ドル円見通し 110円台で売られ109.50円割れを買い戻される持ち合い(21/8/25)

ドル円は全般的なドル安基調を背景に8月24日夜に109.40円まで下げたものの109.50円割れを買い戻されてやや持ち直しの動きとなっている。

ドル円見通し 110円台で売られ109.50円割れを買い戻される持ち合い(21/8/25)

ドル円見通し 110円台で売られ109.50円割れを買い戻される持ち合い

〇昨日のドル円、夜に109.40円まで下げたが109.50割れを買い戻され、やや持ち直しの動き
〇ドル円、ドル安に圧される展開だが、110円超えは売られ109.50割れは買い戻される底固さを見せる
〇週末のパウエル米連銀議長講演を控え、目先は109円台後半中心での持ち合いで様子見の動き続くか
〇NYダウは3連騰、ナスダックは史上最高値を更新、米国株高基調継続でリスクオン優勢
〇109.90以下での推移中は下向きとし、109.40割れからは8/16夜安値109.10試しへ向かうとみる
〇109.90超えからは強気転換注意とし、110円到達からは8/23夜高値110.14超えを試す流れとみる

【概況】

ドル円は全般的なドル安基調を背景に8月24日夜に109.40円まで下げたものの109.50円割れを買い戻されてやや持ち直しの動きとなっている。8月11日夕刻に110.79円の高値をつけた後、米7月コアCPIの伸びが鈍化したことをきっかけにドル安となり8月13日のミシガン大消費者信頼感指数と16日のNY連銀景況指数のいずれも悪化したことで16日夜に109.10円まで下落したが109円割れを回避して買い戻され、19日昼には110.22円をつけたが19日夕には109.47円へ反落。109.50円割れを買い戻されて23日夜には110.14円をつけるも19日昼高値に一歩届かずに失速したが、24日夜は再び109.50円割れを買い戻されている。

為替市場は先週の丸1週間をドル全面高で推移し、先週末でドル高が一服、今週はドル全面安へと揺れ返している。ドル円も全般的なドル安に圧される展開だが、クロス円全般の上昇による円安感もあり、110円超えは売られるものの109.50円割れでは買い戻される底固さを見せている。週末のパウエル米連銀議長によるジャクソンホール講演も控えているので目先は109円台後半中心での持ち合いで様子見の動きを続けやすいところか。

【米10年債利回り反発でドル円も戻す】

8月24日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の1.30%。8月4日に1.12%まで下げて7月20日と同値のダブル底を形成して8月12日に1.38%まで切り返したところから戻り一巡により8月17日には1.21%まで下げていた。その後は小動きではあるがジリ高の推移で1.30%台を回復している。一方で利上げやテーパリング時期に敏感な2年債利回りは24日に前日比0.01%低下の0.22%へと小幅下落している。8月16日に0.19%台まで下げたところから上昇してきたが23日に0.23%台をつけたところからは上値が重くなっている。10年債と2年債ではやや動きに差も出ているが、ドル円としては両方を見ながらの展開となっており、8月16日以降は米長期債利回りがややジリ高推移に入っていることで109.50円割れを買い戻されるような底固さを見せている印象だ。8月26日の米GDP、27日のPCEコアデフレーター及びジャクソンホール講演と続く流れで米長期債利回りの上昇基調が鮮明となるか、低下傾向へと流れるのかによりドル円も左右されると思われる。

【米国株高基調は継続でリスクオン優勢】

米国株高基調は継続している。NYダウの24日は前日比30.55ドル高と小幅な上昇だったが20日からは3連騰、ナスダック総合指数は史上最高値を更新、77.15ポイント高の1万5019.80で初めて1万5000を超えた。デルタ株の世界的な感染爆発に対する警戒感を抱えつつも景気回復は続くとみての楽観的な株高基調が続いていることはドル円にとってはリスクオン型の円安感を助長させやすいところだが、史上最高値近辺ということはいつ急落型の調整安につかまっても不思議ない水準にあるということの裏返しでもある。
8月24日の米経済指標はまちまちで市場の反応も鈍かった。7月の新築住宅販売件数は前月比1.0%増の70万8000戸で市場予想の70万戸を上回った。リッチモンド連銀の8月製造業指数は9となり7月の27から大幅に悪化して市場予想の24を下回った。最近の米景況感は急激な景気回復の反動で伸びが鈍化しているが、景気回復の過熱感が強まって米連銀によるテーパリング開始を催促するような状況よりもやや鈍化したほうが株式市場には都合がいいということも言える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月16日夜安値を起点として上昇したものの8月19日昼高値と23日夜高値がダブルトップ型となって下落しているところだ。19日夕安値から3日目となる24日夜に109.40円まで下げてから戻しているので既にボトムを付けて反騰入りしている可能性もあるが、110円台回復へ進めないうちはもう一段安余地ありとし、24日夜安値を割り込む場合は25日夜から27日夜にかけての間への下落を想定する。
110円台回復からは強気サイクル入りと仮定して26日夜から30日夜にかけての間への上昇を想定するが、27日の米連銀議長講演前では110円台序盤で売られやすく短期的な騰落を繰り返す可能性があると思われるので、110円台回復の後に109.70円割れへ失速するところからは下げ再開を疑う。

60分足の一目均衡表では23日深夜への反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、24日夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置にある。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は24日夜の下落時に30ポイント台へ突っ込んでから50ポイント台回復まで戻している。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは60ポイント超えから70ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開を警戒し、24日夜安値を割り込む場合は20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月24日夜安値109.40円を下値支持線、23日夜高値110.14円を上値抵抗線とする。
(2)109.90円以下での推移中は下向きとし、109.40円割れからは8月16日夜安値109.10円試しへ向かうとみる。109円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが109.50円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.90円超えからは強気転換注意とし、110円到達からは23日夜高値超えを試す流れとみる。110.20円台から110.40円台にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみるが、109.75円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/25(水)
北朝鮮 先軍節
14:00 中村日銀審議委員、記者会見
14:00 (日) 6月 景気先行指数CI・改定値 (速報 104.1)
14:00 (日) 6月 景気一致指数CI・改定値 (速報 94.0)
17:00 (独) 8月 IFO企業景況感指数 (7月 100.8、予想 100.4)
21:30 (米) 7月 耐久財受注 前月比 (6月 0.8%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 7月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (6月 0.3%、予想 0.5%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債、2年物変動利付債入札

8/26(木)
米カンザスシティー連銀主催経済シンポジウム(ワイオミング州ジャクソンホール、28日まで)
08:50 (日) 7月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (6月 1.4%、予想 1.3%)
10:30 (豪) 4-6月期 民間設備投資 前期比 (1-3月 6.3%、予想 2.5%)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -0.3、予想 -0.5)
17:00 (欧) 7月 マネーサプライM3 前年同月比 (6月 8.3%、予想 7.6%)
20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨

21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 6.5%、予想 6.7%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 12.3%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 6.1%、予想 6.1%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 34.8万件、予想 35.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 282.0万人、予想 278.5万人)
26:00 (米) 財務省7年債入札



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