ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へ続落。米テーパリングの後ずれ観測が米ドルの重石
〇ドル円米国時間に109.11まで下落後、米指標好調、主要株価指数の堅調推移に109.37近辺まで持ち直す
〇ユーロドル、ユーロ圏鉱工業生産が良好で1.1833まで上昇後、米指標好調に1.1816レベルに反落
〇ドル円1か月ぶり安値圏に下落し、テクニカルの地合い悪化
〇本日夜発表の米小売売上高等の指標に関心集まる
〇ドル円続落をメインシナリオとして予想、心理的節目109.00、8/4安値108.72がターゲット
〇本日の予想レンジ:108.90ー109.70
海外時間のレビュー
15日(水)のドル円相場は上値の重い展開。@前日海外時間に発表された米消費者物価コア指数が市場予想を下回る結果となったこと(インフレ鈍化→米早期テーパリング観測後退→米長期金利低下→米ドル売り)や、A中国経済の先行き不透明感(昨日発表された中国8月小売売上高、固定資産投資、鉱工業生産は軒並み市場予想を下回る結果)、B中国恒大集団のデフォルト懸念、C上記ABを背景としたリスク回避の円買い圧力、Dテクニカル的な地合いの弱さ(レンジ下放れ→ロング勢のロスカット)が重石となり、米国時間朝方にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる109.11まで下落しました。もっとも、8/16に記録した直近安値と同水準(109.11)で下げ渋ると、E米9月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果34.3、予想18.0)の力強い結果や、F米主要株価指数の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、G米金利上昇に伴うドル高圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間午前5時45分現在)では、109.37近辺まで持ち直す動きとなっております。
15日(水)のユーロドル相場は上昇後に反落。@米早期テーパリング観測の後退や、A上記@を背景とした米長期金利の低下、Bユーロ圏7月鉱工業生産(結果7.7%、予想6.3%)の良好な結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1833まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、Cドイツを巡る政局不透明感の高まりや、D米9月ニューヨーク連銀製造業景気指数の力強い結果、E米金利上昇に伴うドル高圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間午前5時45分現在)では、1.1816近辺まで反落する動きとなっております。
本日の見通し
14日に発表された米消費者物価指数が市場予想を下回る結果となったことで、パウエルFRB議長が主張する「インフレは一過性」との見方が強まり、米早期テーパリング観測後退→米長期金利低下→米ドル売りの経路でドル安・円高が加速しました(約1ヵ月ぶり安値圏)。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(約4週間に亘り続いた109.50ー110.50レンジも下方ブレイク)。
こうした中、本日は日本時間21:30に予定されている米8月小売売上高や、米9月フィラデルフィア連銀景況指数、米新規失業保険申請件数に注目が集まります。特に米8月小売売上高への注目度は高く、同指標が市場予想を下回る場合には、米景気減速懸念→米テーパリングの更なる後ずれ観測を通じて、ドル円には一段と強い下押し圧力が加わることが予想されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(下値目途は心理的節目109.00。同水準を下抜ける場合は、8/4に記録した直近安値108.72が射程圏内)。
本日の予想レンジ:108.90ー109.70
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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