FOMC注目だが、それ以外にも材料多く波乱も(週報9月第3週)

先週のドル/円相場は、結局「行って来い」。一時ドル下値を試すも攻めきれず、週末に掛けては下げた分をほぼすべて取り戻す「全戻し」の様相だった。

FOMC注目だが、それ以外にも材料多く波乱も(週報9月第3週)

FOMC注目だが、それ以外にも材料多く波乱も

〇先週のドル円、週半ばに109.11まで下落するも、再び反転し110円台を回復
〇米8月消費者物価指数、予想に届かずドル売りへ傾斜、その後、小売売上高好調でドル買戻しを誘発
〇22日のFOMC、テーパリングを今回は見送り11月に開始という見方が市場で有力
〇今週のドル/円予想レンジは、109.00-111.00
〇ドル安・円高方向は109半ばが引き続き弱いサポート、割り込めば109.11を目指す

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、結局「行って来い」。一時ドル下値を試すも攻めきれず、週末に掛けては下げた分をほぼすべて取り戻す「全戻し」の様相だった。

前週末は、豪州クイーンズランド州が新型コロナのクラスターが確認されたとして、ロックダウンの検討に入ったことを明らかに。また、IAEA局長がイラン訪問し、「核査察制限問題協議」を行うことが判明し、思惑を呼んでいた。
そうした状況下、ドル/円は109.90円前後で寄り付いたのち110円挟みでの揉み合い。一連の過程のなかで、110.16円の週間高値を示現している。しかし、週の半ばに流れが変わると一転下値を探る動きに。109.11円まで1円以上の下落となったものの、下値攻めも失敗に終わると再び反転。Vの字型の回復をたどると、110円台を回復するような値動きとなり、週末NYはそのまま110円挟みのレベルで取引を終えて越週している。
なお、先週は週全体を通してドル高、円高の動き。逆に弱含みとなったものはユーロや豪ドル、NZドルなどで、なかでもスイスの弱さが目に付く。スイス/円は118円を割り込み、4月26日以来の安値を一時示現していた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「北朝鮮情勢」と「米ファンダメンタルズと金融政策」について。
前者は、週初の13-15日に日米韓の代表が東京で朝鮮半島の完全非核化や北朝鮮による拉致問題についての協議を実施するなか、朝鮮中央通信が水を差すような「北朝鮮、11日と12日に新型長距離巡航ミサイルの試射に成功」と報じ物議を醸した。また北朝鮮はさらに15日にも再び2発のミサイル発射を行っている。それも11-12日に発射された新型の長距離巡航ミサイルではなく、弾道ミサイルとみられ、事実とすれば国連安保理の決議違反。そのため、米国務省報道官からは「複数の国連安保理事会決議に違反している」などとした非難のコメントも発せられていた。

対して後者は、22日に予定されている米FOMC会合へ注目が集まるなか、14日に発表された米経済指標、8月の消費者物価指数がわずかだが予想にとどかず、「早期テーパリング」期待が萎むと市場は一気にドル売りへと傾斜した。前述した週間安値109.11円を示現するトリガーに。しかし、16日に発表された小売売上高が予想と大きく乖離する好数字、ポジティブサプライズとなり、週末に掛けては流れを変えるドルの買戻しを誘発させている。週間を通して米経済指標に振り回された一週間だった。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、期間によって大きく3つのレンジを形成しており、先週はそのうちもっとも小さい「小レンジ」の下限109.41円を一時割り込んだものの、次の「中レンジ」下限109.11円は下回れず。そして、週末に掛けては下値トライの失敗もあり、110円台へとプルバックしている。ここ最近だけでなく、過去2ヵ月程度を見ても109円台と110円台の吸着率は凄まじいだけに、前記した「中レンジ(109.11-110.80円)」を中心とした値動きがいましばらく続く可能性も否定できない。
マーケットで、もっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうしたなか今週は22日にFOMC会合の結果発表ならびに、パウエルFRB議長の記者会見が見込まれている。ちなみに、市場では今回の会合でテーパリングは見送り、「年内、11月に開始する」との見方がもっとも有力だが果たして如何に。また、それ以外、今週は「日米豪印首脳による初の対面式会議」など重要とみられる国際的なイベントも少なくない。あわせて注意を払いたいところだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように109円台と110円台の吸着率が非常に強い。実際、「中レンジ(109.11-110.80円)」での値動きは、すでに1ヵ月半にも及んでいる。またレンジを一旦抜けたように見えても、結局は元の木阿弥、元のレンジへと回帰する展開も多いことが曲者だ。材料的には今週重要かつ注目度の高いものが予定されており、レンジブレークへの期待はあるが、本当に抜けていくのか半ば諦め的なムードも、一部からは早くも指摘されていた。

材料的に見た場合、中長期的には、対面式2国間会談実施が見送られるなど米国との関係改善は遠そうな「中国情勢」や、候補者4氏が出揃い激戦となっている自民総裁選を中心とした「日本の政局」、いまだ新株が続々と観測される「新型コロナウイルス変異種」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、9月の製造業PMI速報をはじめとする米経済指標が発表される見込みのほか、週間を通しての最大の注目要因といってよい米FOMCが実施される予定だ。またロシアやカナダの総選挙、「日米豪印首脳による初の対面式会議」といった国際的なイベントなど注目すべきファクターも少なくない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.00-111.00円。ドル高・円安については、先週高値110.16円をめぐる攻防にまず注視。ただ、超えても110.45円や110.80円など抵抗は多く上値も重そうだ。
対するドル安・円高方向は、109円半ばが引き続き弱いサポートで、割り込むと安値109.11円がターゲットに。それも下回ると8月4日以来の108円台が意識されそうだ。

FOMC注目だが、それ以外にも材料多く波乱も

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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