ドル円見通し 9月1日夜の急落後は110円を挟んだ揉み合い、決め手欠いて米雇用統計へ向かう(21/9/3)

9月2日は終日にわたって110円を挟んでほぼ横ばいの推移にとどまった。

ドル円見通し 9月1日夜の急落後は110円を挟んだ揉み合い、決め手欠いて米雇用統計へ向かう(21/9/3)

9月1日夜の急落後は110円を挟んだ揉み合い、決め手欠いて米雇用統計へ向かう

〇昨日のドル円、終日にわたり110円を挟んだほぼ横ばいの推移、雇用統計待ち
〇ドル安基調継続への思惑から、ユーロ・ポンド・豪ドル及び主要新興国通貨が高値をつける
〇米長期債利回りは小動きの持ち合い、NYダウは4日ぶり反発、ナスダックは史上最高値を更新
〇失業保険申請件数、コロナショック以降の最低水準を更新、7月貿易統計の輸出は過去最高に
〇今晩米雇用統計発表、結果次第ではテーパリング開始時期への影響や、ドル安加速の可能性も
〇110.20以下での推移中は一段安警戒とし、109.80割れからは8/31夜安値109.57試しとみる
〇110.20超えからは反騰開始の可能性を優先して、9/1夕高値110.41試しとみる

【概況】

ドル円は8月16日夜安値109.10円から8月19日高値110.22円まで戻した後は109.40円台から110.20円台までのレンジ相場で推移していたが、9月1日夕刻に110.41円まで高値を切り上げていったんはレンジ相場から抜け出しかけたものの1日夜の米ADP民間雇用報告が予想を大幅に下回る低調さだったことで109.86円へ急落、その後は新たな安値更新を回避しているものの9月2日は終日にわたって110円を挟んでほぼ横ばいの推移にとどまった。
9月2日夜は米週間失業保険申請件数が昨年のコロナショック以降の最低水準となったがドル円の反応は限定的だった。為替市場全般は8月20日からのドル安基調を継続、9月1日のADPが予想を下回ったことで週末の米労働省雇用統計本番も予想を大きく超える数字にはならないだろうとみて雇用統計通過後もドル安基調継続と思惑されてユーロやポンド、豪ドル及び主要新興国通貨が8月20日以降の高値を更新している。

【ナスダック史上最高値更新、米長期債利回りは小動き】

9月2日の米10年債利回りは前日比0.01%低下の1.29%。8月27日夜の米連銀議長講演を挟んで8月26日の1.37%から31日に1.27%まで低下、1日はいったん1.33%台まで戻してから1.30%まで再び低下していたが2日も若干の続落ながらほぼ小動きで週末の雇用統計待ちとなっている。2年債利回りは前日から変わらずの0.21%でここ4日間小動きの持ち合い。
NYダウは前日比131.29ドル高で4日ぶりに反発、ナスダック総合指数は前日比21.80ポイント高となり2日連続で取引時間中及び終値ベースでの史上最高値更新。デルタ株感染拡大への懸念を抱えつつも景気回復と株高期待継続での楽観的強気が続いている。リスクオン優先の市場心理はユーロ等のメジャー通貨及び資源コモディティ通貨への投機買いを助長しやすい状況だ。

【失業保険申請件数はコロナショック以降の最低を更新、輸出は過去最高に】

米労働省が発表した新規失業保険申請は8月28日までの週間で前週比1万4000件減の34万件、市場予想の34万5000件を下回り昨年のコロナショック以降の最低水準を更新した。失業保険受給者総数は8月21日までの週間で274万8000人となり前週から16万人減少、市場予想の277万5000人を下回った。
米商務省による7月の貿易統計では物品ベースの輸出が前月比1.8%増の1485億9200万ドルとなり単月で過去最大となった。輸入は同1.2%減の2363億1400万ドルだった。輸出入規模はコロナショック前水準を回復している。物品とサービスを合わせた全体の貿易赤字は前月比4.3%減の700億5100万ドルで過去最大の赤字だった6月からは減少した。

