ドル円 下値トライまた失敗、リスクは再び上向きか
〇ドル円109円台後半で値幅20ポイントほど
〇中国恒大集団は人民元建て利払い履行で即時デフォルトは回避相場の下支えに
〇ドル円昨日109.12でレンジ下限に面合わせするも下値トライに失敗
〇FOMCは次回会合テーパリング開始を示唆、利上げ開始予想も前倒しされドル売りにくいか
〇欧米時間のドル円予想レンジ109.50-110.40、110円をめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
23日の東京市場はドルが小じっかり。ただ、本日も110円にはとどかず、近くて遠い存在だった。
ドル/円は、寄り付いた109.75円前後を日中安値にドルが底堅く推移。東京休場のなか売買も手控えられ気味で、上値を積極的に買っていくまでには至らず頭も重い。110円にとどくことはなく、値幅も20ポイントほどにとどまっている。16時現在、ドル/円は109.85円前後で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「中国恒大危機」と「台湾のTPP加入申請」について。
前者、中国不動産開発大手の中国恒大集団は23日、社債2本の利払い期日を迎えたことが市場の関心を集める。23日だけで、ドル建て社債の利息8350万ドルと人民元建て社債の利息2億3200万元を支払う必要があり、元建て社債の利払いについては履行すると表明したものの、ドル建て部分は明言していない。つまり後者について、依然として不透明感が漂うも、ドル建て債には30日の猶予期間があり即デフォルトとはならずに、それが取り敢えずは相場の下支えになっていたようだ。
対して後者は、16日に中国が「TPP加入申請」を行ったことが話題となったが、それに続き今度は台湾が「TPP加入申請」を行った。すると早速、中国共産党系の環球時報は「台湾の動きは中国に対する撹乱だ」としたうえで、加入阻止の構えを明らかにしている。ただ、中国を除くと反応はそれほど悪くなく、カナダ外務省から好感触を得られたうえ、日本も茂木外相が「歓迎したい」と発言していたようだ。ちなみに、茂木氏は中国による加盟申請の際、「歓迎」との表現は使っておらず、温度差がうかがえるとの指摘も。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日東京で109.12円まで値を下げ、レンジ下限に面合わせするも割り込めず。そののち、一転して上値を試す展開となり、今度は110円超えをうかがう様相を呈している。つまり、ドルは下値トライが今回も失敗に終わるなか、足もとは逆にレンジの上放れが意識されている。今週最大の注目材料である米FOMCをすでにこなしたなか、110.45円というレンジの上限を超えていけるのかに注目だ。
米ファンダメンタルズならびに金利動向への関心が高いという状況は変わらないが、後者について、昨日のFOMCで次回11月会合でのテーパリング開始が示唆されただけではなく、利上げ開始時期が従来の2023年から2022年中へと前倒しされている。これからすると、ドルを積極的には売りにくいのかもしれない。ただ、若干気掛かりなのは先でも触れた「中国恒大危機」。昨日、パウエルFRB議長も「米国には直接的なエクスポージャーがほぼない」としつつも、「世界の金融環境に影響を与える可能性はある」と述べていた。続報などには引き続き要注意だろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円は引き続き109.11-110.45円というレンジ内での往来相場。上かと思うと下、下かと思うと上というなかなか厄介な値動きをたどっている。
そうした状況下、足もとは下値トライが失敗するなか、110円超えをうかがう様相で素直に考えればリスクは上方向だが、果たして本当だろうか。再び上抜け失敗にともない下値模索、などという展開をたどる可能性もゼロではない。
材料的に見た場合、中長期的には、「台湾TPP加盟申請」への反応や対抗策が注視されている「中国情勢」のほか、29日の自民党総裁選が上位2名による決選投票不可避との報道も観測されている「日本の政局」、「新型コロナ関連」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、8月のシカゴ連銀全米活動指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される見込みだ。昨日、米利上げの前倒しがFOMCにて示唆されただけに、それを補強できるような強めの指標内容を期待する声もある。また、それ以外、英中銀はじめトルコや南ア中銀による金融政策の結果発表なども一部で注目されていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.50-110.40円。昨日そして本日も取りあえず超えられていない110円をめぐる攻防にまずは注目。上抜ければ110.08円や110.16円、そして110.45円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、109.70円前後がサポートとして育ちつつあるようだ。下回れば109円半ば、そして109.11円レベルを目指す。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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