ドル円 パウエル議長講演までもみあい(週報8月第4週)

パウエル議長講演に全ての注目が集まりますので、それまでは多少の動きが出ても方向感は無く、上がったら売り、下がったら買いの流れになってくるでしょう。

ドル円 パウエル議長講演までもみあい(週報8月第4週)

パウエル議長講演までもみあい

〇先週のドル円、週初はリスクオフの円高、週央は米金利が水準をあげたこともありドル買いの動き
〇FOMC議事録発表後ドル買い強まり110円台に乗せるもその後反落、週末まで109円台後半でのもみあい
〇9月FOMCでテーパリングを決定する可能性はあるが、実施時期は準備期間を置いてからの可能性も
〇今週は27日のパウエル議長講演に全ての注目が集まる、それまでは方向感ない展開か
〇パウエル議長講演までのレンジとして、109.40レベルをサポートに110.40レベルをレジスタンスとみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、週初2日間はリスクオフ要因から円高を試す展開となりましたが、109.20円以下ではドル買いオーダーも見られ、火曜の弱い米国小売売上高にもかかわらずドルが買われた動きをきっかけに木曜東京前場までドル買いが強まりました。その間、FOMC議事録の発表もあり、テーパリング前倒し思惑もドル買いを強めることとなりました。しかし、110円の大台越えではドル売りオーダーも見られ反落、その後は週末の引けまでは109円台後半の狭い値幅でのもみあいに終始する動きとなりました。

一時期は後退していたテーパリング思惑が議事録の発表で9月のFOMCでの決定もあるのではないかという見方に変化してきましたが、個人的な見解としては先週のジャクソンホールを控えて思うところに書いた通りです。7月議会証言で複数回のFOMCでの議論としたことで、最短9月の決定は可能性としてはあるものの、ブレイナード理事の発言通りで9月の雇用統計とCPIを見た上で自信をもって決断できるという流れであると思います。

9月のイベントを見ると、3日雇用統計、14日CPI、22日FOMCとなり、もし14日CPIを見た上で結論付ける場合、9月FOMCで決定してもすぐにテーパリングは始められないでしょう。というのもテーパリングを開始する前に知らせるとパウエル議長は繰り返してきましたので、ある程度の周知期間は置くはずです。果たして22日に決定して翌10月から開始となると、わずか10日弱しかありません。

そうなると果たしてジャクソンホールで行われるパウエル議長の講演で何らかのテーパリングに関する可能性を示唆する発言が含まれるかどうかですが、これもこれまでのパウエル議長の一連の発言を振り返ると、一気にスタンスを変えてくるような発言も無いのではないかという気がしてなりません。そうなると、テーパリング前倒し思惑に傾いている市場参加者がまた軌道修正を迫られるという流れも十分にあり得るでしょう。

年内にテーパリング開始は議事録にもあった通りですが、さすがにジャクソンホールで周知して、9月FOMCで決定、即開始という流れは性急すぎて無いのではないか、もう少し時間的に余裕を持つのではないかと見ています。ハト派のパウエル議長が発言する内容としては、早ければ9月FOMCでテーパリングを決定する可能性はあるものの、その場合でも実施時期は準備期間を置いてというようなニュアンスを含めるのではないかと思います。

いずれにしても今週は27日(金)日本時間23時からのパウエル議長講演に全ての注目が集まりますので、それまでは多少の動きが出ても方向感は無く、上がったら売り、下がったら買いの流れになってくるでしょう。テクニカルに見てみます。日足チャートをご覧ください。

ピンクの細線で示したほぼ平行上昇チャンネルを引いてありますが、さらに7月高値と8月高値を結んだレジスタンスラインと8月安値を2点結んだサポートラインも有効で、このサポートラインとレジスタンスライン(ピンクの太線)の中での動きを考えることとなります。今週末時点で、両ラインは109.40レベルと110.40レベルに位置します。パウエル議長の講演はこのレンジの中で迎え、発言内容次第では振れることもありうるというところです。

今週は金曜NY市場のパウエル議長講演までのレンジとして、109.40レベルをサポートに110.40レベルをレジスタンスとする一週間を考えておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月23日(月)
16:15 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国8月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国7月中古住宅販売

8月24日(火)
07:45 NZ4〜6月期小売売上高
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値 ☆
23:00 米国8月リッチモンド連銀製造業景況指数
23:00 米国7月新築住宅販売

8月25日(水)
07:45 NZ7月貿易収支
17:00 ドイツ8月ifo企業景況感
21:30 米国7月耐久財受注
23:30 週間原油在庫統計

8月26日(木)
15:00 ドイツ9月GFK消費者信頼感
15:45 フランス8月企業景況感
18:30 南ア7月PPI
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
21:30 米国4〜6月期GDP改定値 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:10 フランス中銀総裁講演
**:** ジャクソンホール(〜28日)

8月27日(金)
08:30 本邦8月東京区部CPI
10:30 豪州7月小売売上高
15:45 フランス8月消費者信頼感
21:30 米国7月個人所得・消費支出
23:00 パウエルFRB議長講演 ☆
23:00 米国8月ミシガン大消費者信頼感

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月16日(月)
週明けのドル円は先週末の地合いを受け上値が重たいスタートを切る中、中国の弱い経済指標やアフガン情勢を懸念した株安の動きによるリスクオフの円買いが続きました。その後もドル円はじり安の展開を辿りNY市場では株価は買いに転じたものの米金利が低下したことからドル円の上値は抑えられたままでした。

8月17日(火)
ドル円はNY市場までは動意薄で安値圏の狭い値幅での取引に終始していました。NY市場に入り発表された小売売上高は予想よりも悪かったものの米金利が上昇したことから為替市場ではユーロドルを中心にドル買いの動きとなりました。その後は買われた水準でもみあいのまま引け、パウエル議長の講演も金融政策に関する言及は無く無風通過となりました。

8月18日(水)
東京市場のドル円は動意薄、NZの利上げが無かったサプライズでNZドルに注目が集まった様子でした。日経平均が底堅く推移していたことや米金利もジリジリと水準をあげていたこともあって欧州市場以降のドル円はドル買いの動きとなりました。NY市場ではFOMC議事録発表に向け米金利は一段高、ドル円も110円台に乗せていましたが、議事録の内容が年内のテーパリング開始を適切とする内容だったことから米株が下落、その動きからリスクオフによるドル円の売りが入っての引けとなりました。

8月19日(木)
東京市場のドル円はFOMC議事録発表後の下げから一転上昇、昼すぎには110.23レベルまで高値を切り上げました。この動きはテーパリング時期前倒し思惑から素直にドル買いで反応したようでした。しかし後場になり株価が急速に値を下げるとともにリスクオフの円買いが強まり、欧州市場前場には109.48レベルと前日安値圏へと押しました。NY市場では株価が持ち直したこともあり、109円台後半へと戻しました。

8月20日(金)
ドル円は若干上値が重たい動きとはなっていたもののNY市場までは動意薄、NY市場に入り米金利が上昇する動きとともにドル円にも買い戻しが入りました。しかし、終日のレンジは32銭に留まり冴えない週末相場となりました。

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