ドル円見通し 110円台序盤を抵抗とした持ち合いからの上放れを試す(21/8/27)

ドル円は8月26日夕と夜に110.22円をつけて8月19日昼高値と同値とした。

ドル円見通し 110円台序盤を抵抗とした持ち合いからの上放れを試す(21/8/27)

ドル円見通し 110円台序盤を抵抗とした持ち合いからの上放れを試す

〇ドル円、8/26夕と夜に110.22をつけ、深夜に110円を割り込むも買われ8/27早朝は110円台を維持
〇8/19昼高値110.22と同値となり、新たな高値更新には至らなかったが上値抵抗帯の突破を試す動き
〇アフガニスタンにて大規模な爆発テロ発生、地政学的リスクの高まりがドル買い要因となる
〇8/26複数の地区連銀総裁がテーパリングへの前向き姿勢を表明したこともドル高要因に
〇米長期債利回りの上昇傾向が顕著、米株価は下落、米経済指標への反応は限定的
〇109.70以上での推移中は上向きとし、110.22超えからは110.50手前を試すとみる
〇109.70割れからは下向きとして、8/24夜安値109.40試しとする

【概況】

ドル円は8月26日夕と夜に110.22円をつけて8月19日昼高値と同値とした。新たな高値更新には至らなかったものの深夜に110円を割り込んだところを買われて27日早朝は110円台を維持している。
8月19日高値110.22円を23日夜高値110.14円で上抜けなかったことで110円台序盤が上値抵抗帯となり、19日夜安値109.47円と24日夜安値109.40円で109.50円を割り込んだところは買い戻されたことでボックス型持ち合いの様相となっていた。26日未明への上昇では110.12円にとどまって三度目の抵抗感が出ていたが、26日夕及び夜に19日高値と同値まで上昇したことで上値抵抗帯の突破を試す動きとなっている。
8月26日はアフガンからの米軍撤退に伴う混乱が続く中、大規模な爆発テロが発生したことで地政学的リスクが高かったとしてドル買い要因となり、また27日のパウエル米連銀議長によるジャクソンホール会合での講演を控える中でダラス連銀のカプラン総裁やカンザスシティー連銀のジョージ総裁、セントルイス連銀のブラード総裁がいずれも早期の量的緩和縮小着手を支持する発言をしたこともドル高要因となった。

【今晩、秋への方向性を左右するジャクソンホールのパウエル米連銀議長講演】

8月27日はパウエル米連銀議長がカンザスシティー連銀主催で毎年恒例のジャクソンホールシンポジウムで講演する。過去にも米連銀の政策スタンスの重要な変更を示唆する場となってきたことで今回もテーパリング=量的金融緩和政策による債券等の買い入れ縮小開始へ向けたガイダンスが示されるのではないかと市場も緊張感を持って講演に向かうところだが、前日となる26日には地区連銀総裁達のテーパリングへの前向き姿勢が相次いで表明された。
ダラス連銀のカプラン総裁は量的緩和策の縮小を10月以降に始めるべきとし、カンザスシティー連銀のジョージ総裁とセントルイス連銀のブラード総裁も早期の緩和縮小開始を支持した。この3人はFOMCでの投票権を持っていないもののFOMC内のタカ派的な立場を代表してパウエル議長による早期のテーパリング開始を後押しする姿勢を示した印象だ。

ダラス連銀のカプラン総裁は新型コロナウイルス変異株の拡大についての懸念は「現時点での縮小開始見通しを著しく変えるものになっていない」とし、9月の次回FOMCで開始を表明して10月以降に着手すべきだと述べた。セントルイス連銀のブラード総裁も米TVインタビューでFOMCは緩和継続によるリスクを警戒して緩和縮小に向けた方策をまとめているところだと述べた。またカンザスシティー連銀のジョージ総裁も雇用回復や物価上昇を踏まえれば資産購入の縮小をすぐにでも着手すべきだと述べている。

