ドル円、高値圏から急反落。パウエルFRB議長によるハト派な議会証言が重石
〇ドル円、パウエル議長のハト派的議会証言に109.93まで急落、110円割れ水準で推移
〇ユーロドル、パウエル議長の証言を受けての米長期金利急低下に1.1830台に急伸
〇パウエル議長は「インフレ圧力は一時的」との従来のスタンスを堅持
〇一方でPPIの上昇、ベージュブックでの雇用の増加や強い物価上昇の見解等相反する材料も
〇テクニカルの地合いも強く、売り一巡後の反発期待される
〇引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:109.60ー110.60
海外時間のレビュー
14日(水)のドル円相場は急反落。アジア時間朝方にかけて一時110.71(4営業日ぶり高値)まで上値を伸ばすも、7/8に記録した直近高値と同水準(110.71)で失速すると、@注目されたパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言(下院金融サービス委員会)がハト派的な内容となったこと(事前に公表された証言原稿にサプライズが見られなかった他、パウエルFRB議長からも「インフレについては一時的」「量的緩和縮小はまだ先」「景気回復が完了するまで強力な支援を提供する」等の慎重姿勢が確認)や、A上記@を背景とした米早期テーパリング観測の後退、B米長期金利の急低下(米10年債利回りは1.42%から1.35%へ急低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値109.93まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間午前6時10分現在)では109.97近辺で推移しております。
14日(水)のユーロドル相場は急反発。アジア時間朝方にかけて一時1.1772まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると、@パウエルFRB議長によるハト派な議会証言を受けた米早期テーパリング観測の後退や、A上記@を背景とした米長期金利の急低下(ドル売り)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1839まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間午前6時10分現在)では1.1837近辺で推移しております。尚、この日発表されたユーロ圏5月鉱工業生産(結果▲1.0%、予想▲0.3%、※前月比)は市場予想を下回る冴えない結果となりました。
本日の見通し
ドル円は一時110.71まで上値を伸ばすも、パウエルFRB議長による慎重なスタンスを材料に結局109.93まで反落しました。前日発表された米6月消費者物価指数が市場予想を大幅に上回る結果となっていた為、パウエルFRB議長よりインフレへの強い警戒感が示されるとの見方が強かったですが、結果としてパウエルFRB議長は「インフレ圧力は一時的」と従来までと同じスタンスを貫きました。但し、昨日発表された米6月生産者物価指数(結果7.3%、予想6.8%)は前日のCPI同様、市場予想を大幅に上回る伸びを示している他、地区連銀経済報告(ベージュブック)においても、「幅広い分野で雇用が増加している」「物価も平均を上回るペースで力強く上昇している」との見解が示されるなど、米年内テーパリング観測は(パウエル氏の発言だけでは)簡単には収まらない可能性が高いと考えられます(※日米金融政策格差を背景としたドル高・円安基調が続く見通し)。
テクニカル的に見ても、強い買いシグナルを示唆する三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーが継続している他、ダウ理論でも高値と安値を同時に切り上げる上昇トレンドが継続しており、売り一巡後の反発が期待されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日も米国の経済イベント(米6月輸出入物価指数や、米7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、新規失業保険申請件数、米6月鉱工業生産、パウエルFRB議長の議会証言2日目など)が盛り沢山となる為、米長期金利を睨みながらの神経質な展開に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:109.60ー110.60
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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