米労働省による4-6月期の非農業部門労働生産性改定値は年換算で前期比2.1%上昇で市場予想の2.5%上昇を下回ったが前年同期比は1.8%の上昇だった。インフレ指標である単位労働コストは前期比1.3%上昇で市場予想の0.9%上昇を上回ったが、前年同期比では0.2%の上昇にとどまった。
米商務省による7月の米製造業受注は前月比0.4%増で市場予想の0.3%増を上回り3か月連続でプラスとなった。

【今晩、米雇用統計】

今晩の米8月雇用統計では、非農業部門就業者数は75万人増と予想されて7月の94.3万人増からは伸びが鈍化するとみられている。米連銀内でタカ派とみられるウォラー理事は8月5日に「7月分と8月分の就業者増加数が80〜100万人ならばテーパリング開始は可能」と述べて8月6日の米雇用統計がその条件を満たしたことでドル全面高を招いた。8月27日のパウエル米連銀議長はテーパリングの具体的時期や規模には触れずに年内の開始は妥当としたがテーパリング終了から早々に利上げへ踏み切ることはないとして市場を安心させたことでその後はドル安基調となっている。

今晩の米雇用統計で85万人から100万人の規模で増加する場合は9月21-22日のFOMCでテーパリング開始決定、10月から着手される可能性が高まるが、80万人以下なら決定は急がれず、50万人以下なら11月会合まで先送りされる可能性もあると思われる。テーパリングはいずれにしても年末までには始まり、テーパリング終了後には膨らんだ購入資産を再投資してバランスシートを維持するのか減らすのか、利上げ時期はどうなるのかということへテーマも移ってゆく。そのあたりを思惑しながら雇用統計からドル安基調が一段と加速するのか、8月20日からのドル安もいったんピークアウトするのか、見極めつつ流れに乗るスタンスで構えたいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月24日夜安値から5日目となる8月31日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしたが、9月1日夕高値からの反落で直前の上げ幅の半値以上を削ったために2日朝時点では1日夕高値で直近のサイクルトップを付けて下落期に入ったとし、安値形成期を3日夜から7日夜にかけての間と想定した。1日夜の急落後は横ばいにとどまっているのでまだ一段安余地ありとし、今晩の米雇用統計から反騰なら強気サイクル入りとして6日夕から8日夜にかけての間への上昇を想定し、雇用統計から下落なら6日から7日にかけての間へ続落してゆく展開とみる。

60分足の一目均衡表では1日夜の急落後に横這い推移となったため遅行スパンは実線と交錯、先行スパンからは転落し始めている。このため先行スパンから転落しているうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は横ばい推移のため50ポイント前後を抵抗として40ポイント台の推移が続いている。60ポイント超えからは上昇再開とするが、超えないうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8月31日夜安値109.57円を下値支持線、110.20円を上値抵抗線とする。
(2)110.20円以下での推移中は一段安警戒とし、109.80円割れからは31日夜安値109.57円試しとし、底割れからは8月16日夜安値109.10円試しへ向かう流れとみる。109.80円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)110.20円超えからは反騰開始の可能性を優先して9月1日夕高値110.41円試しとし、高値更新からは110.70円台、勢い付く場合は111円試しへ向かう流れとみる。また110.20円以上での推移なら週明けも高値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/3(金)
10:45 (中) 8月 財新サービス業PMI (7月 54.9、予想 52.0)
16:55 (独) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 61.5、予想 61.5)
17:00 (欧) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 59.7、予想 59.7)
17:30 (英) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 55.5、予想 55.5)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前月比 (6月 1.5%、予想 0.1%)
18:00 (欧) 7月 小売売上高 前年同月比 (6月 5.0%、予想 4.8)

21:30 (米) 8月 非農業部門就業者数 前月比 (7月 94.3万人、予想 75.0万人)
21:30 (米) 8月 失業率 (7月 5.4%、予想 5.2%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 平均時給 前年同月比 (7月 4.0%、予想 4.0%)
22:45 (米) 8月 サービス業PMI改定値 (速報 55.2)
22:45 (米) 8月 総合PMI改定値 (速報 55.4)
23:00 (米) 8月 ISMサービス業景況指数 (7月 64.1、予想 61.5)


※ポイント要約は編集部

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