米雇用統計を注視、ドル高再燃なるか(週報6月第4週)

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時111円台まで上昇し年初来高値を更新、1年3ヵ月ぶりの高値を示現している。

米雇用統計を注視、ドル高再燃なるか(週報6月第4週)

米雇用統計を注視、ドル高再燃なるか

〇先週のドル円、年初来高値を更新するなど、一時ドル高・円安が進展するも続かず
〇109.72-111.11といった新レンジ形成の様子、攻防に注視、上抜けるなら111.71がターゲットか
〇引き続き米金融政策が注視される、先週は要人による強気発言相次ぐ、今週も要注意
〇今週は6月消費者信頼感指数・雇用統計といった注目の米経済指標発表予定
〇今週のドル/円予想レンジ109.70-111.90

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続伸。一時111円台まで上昇し年初来高値を更新、1年3ヵ月ぶりの高値を示現している。

前週末、ロイターが「米政権、台湾へのワクチン支援を75万回から250万回分に拡大」と報じ話題に。また、豪貿易相がワイン制裁関税で中国をWTOに提訴すると発言したことも思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は110.20-25円で寄り付いたのち、当初はドル売り先行。110円を割り込み、週間安値の109.72円をつけている。しかし、その後はドルの買戻しが優勢で、週の半ばには111円台を回復。しばらくドルは強保ち合いとなったが、勢いは続かず。週末に掛けては、調整的な動きも観測されると110円へと軟落。週末NYは110.75-80円で取引を終え、越週している。
なお、先週は週の初めドル/円だけでなく円全面高様相で、クロスも軒並み下値を試す展開。ただ、そののち逆に円売りが目立つ動きとなり、ユーロ/円でいえば週間安値から2円強、ポンド/円は一時4円近い戻りをたどっていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「米ファンダメンタルズと金利政策」について。
前者は、世界的にみてワクチン接種が進み感染拡大が抑制されていることは間違いないものの、地域によってかなりのバラつきがうかがえる。たとえば、イタリア政府は「ほぼ全土で21日に感染防止規制を解除する方針」と発表。ジョンソン英首相は「7月19日の制限措置解除を強く確信」、米国もNY州知事が「コロナ非常事態を24日に終了する」などとコメントした反面、ブラジル保健省が「コロナ感染の死者数が米国に続いて50万人を突破」としたほか、カナダも「7月21日まで米国を含む諸外国への不要不急の渡航の禁止を延長する」としていた。まだまだ予断は許さないようだ。

対して後者は、発表された一連の米経済指標はおおむねまだら模様。強気一辺倒ではなかったが、米要人からは逆に強気コメントが相次ぎ、早期テーパリング観測に繋がっていたようだ。たとえば、パウエルFRB議長は「インフレ率はここ数ヶ月で顕著に上昇している」、アトランタ連銀総裁「テーパリングの見通しを議論するのは適切」、ダラス連銀総裁「2022年に最初の利上げを予想」、ボストン連銀総裁「現状インフレリスクは高まっている」−−などといったものになる。前述したドル/円が111円台を超えていくような展開の一助、ドルの支援要因となっていたことは間違いないだろう。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は年初来高値を更新するなど、一時ドル高・円安が進展するも続かなかった。その後の動きをみると、109.72-111.11円といった新レンジを形成している感も否めないだろう。そんな新レンジ内での一進一退、往来相場が続くのか、それとも再び動意づくことができるのか、まずは攻防をしっかりと注視したい。ちなみに、仮にレンジを上抜けるとすれば、昨年3月の高値111.71円がターゲットとして意識されそうだ。
前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは依然として広義の米ファンダメンタルズと金融政策。うち後者については、先で指摘したようにFRB議長をはじめ強気発言が相次ぐ状況となっている。今週も引き続き米要人発言には当然要注意であり、また週末の米雇用統計をはじめとする重要な米経済指標が発表されるだけに、早期テーパリング観測を後押しするような内容を示すのかにも、しっかりと見極めたい。

テクニカルに見た場合、今年のドル/円相場は「レンジ取引のち上抜け。しかし続伸はせず、当初のレベルを切り上げた新レンジを形成する」−−ということの繰り返し。つまり、日足などのチャートでいえば、レベルを少しずつ切り上げる階段状の動きをたどることが少なくないようだ。そして、先週も週末に掛けては中段保ち合いの様相を呈している。ドルブル派からは早期の111.11円突破が期待されているものの果たしてどうか。逆に上抜けが失敗に終われば再度の110円割れ、109.72円割れをうかがう展開も否定できない。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、6月の消費者信頼感指数や同雇用統計といった注目の米経済指標が発表されるほか、先週ほどではないものの、米通貨当局者の発言予定もいくつか散見されており、そちらにも注意を払いたい。また、7月1日に「共産党創建100周年」記念日を迎える中国情勢を警戒する声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.70-111.90円。ドル高・円安については、先週記録した高値111.11円が最初の抵抗で、抜けると昨年3月の111.71円、そして112円前後が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、移動平均の21日線も位置する110円前後がまずはサポートに。下回るとレンジ下限の109.72円がターゲットとなる。

米雇用統計を注視、ドル高再燃なるか

ドル円日足


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