ドル円見通し 109円割れ回避から持ち直すも110円に届かず
〇昨日のドル円、米小売売上高・フィラデルフィア連銀景況指数の好結果から109.80台まで戻す
〇米長期債利回りは総じて上昇、底固い動きでドル円の押し上げ材料となる
〇昨日発表の米経済指標は強めの結果、市場は総じてドル高感やや強まる
〇ドル円、110円台前半では上値重く持ち合いから下放れつつある、8/4安値108.71への余裕も乏しい
〇109.50以上での推移中は上昇余地ありとし、109.82超えからは110.15試しを想定する
〇109.50割れから続落に入る場合は弱気転換注意とし、109.35割れからは109.09試しへ向かうとみる
【概況】
ドル円は9月15日夜に109.09円まで下落して8月16日夜安値109.10円をわずかに割り込んで8月11日高値110.79円以降の安値を更新したが、NY連銀景況指数が予想を上回ったことで109円割れを回避して下げ止まり、16日は米小売売上高やフィラデルフィア連銀景況指数が予想を上回ったことから109.80円台まで戻した。米連銀のFOMCを9月21-22日に控えて連銀高官の発言が手控えられる中、米経済指標の強弱を見ながら米連銀のテーパリング開始時期を思惑しつつ騰落を繰り返しているところだ。8月24日以降の109.40円台までを下値支持帯とした持ち合いからはいったん転落したもののさらに安値追及へ走るのは時期尚早として買い戻された状況だが、9月8日高値110.44円から13日及び14日の110.15円へと戻り高値が切り下がり安値も切り下げてきているため、15日夜安値を起点とした反発で戻り高値切り下がりの範囲にとどまるかどうか試されるところだ。
【米経済指標は強めで米連銀のテーパリング開始決定へ寄与】
9月16日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.34%、30年債利回りが同0.03%上昇の1.89%、2年債利回りが同0.01%上昇の0.22%となり長期債利回りは総じて上昇してドル円の押し上げ材料となった。米10年債利回りは8月4日に1.12%まで低下したところから9月7日に1.38%台へ上昇、9月14日に1.26%台まで低下したが持ち直している。8月後半からは1.30%を挟んでの持ち合い状態であり、FOMC待ちの状況だが、低下したところからは反発を繰り返して底固い動き。
NYダウは前日比63.07ドル安と反落。9月3日の米雇用統計発表日から10日まで5日続落となり、13日からは日替わりで騰落を切り返しており、15日は236.82ドル高と戻したものの16日は経済指標が強めだったものの反落しており、35000ドルを割り込んでの下げ渋り持ち合いの様相だ。世界的な金融緩和からの正常化へ向けた動きと共にデルタ株感染拡大の影響への懸念も抱え、先行き不透明感から株式市場での利益確定売り優勢の動きがみられるところだが、株安がさらに進む場合は円高要因になりやすいと注意したい。
米労働省による新規失業保険申請件数は9月11日までの週間で前週比2万件増の33万2000件となり市場予想の33万件を若干超えた。3週ぶりの悪化だが先週がコロナショック発生後の最低であり改善傾向の範囲にある。失業保険受給者総数は9月4日までの週間で266万5000人となり前週比18万7000人減少して市場予想の278万5000人を下回った。
米商務省による8月の小売売上高は前月比0.7%増となり2か月振りのプラスで市場予想の0.8%減を上回った。自動車・同部品ディーラーを除くと1.8%増で予想の0.1%減を上回り、ガソリンを除くと0.8%増、自動車・同部品とガソリンを除くと2.0%増だった。市場は全般に悪化と見込んでいたために若干のサプライズでドル高を助長した。
米フィラデルフィア連銀による9月製造業景況指数は30.7となり8月の19.4から大幅に上昇、市場予想の18.8を上回った。ただし6か月先の6カ月先の見通しは20.0となり8月の33.7から低下した。
9月15日夜のNY連銀景況指数が予想を上回ったところからドル高感がやや強まっており、ユーロドルが13日夜安値を割り込む一段安、ポンドドルも15日午前安値を割り込み、豪ドル米ドルも9月3日以降の安値を更新、南アランドも対ドルで9月10日夜以降の安値を更新するなど総じてドル高基調での推移となっている。
【8月4日安値を割り込む場合の下値目途】
9月15日夜安値でわずかに8月16日安値を割り込んだところからやや戻しているものの、110円台前半での上値の重さを意識させつつ凡そ1円幅での騰落を繰り返していた持ち合いからは下放れてきている。8月4日安値108.71円に対する余裕も乏しいところにある。
米連銀のテーパリングへの動きを踏まえてドル高基調での推移がみられるものの、ドルストレートにおいてドル全面高となる際にクロス円の下落が厳しくなれば円高感も増し、ドル高と共に株安の場合はリスク回避的な円高感も強まって8月4日安値を割り込む可能性も警戒すべきところだ。その場合の下値目途は7月2日高値から8月4日への下落規模と同レベルの二段下げとして107.85円、8月11日への戻り幅の倍返しで106.63円と計測される。4月23日安値107.46円を前後する水準が試される流れへ進みやすいと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月13日と14日夜の110.15円をダブルトップとして弱気サイクル入りしていたが、10日未明安値から4日目となる15日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしている。高値形成期は16日夜から22日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、109.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、109.50円割れからは弱気転換注意、109.35円割れからは弱気サイクル入りと仮定して20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では16日夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いている。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込んで切り返せなくなるところからは下げ再開注意とし、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は15日夜に20ポイント割れまで低下してから反発に入り、16日夜の上昇で60ポイント台へ乗せている。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.50円を下値支持線、16日夜高値109.82円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、16日夜高値109.82円超えからは14日夜高値110.15円試しを想定する。110.15円を超える場合は9月8日以降の高値切り下がりパターンから脱却するため9月8日高値110.44円に迫る可能性も出てくるとみるが、110.15円に届かずに直前高値から0.30円以上の反落となる場合は戻り高値切り下がりによるピークアウトとして下落再開を疑う。
(3)109.50円割れから続落に入る場合は弱気転換注意とし、109.35円割れからは15日夜安値109.09円試しへ向かうとみる。109.15円以下は反発注意とするが15日夜安値を割り込む場合は先行きで8月4日安値108.71円試し、さらに底割れへと進みやすくなるとみる。
【当面の主な予定】
9/17(金)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -2.5%、予想 0.8%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.4%、予想 2.7%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 -2.4%、予想 0.8%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 1.8%、予想 2.5%)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 218億ユーロ)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調前 (6月 240億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前月比 (6月 -1.7%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前年同月比 (6月 2.8%)
18:00 (欧) 8月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 3.0%、予想 3.0%)
18:00 (欧) 8月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.6%、予想 1.6%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (8月 70.3、予想 72.6)
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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