米雇用統計に注目、レンジ放れへの期待も(9/3夕)

3日の東京市場はほぼ円が全面安。ドル/円は110円台にしっかりと定着したとは言えないが、それでも110円挟みの推移と底堅さを醸している。

米雇用統計に注目、レンジ放れへの期待も(9/3夕)

米雇用統計に注目、レンジ放れへの期待も

〇本日のドル円、重かった110円を回復、その後も底堅い値動きをたどり110円前後で強保ち合い
〇菅首相が総裁選への不出馬を表明、金融市場も一時荒れ模様に
〇ドル/円、足もとは109.41-110.41レンジでの推移、材料的には早々にレンジ放れの可能性も
〇レンジを上抜けた場合まずは110.80がターゲット、レンジ下限を割り込めば109.11が意識される
〇本日発表の米雇用統計に注目集まる、発表前後の市場動意には注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.50

<< 東京市場の動き >>

3日の東京市場はほぼ円が全面安。ドル/円は110円台にしっかりと定着したとは言えないが、それでも110円挟みの推移と底堅さを醸している。

ドル/円は109.90-95円で寄り付いたものの基本揉み合い。NY時間に注目の米雇用統計が発表されることから、それ待ちで積極的な動意は手控えられた。しかし昼前、突然に「菅首相が総裁選への不出馬を表明した」と伝えられると一時パニック的な動き。やや激しい乱高下を経たのち、ドルは重かった110円を回復している。その後もドルは底堅い値動きをたどるも、一段の上値を取りに行く展開ではなく、いわゆる強保ち合い。16時現在、ドル/円は110円前後で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、円全面安のなか、ユーロ/円やポンド/円などクロスの多くが週間高値を更新している。

一方、材料的に注視されていたものは、「日本の政局」と「アフガン情勢」について。
前者は、産経新聞が朝刊で「自民幹事長に石破・河野・小泉氏が浮上」と報じるなど自民党人事への関心が引き続き高いなか、前述したように菅首相が突然「総裁選への不出馬を表明」し、金融市場を混乱に陥れた。為替だけなく株式市場も、発言を受けて一時荒れ模様。なお、菅氏の不出馬については、先日行われたお膝元の横浜市長選で応援していた候補が大敗。それもあり、自民神奈川県連の幹事長が「総裁選で菅首相の応援しない」と発言したことが影響したとも考えられているようだ。

対して後者は、ロシア外務省の高官が、米軍がアフガニスタンから撤退完了直前に行った無人機攻撃で複数の住民が巻き添えで死亡したことについて、「無差別な力の行使を断固として非難」と発言。一方、米大統領報道官は、タリバンの指導部などに科している経済制裁について「我々は現時点で制裁の緩和は検討していない。彼らに対する圧力を維持している」と言明していた。そうしたなか、G20議長国を務めるイタリアのドラギ首相は、アフガニスタン問題を討議するため、臨時G20首脳会議を今月の国連総会後に開催する意向を示している。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は先日110.41円まで上値を伸ばし、「小レンジ」の上限を一時超えたものの、結果的に出直しに。紆余曲折を経たのち、足もとは110円挟みでの推移となっている。いわゆるドルの上値トライは失敗、あるいは「ダマシ」だったのか、そうではなくドルは再上昇に転じると直近高値を超えていくような展開をたどるのか、本日欧米時間の動きはある意味で「大一番」だ。しっかりと情勢を見極めたい。
米ファンダメンタルズならびに、金利動向への関心が高いという状況に変化なく、本日はこのあと発表される米雇用統計に注目だ。1日発表のADP雇用統計がネガティブサプライズになった反面、昨日発表の新規失業保険申請件数はわずかながら予想比で改善を示していた。果たして米雇用統計はどういった数字になるのだろうか。また、それとは別に前述した「菅氏の総裁選不出馬」を海外勢がどう捉えるのか、欧米市場筋の反応も気掛かり。改めて円が売られる展開を予想する参加者の声も聞かれている。

テクニカルに見た場合、ドル/円は1日に形成レンジを一時上抜けたが、結局元の木阿弥。足もとはレンジを若干拡大させた109.41-110.41円という、ちょうど1円レンジのなかでの推移となっている。そんな一進一退が続く可能性も否定できないが、材料的には早々にレンジ放れをたどってもまったく不思議はない。ちなみに、上抜けた場合にはまずは110.80円そして111円レベルがターゲットに。それに対し、レンジ下限を割り込めば109.11円が意識されそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には、気候変動問題でも米国との対立が観測された「中国情勢」のほか、早くも菅氏の後継者争いが勃発した感のある「日本の政局」、「新型コロナ(デルタ株・ミュー株)」、「アフガン情勢」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、8月の雇用統計や同ISM非製造業総合指数などが発表される予定だ。ちなみに前者のうち、もっとも市場の関心が高い非農業部門雇用者数はプラス72万人程度が見込まれている。ADP雇用統計の結果もあり、やや悪化方向への耐久が高いような気もするがそれも程度次第か。いずれにしても、発表前後の市場動意には大いに注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.50円。ごく目先的には110.10円前後が弱い抵抗に。抜ければ110.41円、そして110.80円を目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の109.80円レベルが最初のサポートか。しっかり割り込めば8月31日安値109.59円、そして109.41円が意識されそうだ。

米雇用統計に注目、レンジ放れへの期待も

ドル円日足


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