ドル円見通し ドルストレートでドル安、米長期債利回り上昇で円安、ボックス型持ち合いの範囲(21/8/26)

ドル円は8月26日未明高値で110.12円へ上昇、23日夜高値110.14円に迫り、その後は110円を挟んだ揉み合いとなっている。

ドル円見通し ドルストレートでドル安、米長期債利回り上昇で円安、ボックス型持ち合いの範囲(21/8/26)

ドル円 対主要通貨のドル安、米長期債利回り上昇で円安、ボックス型持ち合いの範囲

〇ドル円、8/26未明110.12へ上昇、8/23夜高値110.14に迫る、その後は110円を挟んだ揉み合い
〇米長期債利回り上昇がドル円押し上げ、株高によるリスクオン型の円安も上昇に寄与
〇一方で欧州の長期債利回り上昇により、ドルストレートでのドル安がドル円の上値を抑える
〇NYダウ連騰・ナスダック史上最高値更新の中、株買い債券売りの効果で米長期債利回りは上昇
〇109.70以上での推移中は上向きとし、110.14超えからは110.25、次いで110.50手前を試すとみる
〇109.70割れからは下向きとして、8/24夜安値109.40試しとする

【概況】

ドル円は8月26日未明高値で110.12円へ上昇、23日夜高値110.14円に迫り、その後は110円を挟んだ揉み合いとなっている。8月25日夜は米長期債利回りが上昇したことでドル円は押し上げられ、NYダウの連騰によるリスクオン型の円安も上昇に寄与したが、一方では欧州の長期債利回りも上昇したことでドルストレートではユーロやポンド、豪ドル等が上昇してドル安となったことがドル円の上値を抑える要因となった。
8月11日高値110.79円から8月16日夜安値109.10円まで下げたところから持ち直しているところだが、上値は19日の110.22円を含めて110円台序盤で引っかかる一方、安値は19日夕の109.47円と24日夜の109.40円で買い戻されており109.50円弱から110円台序盤までのレンジでボックス型持ち合いの様相といえる。ドルストレートでのドル全面安とクロス円での円全面安が交錯しつつ、110円台序盤の抵抗を試す動きとなっている。

8月25日のNYダウは前日比39.24ドル高で4連騰。先週は17日から19日まで2日間の続落だったがその下げ幅を解消している。ナスダック総合指数は22.06ポイント高で3日連続の史上最高値更新となった。デルタ株蔓延への懸念がある一方でワクチン普及による景気回復継続期待が優勢となっている印象だ。
米商務省による7月の耐久財受注は前月比0.1%減で3か月振りのマイナスだったが市場予想の0.3%減を上回った。設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は前月から横ばいで予想の0.5%増には届かなかった。市場の反応は限定的だった。

【欧米長期債利回り上昇の中で先週末夜からのドル安継続】

8月25日の米10年債利回り終盤は前日比0.04%上昇の1.34%。8月12日に1.38%まで上昇したところから8月17日に1.21%まで低下していたが、その後はジリ高で推移し、24日に1.30%へ上昇したところから25日も続伸となった。利上げ時期やテーパリング開始に敏感な2年債利回りは0.02%上昇の0.24%で25日の日中に8月11日の0.24%を超えて0.25%台へ上昇、その後やや低下したものの8月4日の0.16%を起点とした上昇が二段上げ型に発展した。30年債利回りも前日比0.03%上昇の1.95%へ付けている。
総じて8月27日のジャクソンホールにおけるパウエル米連銀議長講演においてテーパリング開始へのガイダンスが示されるだろうとの思惑で利回り上昇となっているところに加え、NYダウが連騰してナスダックが史上最高値を更新する中で株買い債券売りの効果で利回り上昇を招いている側面もある。

米長期債利回り上昇の一方、独10年債利回りも0.06%上昇のマイナス0.42%となり1か月振りの高値水準に達した。1日の上昇幅としては最近では最大級であり、ローソク足としては大陽線による反騰入りの姿。英10年債利回りも0.06%上昇の0.60%へ反騰している。欧米株高によるリスク選好的な債券売りも影響していると思われるが、米長期債利回りの上昇が主導的ならドル高要因になるものの、欧米揃っての上昇であり欧州の利回り上昇がやや勢いで勝るとなればドルストレートではドル安反応となる。
欧州中銀(ECB)のデギンドス副総裁が25日に「7-9月期の指標が好調なためユーロ圏のマクロ経済予測を9月に上方修正する可能性がある」とタカ派的発言をしたことも影響したようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月16日夜安値から3日目の19日夕安値、さらに3日後の24日夜安値でサイクルボトムを付けている。高値は110円台序盤にとどまって19日昼高値、23日夜高値とやや短めに付けている。現状は24日夜安値をボトムとした上昇期とすれば26日夜から30日夜にかけての間へ高値試しを続けやすいところだが、週末の議長講演も控えているので110円台序盤の抵抗突破に失敗するなら戻りを短命として109.70円割れから下げ再開に入る可能性もあるところだ。弱気サイクル入りは24日夜安値割れからとするがその場合は27日夜から31日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では25日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開と仮定して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は25日夜の上昇時に70ポイントに到達したところからはやや下げている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、26日未明高値を超える際に指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生としてその後の50ポイントを割り込むところからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)109.70円を下値支持線、23日夜高値110.14円を上値抵抗線とする。
(2)109.70円以上での推移中は上向きとし、110.14円超えからは110.25円、次いで110.50円手前を試すとみるが、110.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)109.70円割れからは下向きとして24日夜安値109.40円試しとする。109.50円以下はもう一度買われやすいとみるが、24日夜安値割れから続落に入る場合は109円台序盤(109.20円から109.00円)を目指すとみる。

【当面の主な予定】

8/26(木)
米カンザスシティー連銀主催経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール、28日まで)
10:30 (豪) 4-6月期 民間設備投資 前期比 (1-3月 6.3%、予想 2.5%)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -0.3、予想 -0.7)
17:00 (欧) 7月 マネーサプライM3 前年同月比 (6月 8.3%、予想 7.7%)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 6.5%、予想 6.7%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 12.2%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 6.1%、予想 6.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 34.8万件、予想 35.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 282.0万人、予想 279.0万人)
26:00 (米) 財務省7年債入札

8/27(金)
08:30 (日) 8月 東京区部消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (7月 0.1%、予想 -0.1%)
10:30 (豪) 7月 小売売上高 前月比 (6月 -1.8%、予想 -2.1%)
15:00 (独) 7月 輸入物価指数 前月比 (6月 1.6%、予想 1.2%)
15:00 (独) 7月 輸入物価指数 前年同月比 (6月 12.9%、予想 13.8%)
21:30 (米) 7月 個人消費支出(PCE) 前月比 (6月 1.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 4.0%、予想 4.1%)
21:30 (米) 7月 PCEコアデフレーター 前月比 (6月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 PCEコアデフレーター 前年同月比 (6月 3.5%、予想 3.6%)
21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.1%、予想 0.1%)

23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 70.2、予想 71.0)
23:00 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール講演



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