ドル円、1週間ぶり安値圏へ下落するも下値は堅い。四半期末特有の需給に警戒
〇ドル円米長期金利上昇を背景に110.75まで上昇後110円台半ばへ反落
〇米インフレ懸念、貴金属市場の値崩れが背景
〇ユーロドル独メルケル首相のハト派発言等に1.1878まで下落後米国時間に持ち直し1.1900近辺
〇ドル円上値の重い展開続くが、続落余地は限られる
〇ファンダメンタルズも強く、早期テーパリング観測おきやすい
〇ドル円上昇がメインシナリオ、本日月末かつ四半期末、仲値、ロンドンフィキシング時の動きに注意
〇本日の予想レンジ:110.20ー111.00
海外時間のレビュー
29日(火)のドル円相場は上値の重い展開。@米長期金利の上昇を背景に、欧州時間朝方に一時110.75まで上値を伸ばすも、A米インフレ懸念再燃をトリガーに、B貴金属市場が値崩れすると、Cリスク回避の円買い(クロス円下落→ドル円連れ安)や、Dロンドンフィキシングに向けてのドル売り圧力、E週央以降に発表される重要イベントを控えたポジション調整が重石となり、米国時間にかけて、約1週間ぶり安値となる110.43まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前6時00分現在)では110.53近辺で推移しております。尚、昨日はリッチモンド連銀バーキン総裁より「状況が整った場合に利上げを実施できるよう準備したい」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
29日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。@欧米金融政策格差(テーパリング観測が燻る米国と、金融緩和長期化の可能性が高い欧州との金融政策格差)を背景としたユーロ売り・ドル買いや、Aメルケル独首相による「欧州の完全回復までにはまだ長い道のりがある」との悲観的な発言、B米経済指標の良好な結果、C貴金属市場の軟調推移(リスク回避のドル買い・円買いを誘発)が重石となり、米国時間にかけて、約1週間ぶり安値となる1.1878まで下落しました。しかし、Dロンドンフィキシングに向けてのドル売り圧力や、E米長期金利の上昇幅の吐き出しが支援材料となると、米国時間午後にかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間午前6時00分現在)では1.1900近辺まで反発する動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は約1週間ぶり安値となる110.43まで下落するなど、上値の重い展開が続いております。但し、下方には強力な支持帯として意識される一目均衡表転換線(110.41)が控えている為、余程強いドル売り・円買い材料が出てこない限り、続落余地は乏しいと判断できます(事実、昨日も同水準にサポートされて反発)。また、日足ベースで強い買いシグナルを示唆する三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーが継続している他、ダウ理論でも上昇トレンドが成立しており(6/21安値109.71を下回らない限り、上昇トレンド継続)、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(足もとの下落は上昇トレンドの中で見られる一時的な押し目)。
ファンダメンタルズ的に見ても、昨日発表された米住宅価格指数(米4月FHFA住宅価格指数が
1991年統計開始以来最大の伸び率を記録した他、米4月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数も2005年12月以来、約15年ぶり伸び率を記録)、米景気センチメント指数(米6月コンファレンスボード消費者信頼感指数)が共に力強い結果を示すなど、米早期テーパリング観測(米長期金利上昇→ドル高)に繋がり易い材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は月末兼四半期末となる為、公表相場決定やロンドンフィキシングといった月末特有のトリッキーな需給に注意が必要でしょう(上記のタイミングでボラティリティが極端に高まりやすい)。また、米国時間には、週末に発表される米6月雇用統計の前哨戦として注目される米6月ADP雇用統計も発表される為、仮に市場予想を上回る結果となった場合には、米早期テーパリングを織り込む形で、ドル円相場が予想外に急上昇に転じる恐れもあり、アップサイドリスクに警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:110.20ー111.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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