインを睨みながらも、来週はダウンサイドリスクに注意を要する一週間となりそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1600−1.1825

注:ポイント要約は編集部

『米利上げ観測台頭と中国リスク後退で上昇トレンド再開』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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