ドル安リスクくすぶるが目先は底堅い推移も(7/9夕)

9日の東京市場はドルが小じっかり。前日NY時間にドルは110円半ばまで値を下げていたが、持ち直すと東京では一時111円台を回復する局面も。

ドル安リスクくすぶるが目先は底堅い推移も(7/9夕)

ドル安リスクくすぶるが目先は底堅い推移も

〇本日のドル円、109.70-85レンジを上抜けると夕方に掛けて110円台を回復、ドルが小じっかりの展開
〇昨日欧米時間に一時安値109.53を示現、目先高値から1週間程度で2円強の下げを記録
〇米経済指標や要人発言などを注視しつつ、米株や金利の動きに注視する展開がしばらく続く可能性
〇明日にかけて実施されるG20財務相・中銀総裁会議の行方や出席者による2国間会議など要注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.50-110.50

<< 東京市場の動き >>

9日の東京市場はドルが小じっかり。前日NY時間にドルは109円半ばまで値を下げていたが、持ち直すと東京では一時110円台を回復する局面も。

ドル/円は109.70-75円で寄り付いたのち、しばらくは上げ渋り。109.70-85円といったレンジで上値も重い展開だった。しかし、上抜けすると夕方に掛けて110円台を回復。当初弱含みだった日米株価が下げ幅を縮小させてきたほか、米金利の上昇などが後押ししていたという。16時現在でも、ドル/円は日中高値圏をキープしたまま欧米市場を迎えている。
なお、対ドル以外でも円は全般的に弱含み。ただ、豪ドル/円やNZドル/円はやや冴えない。目先安値を付けた感はあるが頭も重く、底練りといった様相だった。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「ECBの金融政策戦略見直し」について。
前者は、度々レポートしているように、コロナとの共生に舵を切った感のある欧州だが、感染状況は一部でさらに厳しさを増しているようだ。たとえば、ある独紙は「ドイツがスペイン全土を新型コロナウイルスの危険地域に指定する計画」などと報じたほか、ロイターは「フランス閣僚が、この夏のバカンスでスペインとポルトガルは避けるよう呼び掛けた」と指摘している。また予定通り東京などに4度目の「緊急事態宣言」が発令されたうえ、カナダもトルドー首相が「ワクチン未接種の外国人観光客は当面受け入れない構え」を表明していた。

対して後者は、6日から実施されてきた「特別会合」の結果としてラガルドECB総裁が「インフレ目標を引き上げる」と発表。また「インフレ率が一定期間オーバーシュートすることを容認」する可能性も同時に示唆している。なお、これらは7月22日の会合から適用を開始する見通しだが、ロイターは「見直し内容が先行きの政策にどのように反映されるかを示す『フォワードガイダンス』は合意しておらず、22日の理事会で改めて討議する」と報じていた。続報などにも引き続き要注意。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は昨日欧米時間に一時安値109.53円を示現。個人的には下げ足が速いうえ、110円を予想以上にアッサリと割り込んできたイメージだ。ともかく、目先高値111.66円をつけたのち、1週間程度で2円強となかなか大きな下げを記録したことになり、ドルの続落を懸念する声もある。ちなみに、昨日下げ止まった109円半ばは、4月安値107.48円を起点とした上げ幅の半値戻しにほぼ合致する。割り込めば同61.8%戻しの109.10円レベルがターゲットに。
市場の関心は引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。ただ、先で指摘した新型コロナの世界的な感染拡大が再び取り沙汰され、それが米経済回復の足かせになっていることが発表される経済指標などにも示され始めている。そのため、テーパリング期待が依然強いことは間違いないものの、かつてほど強気一辺倒とはなっていない状況で、ドル高を阻害している面もありそうだ。いずれにしても、米経済指標や要人発言などを注視しつつ、米株や金利の動きに一喜一憂する展開がいましばらく続く可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日一時109円半ばまで下落したものの、前述したフィボナッチサポートでは取り敢えず下げ止まった。リスクという意味では下方向にバイアスが掛かりそうだが、その下109円前半には一目均衡表の先行帯の雲が位置することもあり、ここからは底堅く推移する展開を見込む声も聞かれている。
対するドルの抵抗は、まず移動平均の21日線が位置する110円半ば。上値はかなり重そうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、5月の卸売在庫確報や同卸売売上高が発表されるものの、正直市場の関心はそれほど高くない。そうしたなか、明日10日にかけて実施されるG20財務相・中銀総裁会議の行方を警戒する声も多いようだ。また対面式の会議ということで、同時に出席者による2国間会議なども複数実施される見込みで、そちらも一応要注意か。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.50-110.50円。本日は週末ということでポジション調整の動き、つまりドルの戻りを警戒する声が多いようだ。上値は重そうだが、21日線が位置する110円半ばを超えれば、予想以上の戻りも否定できない。
対するドル安・円高方向は、昨日欧米安値109.53円をめぐる攻防に注目。ただ、その少し下には一目の雲が位置しており底堅い雰囲気も。

ドル安リスクくすぶるが目先は底堅い推移も

ドル円日足


※ポイント要約は編集部

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