【米長期債利回りは上昇から確り】

8月26日の米10年債利回りは前日比0.01%上昇の1.35%で一時は1.37%を付けて8月17日の1.21%以降の高値を更新して8月12日につけた1.38%に迫っている。ここ3日間は連日の上昇となっている。2年債利回りは前日から横ばいの0.24%だが、25日に0.25%を付けて8月4日の0.16%以降の高値を更新しており26日も高値圏を維持している。27日の米連銀議長講演が迫る中で長期債利回りの上昇傾向が顕著になってきている。
8月26日のNYダウは5日ぶりの反落で前日比192.38ドル安、ナスダック総合指数も前日の史上最高値更新から上げ渋り96.05ポイント安と下落した。米経済指標への反応は限定的で、アフガンの大規模テロ情勢を警戒した動きも見られた。

米商務省による4-6月期GDP改定値は年率換算で前期比6.6%増となり速報値の6.5%増からわずかに上方修正された。4期連続のプラス成長で四半期GDP水準としては速報値段階で過去最高となっている。ワクチン普及による経済活動の活発化が寄与している。
米労働省による週間新規失業保険申請件数は8月21日までの週で前週比4000件増の35万3000件となり市場予想の35万件を上回った。前週からの増加は5週ぶりだが、低水準を維持して雇用回復基調を継続させている。8月14日までの週間失業保険受給者総数は286万2000人となり前週から3000人減少したが市場予想の279万人を上回った。

アフガニスタンの首都カブール空港周辺で大規模な爆発テロが発生、少なくとも米兵12人死亡、15人負傷と発表された。アフガン人でも死者60人以上、負傷者140人以上となったが、イスラム国(IS)が犯行を認めたようだ。米軍の撤退によりタリバンがカブールを制圧する中で米国民など西側住民の脱出もまだ続いている中で国際的な混乱を招いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月16日夜安値から3日目の19日夕安値、さらに3日後の24日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて上昇期に入っている。26日夜高値の後は上げ渋りとなり23日夜高値からも3日を経過したので反落注意期にあるがまだ27日夜から30日夜にかけての間への上昇余地が残る。高値圏を維持しつつ高値更新へ進む可能性と、27日夜にかけていったん下げボトムを付けなおして一段高へ進んで新たな上昇期に入る可能性もあるところだ。弱気転換は24日夜安値割れからとするがその際は27日夜から31日夜にかけての間への下落が想定される。パウエル議長講演に対する反応にも左右される。

60分足の一目均衡表では25日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたが、26日夕高値からの上げ渋りで遅行スパンは実線と交錯して悪化しやすい位置にある。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後の好転からは上昇再開とするが、先行スパン転落からは下げ再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は25日夜高値から26日夕高値への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる。50ポイント割り込んでも回復するうちは60ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからはいったん下落期に入るとみて30ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)109.70円を下値支持線、26日夕高値110.22円を上値抵抗線とする。
(2)109.70円以上での推移中は上向きとし、110.22円超えからは110.50円手前を試すとみる。110.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、米連銀議長講演から急伸反応の場合は111円に迫る流れとみる。
(3)109.70円割れからは下向きとして24日夜安値109.40円試しとする。109.50円以下はもう一度買われやすいとみるが、議長講演等をきっかけに24日夜安値割れから続落に入る場合は109円台序盤(109.20円から109.00円)を目指すとみる。

【当面の主な予定】

8/27(金)
10:30 (豪) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -1.8%、予想 -2.3%)
15:00 (独) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 1.6%、予想 0.8%)
15:00 (独) 7月 輸入物価指数 前年同月比 (6月 12.9%、予想 13.6%)
21:30 (米) 7月 個人消費支出(PCE) 前月比 (6月 1.0%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 4.0%、予想 4.1%)
21:30 (米) 7月 PCEコアデフレーター 前月比 (6月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (6月 3.5%、予想 3.6%)
21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.1%、予想 0.2%)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 70.2、予想 70.7)
23:00 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール講演


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